東方十能力   作:nite

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三百五十六話 フラワーマスターの苦言

この殺し合いは一回やるごとに数日の休憩を挟んでいるものの、やはり疲れというのは溜まっていく。

そもそも、殺し合いというのは精神力を使うのだ。何度も繰り返せば、それだけ心が疲れてしまうというのは当然である。

そういうわけで、俺たちは今花畑の端っこでボーっとしている。

 

「花っていいわね…」

 

放心しすぎてルーミアが変なことを言い出したが、まあいいだろう。リラックスできていると解釈することもできるしな。

今までの戦績を振り返ってみると、未だにルーミアたちは一勝もできていないのだ。ルーミアは封印状態で戦っているとはいえ、二人で戦っているにも関わらず負け越しているのは少々辛いのだろう。

ルーミアは放心状態だし、ユズに至っては何もしゃべらない。元々喋らないような子ではあるけれど、それ以上に花を眺めることに夢中といった感じ。

 

「ねえ定晴、大丈夫なのこの子達」

「大丈夫だと思うぞ」

 

かく言う俺だって、今のところ勝てたのは霊夢との戦いのみ。一勝一敗一引き分けで迎えた今回、俺は幽香と戦うことになっている。

そんな幽香からしても、式神二人の様子は少し心配になってしまうのだろう。

 

「ルーミアたちの相手はメディスンがするんだよな」

「そうよ。毒をいっぱい準備して待ってるって言ってたわ」

 

二人の対戦相手はメディスン・メランコリー。彼女は過去に毒をかけられたことがあるので分かるけれど、俺の浄化がないと結構きつい毒だ。

例え体の動きが遅くなるだけだとしても、殺し合いには圧倒的な効力を発揮するのだ。メディスンの毒は浴び続ければ死ぬこともあるらしいと幽香から聞いているので、その毒をルーミアたちがどう対処するのかが課題だろう。

 

「解毒剤とか用意してあるのか?」

「さあ?一応花由来の毒なら私の持っている薬でなんとかなるとは思うけど…」

 

幽香はフラワーマスターとして、様々な花の種や苗を持っている。それと同じく、花の成分も色々と調査しているらしい。そのため、幽香の家には解毒剤を始めとして香料やフラワーエッセンスなどがあるのだ。

メディスンは多分スズランの毒を使うだろうから大丈夫だと思っていたのだけど、幽香は少し苦々しい顔をしていた。

 

「彼女って毒ならなんでも操れるのよ。だから、必ずしも植物由来の毒を使うとは限らなくて…」

「うーむ…戦いが終わったあとに俺が浄化しないとだめかな」

 

どうやら俺が思っているよりもメディスンはできることが多いらしい。植物だけでなく、蛇の毒や蜂の毒も操ることができるらしい。

もしメディスンがその他の毒も用意しているのだとしたら、幽香では対処することができない。戦闘が終わったあとに俺がちゃんと能力を使用できるだけの気力があるか不安だが…

こんなことなら永琳を呼んでおくべきだっただろうか。

 

「式神って言っても妖怪でしょ?浄化って使えるの?」

「俺の式神は若干神聖化するらしく、普通に浄化も使えるんだ。人間に使うのと同じような効果を発揮するぞ」

「へぇ…」

 

ユズも今では俺の正式な式神となり、浄化を使っても問題ないことは以前確認済みである。

例え大量の妖怪に囲まれても、式神の二人のことは気にせずに浄化を使えるのはとても良い。まあ幻想郷にいる間は全方位浄化とかは使わない予定だけど。

 

「なら私もあなたの式神になれば浄化されなくなるのかしら」

「されなくなると思うけど…幽香が式神になることはないだろ?」

「あら、それはどうかしら」

 

謎の笑みを浮かべる幽香。

そもそも、式神と主の間にはそれなりの力関係が必要となる。幽香ほどの大妖怪を式神にするのなら…少なくとも人間には無理だろう。俺も多分霊力量的に無理だろうし。

それこそ紫が藍を式神にするくらいの力量差が必要になると思う。式神という立場のせいで弱く見えるかもしれないが、藍だって狐の最高位である九尾なのである。

 

「ちょっとー!準備できたって言ってるでしょー!」

 

ふと、茂みの向こうから声が聞こえてきた。どうやらメディスンが催促をしているようだ。

 

「あまり待たせすぎるとそこら中に毒を撒き散らしかねないし、そろそろ始めましょ」

「そうだな。二人とも、時間だぞ」

「はーい」

 

ふわふわと飛んでいく二人。殺し合いだっていうのに、あの調子で大丈夫なのだろうか。

 

「私たちも」

「はいよ」

 

俺たちも、ルーミアたちもこの花畑から離れたところで戦う。

幽香がいるというのに、この花畑の上で殺し合いなんてできないのだ。幽香曰く、殺し合いなんてしたら花たちが怯えてしまって育ちが悪くなってしまうのだという。

 

「なんだかんだ幻想郷に来てから何回か戦った間柄だけど…」

「確かにな」

 

惰眠異変に始まり、不動の異変のときにも戦った。

ただ、今回のように本気の殺し合いなんていうのはしていないので、少し楽しみである。

 

「殺し合いをしたのは、外の世界以来かしら」

「初めて会った時か」

 

あの時は俺は妖怪退治として幽香と戦っている。確かに、あれは殺し合いだったなぁ…

 

「じゃあ、やりましょ」

「おしっ」

 

俺は輝剣を、幽香は日傘を構えて、いざ勝負っ。




最近モチベーションが落ちてます(´・ω・`)
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