東方十能力   作:nite

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三百五十三話 ミシャグジさまの弾幕の御威光

諏訪子の鉄の輪っか…鉄輪はただの鉄である割にやたらと頑丈だ。身体強化を乗せた輝剣で叩いても一切変形する様子を見せない。

もしかしたら神力で保護されているのかもしれない。神力ってそのまま神の力ということだけど、結構応用が利くのだ。自分を強化することも物体を強化することもできるし、神力を通じて魔術のようなこともできる。

 

「まずはその鉄輪をどうにかしないとな」

「残念だけどそうはいかないよ!」

 

諏訪子から弾幕が放たれる。それと同時に俺の体に負荷がかかる。弾幕展開と呪い付与を同時にしたようだ。

俺の浄化は常に発動し続けているので、すぐに呪いは解除されるものの、流石は神様というべきか付与された瞬間は俺の浄化を貫通して呪われてしまうのだ。

殺し合いにおいて、一瞬の停滞は致命的である。

 

「隙あり!」

「うおっ」

 

今の俺の動きは隙だらけである。

鉄輪の攻撃力が、見た目よりも高くないことと、諏訪子自身の武器の扱いがそこまで上手ではないことでなんとかなっているが、これで相手が妖夢とかだったらすぐに斬られているだろう。

諏訪子から呪いが不定期に飛んでくるので、そちらに浄化をしなければいけないせいで、霊夢と戦ったときよりも霊力消費が激しい。常に使っている浄化能力であれど、決して霊力消費がないわけではないのだ。

 

「私に攻撃するなんて、祟られろ~」

 

一際重い呪いが降りかかる。浄化を全力にすることでなんとか脱するが、その時にはすでに鉄輪は首元に…

 

「ぐっ」

「むぅ、定晴って固いねぇ」

 

身体強化のおかげだよ。

だが、諏訪子はそう言っているが、実際のところ首元には血が垂れている。身体強化しているとはいえ、完全に防ぐことはできなかった。

 

「もっと祟れ~!」

 

重い呪いを全力浄化、そして一撃を受ける。反撃はしているものの、こちらが受けている以上のダメージを与えることはできていない。

戦っているうちに諏訪子の呪いがどんどん強くなっているように感じる。もしかして、俺が与えたダメージの分だけ呪いは強くなっていくのだろうか。呪いというと、やはり仕返しだとか呪怨というイメージがあるし、ダメージに比例して呪いが強くなるとかありそうだ。

 

「祟り神と戦うことがこんなにやりづらいとは思わなかったよ」

「でしょでしょー。私だってやるときはやるんだから」

 

鉄輪をブンブン回しながらそう言う諏訪子。いつも何をやってるのか知らないが、神様らしい力ということだろうか。

 

「ミシャグジ様って知ってる?」

「祟り神か?」

「そ!祟りだよ~怖いんだよ~」

 

なぜか子供だましなお化け屋敷みたいな話し方をする諏訪子。ミシャグジ様という名前を聞いたことはないけれど、諏訪子の祟りの大本…なのだろうか。

それを知ったところで何か改善できるわけではないけれど…

 

「ミシャグジ様はね、穢れを許さないんだよ」

「穢れ?」

 

月の民が常に警戒している穢れ、だろうか。あちらは穢れがあるせいで寿命ができると、穢れのない月の裏まで行った人々ではあるが…

 

「穢れた者が触れたら、ミシャグジ様は末代まで祟るんだ。やられたらやり返すんだね~」

「何が言いたいんだ?」

 

穢れが何かは教えてくれないらしい。月だと…地上は穢れだらけだからダメって言ってて、何が穢れなのかを教えてもらったことはないな。次に依姫たちに会ったときに聞いてみるか。

 

「んー、祟り神を恐怖してくれたらもっと強くなれるなって」

「俺が神を怖がると?」

「まあそうだよねー」

 

神様の中でも、神格が馬鹿みたいに高いミキがいるからな。今更、神の力を恐れることはない。神の力でも無効化できるからな。

ちなみに、なんで諏訪子の呪いの力を無効化しないのかと言うと、呪う力を無効化したところで諏訪子の動きを止めるわけではないので、俺が硬直したときに鉄輪が襲い掛かるからだ。

 

「まあでも少しずつ強くなってるし、このまま呪い殺してやる!」

 

