東方十能力   作:nite

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三百五十二話 ケロちゃん弾幕御神渡り

霊夢との対戦から数日、次の相手を求めて守矢神社までやってきた。

そして要件を伝えると、早苗は怒り始めたのだ。

 

「…そのリスト、私の名前が入ってないの納得できません!」

「うーん、紫基準だからなぁ…」

 

そう。このリストの中に早苗の名前はないのだ。このリストに書かれているのは諏訪子と神奈子の二柱。俺の相手が諏訪子で、ルーミアたちの相手が神奈子だ。

信仰している神様が入っているのは問題ないとして、霊夢が入っているリストに自分が載らなかったことには憤慨らしい。

 

「紫さーん!見てますかー!私戦えますよー!」

 

返事はない。多分見てない。

早苗とて、今まで数多の異変を解決してきたプロフェッショナルであり、その実力は霊夢と比べても申し分ないだけのものはある。

だが、紫が妙な規則で、一か所につき二人までしか候補に挙げていないので、神様二柱が選ばれた時点で早苗の枠は存在しないのだ。まだ早苗とガチの戦いをしたことがなかったので、いつかはしてみたいが…まあ、戦うことに関しては今だけではないし、また後日戦えばいいだろう。

 

「まあまあ早苗。私たちの応援をしてよ」

「そうだぞ。私たちは信仰が力になるからね。応援してくれれば戦えるってわけだ」

「…わかりました。定晴さん、どこかで相手をしてくださいね!」

 

諏訪子と神奈子に続いて空に飛び出す。

戦う場所は妖怪の山上空の、守矢神社の近く。神様と戦うというのに、その聖地のすぐ近くで戦うというのはこちら側のアウェーがすごいが…まあいいだろう。

 

「それにしても、観客が多いな」

「大々的に宣伝したわけじゃないんだけど…どうも言伝で広まったみたいなんだよねぇ」

 

俺の言葉に諏訪子が唸りながら言う。

俺たちの眼下には、暇そうな天狗や河童を始めとした多種多様な妖怪がこちらを見ている。それに、警備をする天狗たちも。

ここで戦うとなったとき、最初は別の場所に移動する予定だった。しかし、諏訪子が大天狗に許可をもらい、警備の天狗がいるという条件であればここでやっていいことになったのだ。

 

「ぶっちゃけさ、警備の天狗で私たちの色々を防げると思う?」

 

諏訪子がこそこそ話しかけてきた。

諏訪子がどれだけの実力者なのかは不明だけれども、幻想郷に来たばかりの俺でもある程度逃げ切れるような相手だ。正直なところ…

 

「流れ弾でも致命傷になるかもな」

「だよねぇ…まあ私のはあまり流れ弾とかないと思うけど、危ないよねぇ」

 

大天狗に直談判したのは諏訪子だ。やはり本気の殺し合いをするなら万全な場所でやりたいと。

その時に、警備天狗を置くことを絶対条件にしたのだ。その時も、警備天狗じゃ流れ弾で危ないと諏訪子は訴えたらしいのだけど、それが飲めないなら別に場所に行けと言われたらしく、渋々こうして警備天狗に見守られながらとなったわけだ。

 

「まあ俺たちだってあいつらを狙うわけじゃないし、死ぬことはないだろ」

「それはそうかもしれないけど…一応こっちは彼らに信仰をもらってるわけでさ、信徒に被害がある可能性があると…やっぱちょっと気になるよね」

 

現在の守矢神社の信徒の中心は妖怪だ。人里で布教活動をしていて、その影響で人間の中にも信徒はいるものの、やはり妖怪の山という立地の関係上信徒は妖怪なのだ。

神様として、信徒にけが人が出るのは許せないのだろう。

 

「腕が飛ぶくらいなら俺の再生でなんとかなるから安心しろ」

「う、うん……妖怪なら腕一本くらいは治るけど、定晴のそれは人間じゃないからね」

「気にすんな」

 

腕が飛ぶのを治せるくらいの力がないと、外の世界で人外相手に戦えない。

 

「まあ責任はあっちだろうからいっか。もし何かあったら私が力を発揮して信仰を増やせばいいだけだもんね」

「強いな」

 

先日の妖怪の山崩落の修繕活動により、以前よりも信仰が増したという諏訪子。信仰を増やすことに関しては余念がない。

さて、そろそろ始めるかと輝剣を取り出すと、諏訪子がこちらに質問してきた。

 

「スペルカードとかないんだよね」

「ああ」

「なんでもしていいんだよね?」

「ああ」

 

諏訪子が色々と確認してくる。霊夢と違って、諏訪子はあまり企画の詳細を聞いていないのだろう。もしかしたら、リストに載っているほとんどが知らないのかもしれない。

紫はそういうところ適当だからな。

 

「よし…じゃあ開始の合図は定晴がしていいよ」

「いいのか?」

「うん。ハンデだよ」

 

諏訪子は戦いの神ではない。その能力も戦闘に直接使えるものではなく、戦いという行為自体得意分野なのか疑わしい。

だというのにこの自信はなんなのだろうか。俺が知らない何かを仕込んでいるのだろうか。紫が説明しに来てから戦うまでに時間はあったから色々と準備はできるだろうけど…そこまで大層なことはできないはずだ。

 

「じゃあいくぞ」

「うん」

「…開始!」

 

前回の反省点を踏まえて、身体強化と風を使い輝剣で一気に距離を詰める。弾幕ごっこではなく本気の殺し合いなのだから、何をしてもいいのだ。

 

「とりゃっ!」

 

だが、輝剣は諏訪子に受け止められた。正確には諏訪子の持っている鉄の輪っかに。

 

「なんだそりゃ」

「私の持ち武器だよ!そしてこれもあげる!」

 

諏訪子がそういった瞬間、体が重くなる。思考はぼやけるし、視点も…浄化!

 

「呪いは効かん!」

「効くまで続けるだけ!」

 

諏訪子が輪っかを投げて俺と距離を投げる。どうやらブーメランのように勝手に諏訪子のところまで戻るようになっているらしい。輪っか自体が鋭い凶器のようになっていて、飛んでいるものを掴もうとすれば手は切断されることになるだろう。

 

「戦闘の神じゃないのにそんなのあるんだな!」

「鉄、昔は圧倒的だったんだけどなぁ」

 

思ったよりも厄介な相手になりそうだ。




今後は一か所につきどちらかの視点で一戦という形をとります
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