東方十能力   作:nite

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三百五十八話 成果を見せたい人々

「定晴さんと戦えないのが残念です…」

「修行の成果を見せてくれよ」

 

今日の俺たちは、冥界へと来ている。

俺の相手は幽々子。式神二人の相手を妖夢がするという組み合わせとなっている。

日頃の剣術指南の中で妖夢とは何度も戦っているが、幽々子とは戦ったことがないので少しワクワクしている。

 

「うふふ、殺し合いだなんて…久しぶりね~」

「幽々子がどういうことをしてくるのか分からないからなぁ…」

 

因みに、幽々子はただ能力だけで人を殺せるらしいので、それだけ禁止ということになっている。

というのも、俺の無効化で対応することはできるのだけど、幽々子の能力は永続的なものなので俺の無効化が切れて普通に死ぬのである。

 

「普通の殺し合いならば幽々子の相手はしたくないな」

「あらぁ?」

「ほぼ魔眼じゃねえかそれ」

 

幽々子の能力にもある程度制限があるものの、人間を殺すくらいならばとても簡単にすることができるらしい。俺の元に幽々子を討伐してくれという依頼が来なくてよかった。

幽々子は余裕そうにしているものの、妖夢のほうはというと少し緊張しているようだ。

 

「妖夢、殺し合いは初めてか?」

「い、いえ。殺生はしたことがあります…」

 

どうやらもっと小さい頃にそういった心構えなどは祖父から教わったらしい。流石に生きている人間を殺させることはしなかったようだが、小さな生き物を始めとした家畜などを殺して修行をしたらしい。

剣を使う者であれば確実な心構えであるからこその、妖夢への教えだったのだろう。祖父は相当ストイックな人物だったらしい。

さて、ではどうしてそこまで妖夢は緊張しているのだろうか。

 

「妖夢はねぇ、定晴さんにいいところを見せようとしてるのよ」

「ゆ、幽々子様!」

「だってそうでしょ?昨日からそわそわしちゃって…遠足に行く子供じゃないんだから」

 

幽々子が妖夢の頬をツンツンしている。対する妖夢は顔を真っ赤に染めて幽々子に抗議をしている。

 

「やっぱり長い間修行を一緒にしてきた師匠にいいとこを見せたいじゃない?」

 

妖夢と修行を始めてから既に長い時を過ごしている。重ねた回数こそそこまで多くはないものの、この関係は既に年を越すほど続いている。

妖夢に教えることができるほどの実力が俺にあるのか、未だに俺は甚だ疑問に思っているものの…もう引けないところまで来ているし、毎度少しずつ上達していく妖夢を見るのは楽しいので続けている。それに、妖夢との修行中は俺にとっても修行だしな。

 

「定晴にいいところを見せたいのはあなただけじゃないのだー」

「そ、そうです!私、たちも…」

 

緊張しつつも意気込んでいる妖夢を見て、式神の二人もやる気が出たようだ。

式神とはいえ俺の弟子とかそういう関係ではないけれど、やはりこうして意気が相乗効果で増えているところを見ると、もっとこういう場面を増やしていきたいと思う。

特にルーミアは基本的には気だるげだからな。最近のルーミアは妙にやる気に満ち溢れているものの、家に帰ればだらけているので、こうしてやる気になる場面というのは少ない。

 

「定晴さんはどちらを応援するの?」

「うーん…悩ましい質問だな」

 

今までもずっと剣を教えてきた妖夢に買ってほしい気持ちは勿論ある。だが、式神の二人も日頃頑張っていることは知っているし、殺し合いという状況においては、やはり身内のように扱っている式神の二人を応援したくなる。

とはいえ、そのことをここで口に出すとやる気を出している妖夢の気持ちを阻害してしまう可能性もあるので…

 

「どっちも頑張れと言うしかないだろ?」

「あら、残念」

 

幽々子はいつもゆるゆるな雰囲気で、何も考えていなさそうな様子ではあるが、実のところ頭がいい。今の質問も、俺の一言で妖夢たちのモチベーションに影響すると分かったうえで質問してきている。

因みに、幽々子の頭が一番回るタイミングは、妖夢から食べ物を盗むときである。先日修行中の休憩時間んに見せた幽々子の動きは筆舌しがたいものがあったが、ここに書くには余白が少なすぎる。

 

「幽々子、やるぞ」

「はーい」

 

俺たちは西行妖の上空のほうに移動する。さて、どう攻略しようかね…

 


 

なんだか前に会ったときよりもルーミアさんの妖力が増えているような気がする。ユズさんとはそこまで接点はありませんが…こちらもなにやら特殊な妖力を感じますね。

 

「幽々子様にはああ言われましたが、しかし、勝負事には負けたくない気持ちだってあるのです」

「さあ、勝負ー」

 

私の剣は、あまり殺し合いに使うことはありませんが、こうして私が対戦相手として選ばれたからにはちゃんと相手をしましょう。

相手は妖怪。例え腕を斬り落としてもしばらく時間が経てば復活するような化け物(定晴さんも同じことができるらしいですが今は置いておきます)

 

「いざ、尋常に」

 

私は二振りを取り出し、式神二人に向けて走り出した。

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