またも思い呪い。

一応動きながら浄化できるので、致命傷を受けることはないものの、霊力消費が激しくてじり貧だ。このままでは、本当に呪い殺されてしまう。

諏訪子が受けたダメージに比例して呪いが強くなるというのであれば…やはり、一撃で諏訪子を堕とすしかないだろう。

様子を見ていても現状は変わらないので、俺は力を強めて次の一撃を準備する。

 

「うわ、すごい霊力と魔力!早苗よりも多くない?」

「さあな」

 

俺が力を練っている間も呪いと鉄輪は飛んでくるので、そちらの対処をしないといけないものの、弾幕がないので最後まで練ることができる。

身体強化に風のバックアップ、そして、輝剣を使った全力の一撃を諏訪子に向ける。

 

「はぁっ!」

「うわわっ」

 

輝剣の一撃は鉄輪に止められる。本当にそれ鉄か?

しかしながら、俺の一撃は輝剣だけではない。なんのための魔力と言うのだろうか。

 

「ブラスト!」

 

ゼロ距離の魔術。射程は短いものの、込めた魔力に比例して威力が上がる高火力シンプルな魔法。

俺が今持っている魔力をすべて込めたので、威力も相当なものになっているはずだ。その代わり、俺の中にはもう滞空するだけの力しか残っていないけどな。

 

「う…あ…」

 

諏訪子がふらついてゆっくりと高度を下げていく。よし、これで…

 

「まだまだぁ!」

「なっ」

 

あれを受けて気絶しないのか。大妖怪でも気絶するだけの威力が…

 

「やったなぁ、祟りをー!」

 

今までで一番重い呪いが俺を襲い、浄化をするだけの力が残っていn

 


 

気が付いたら、守矢神社に戻ってきてた。そして、なぜか早苗の顔が目の前にある。

 

「あ、おはようございます。大丈夫ですか?」

「ああ、もういい…んん?」

「もうちょっと寝ててください。お疲れでしょう?」

 

俺が起き上がろうとしたら体を押さえつけられる。段々と目が冴えてきて、もしかしてこれって俺は膝枕を…

 

「こらっ!何いちゃついてんのよ!」

「いちゃついて見えますー?いやー、困っちゃいますねー」

「ほら、定晴、起きて!」

「だめですよ。定晴さんはお疲れなんですから休ませないと」

「ルーミアさん、落ち着いて…」

 

首を動かすと、ルーミアとユズが飛んできていた。二人ともボロボロだが、神奈子はまだ余裕そう。どうやら、二人も神様に負けたらしい。

 

「いいじゃないですか。ルーミアさんだって家でいちゃついてるんですよね?」

「そんなわけないじゃない!」

 

二人が言い争いを始めた隙に起き上がる。そんな言い争いしているところで寝てられない。

俺が起きたことにも気付かず、言い争いを続ける二人。一体なにでそんなに争うことがあるのか。俺はそんな二人を後目に、神様の二柱に話しかけた。

 

「ありがとな二人とも。どっちも勝てなかったみたいだが…」

「まあ、こっちも神様やってるからね。正直、定晴なら諏訪子に勝てると思ったんだけど…」

「大妖怪でも気絶するような一撃に耐えられたからな。無理だった」

 

やはり大妖怪よりも神様のほうが強いということだろうか。耐久力という点においても、大妖怪よりも強いみたいだし、実はもっと後回しにすべき二人だった可能性があるな。

そう思っていたら、諏訪子が懐から一枚の紙を取り出した。

 

「じゃーん」

「ん?なんだそれ」

「魔理沙から買った対魔術の紙だよ。ちょっと値段が張ったけど、それだけの効果はあったね!」

 

魔理沙の、対魔術紙…?

 

「まさか、俺の一撃を耐えたのは…」

「私があんなのに耐えられるわけないじゃん。やっぱり本気で戦うなら事前準備からだよ」

 

つまり俺は、諏訪子に負けたと共に…魔理沙にも負けたのか。

 

「くそっ」

「あははー」

 

飄々とした笑みを浮かべる諏訪子を見ながら、俺は次はもっと万全に準備をしようと誓った。




早苗「ルーミアさんのせいで私の膝枕が!」
ルーミア「せめて告白してからアピールしなさい!」
早苗「あう…」
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