東方十能力   作:nite

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三百六十話 鬼の腕力、技巧

戦闘訓練も長いことやってきたが、勝率は悪くない。幻想郷でも相当な相手と戦うことになっていたので、全敗する可能性もあったなと思っていたのだけど、意外となんとかできている。

だがまぁ…完全な本気の殺し合いというわけではないだろうな。妖怪はその腕力で人の首をもぎ取るくらいのことはできるからな。実のところ、妖怪相手に剣で超近距離戦をするのは愚策なのである。

 

「そんなわけで、俺はあまり鬼とはやりたくないんだが…」

「ははっ!気合が足りないなぁ!」

 

俺たちがやってきたのは地底。既に俺とルーミアたちは分かれて戦いの場に立っていた。

勇儀が人間と戦うという状況は地底の鬼の見世物になるのか、俺と勇儀はたくさんの鬼に囲まれていた。酒を飲んでいたり料理を食べていたり…まだ俺たちは戦っていないというのに、その場の雰囲気で勝手に殴り合っているやつもいる。

鬼たちの治安が悪いのはいつものことなので特に気にはならないのだけど…こっちに向かって物投げてくるのはやめてほしい。

 

「てめえらっ!戦いの邪魔をしたら…わかってるな?」

 

俺が周囲を気にしていることに気が付いたのか、勇儀が素振りをしながら周囲の鬼に向かって脅しをした。

すると、物が飛んでくるのが止まった。鬼の中でも勇儀は格段に力が強いので、鬼たちへの発言力がある。数人の鬼がまとまって攻撃しに行っても、返り討ちに遭うらしいし、タイマンで勇儀に勝てるのは同じ四天王とも呼ばれている鬼たちだけだろう。

 

「さぁて、定晴が懸念しているやつはこんだけか?あとで変な言い訳なんかしないだろうなぁ?」

「言い訳なんてするわけないだろ。まあ少し言うならば、戦いでこいつらが巻き込まれないかが心配ってとこか」

「そんなのこいつらの自己責任だ。面倒は見ないからな!」

 

周囲の鬼に向かって再三の警告をする勇儀。

勇儀がいくら言っても、観客の数は変わる様子がないので、多分俺たちが戦ったあとにはそれなりに凄惨な状況になっていることだろう。死屍累々というか…俺も、殺し合いの中で周囲のことを考えている暇はないので、多分俺も鬼たちを巻き込むことになるだろう。

 

「よしっ、やるぞ!」

 


 

「わざわざこっち借りちゃって悪いねぇ…」

「いえ、定晴さんたちの助力ができるのはこちらも嬉しいですから」

 

地霊殿なんて来るの久しぶりだなぁ…私はあまり地底に来ないからね、地底で戦うってだけで新鮮な気分になる。

定晴たちと本気の殺し合いをしていいと紫から言われたときはなんて楽しい企画なんだと思ったけれど…私の目に狂いはなかったね。式神たちはあまり人前で戦いたくないってんで旧都じゃなくてこっちに来たわけだけど、私も周囲に人がいたらやりづらいしちょうどいい。

定晴と戦えるかと思っていたけれど、残念ながらそれは別の機会と言われた。勇儀曰く、前の戦いのリベンジマッチなんだとか。

その代わりとして私が戦うのがこの式神二人。正直言って、定晴の式神たちは何をしてくるのか全然知らないから対策も何もない。特に、ユズって子の方はほとんど私と接点がないからどんな妖怪なのかすら分からない。そもそもあれ…妖怪なの?

 

「萃香さんも今日はここに泊まるってことでいいんですよね?」

「いいよー。みんなで酒盛りしよー」

「地霊殿にはあまり酒の備蓄はないので…」

 

なら旧都で買ってくるとしよう。確かに、地霊殿にいる子ってあまり積極的にお酒を飲んでいるイメージないし、備蓄がないのは仕方ないか。動物たちだっていっぱいいるしね。

だけど、鬼である私がいるのであればお酒を禁じるのは野暮ってもの。定晴たちも入れて酒盛りをするって決めてるんだ!

 

「萃香さん、ほどほどにしてくださいね…」

 

そういうと地霊殿の主は館の中へと入っていった。

本気の殺し合い、幻想郷でやるとすぐに霊夢に止められるから、やっぱりちょっとワクワクしてしまう。それに、相手は二人とも妖怪だから腕の二、三本吹き飛ばしても問題はないだろうから手加減なしでいける。

鬼の中でも技巧派な私だけど、別に腕力がないわけじゃないからね。本気を出せば少女の姿をしてる妖怪の腕をもぎ取るくらいできる。鬼の腕力はどれだけ弱くてもそこらへんの妖怪の腕力を優に超える。技巧派な私でも、鬼の中では中の上くらいの腕力をしているので、多分ルーミアの何倍も腕力がある。

実際に腕力を計測したことはないから…いつかの機会に何人かと腕相撲とかしてみようかね。

 

「よしっ、やるよ!」

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