東方十能力   作:nite

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三百六十二話 ラスボス?

色々と戦いをしたが、とうとう最終日となった。一応リストにはまだ名前があるのだけど…知らない名前もあるし、出会うことができなかった妖怪もいる。彼女らには……またどこかで戦いたいところだな。

さて、この戦いの最後を締めくくるのは、やはり紫…

 

「私とは前に殺しあったでしょ。今日は藍と」

「紫は戦わないのか?」

「私は…ラスボスみたいなものだから」

 

あまり理由になっていないし、ラスボスならそれこそ戦うべきだとは思うのだけど、確かに昔殺し合いをしたことがあるので、今日は藍を相手にする。

俺の相手が藍でルーミアたちの相手が橙ということかな、と思っていたのだけど。

 

「藍の式神だから、橙も定晴と戦うわよ」

「ん?じゃあルーミアたちは誰が相手なんだ?」

 

俺がそう聞くと、建物の中から誰かが出てきた。

 

「お二人の相手は私が行います」

 

頭にはシニヨンキャップ、右腕には包帯。茨が描かれた前掛けが特徴の服を着ている仙人。

茨木華扇が紫の家の中から出てきた。

 

「華扇、久しぶりだな」

「お久しぶりです定晴さん。あなたともいつか戦いたいものですね」

 

華扇は霊夢の修行などもしている人物であり、確かにこういう場でもきちんと戦いをしてくれそうだ。それに、ルーミアたちの課題についてもしっかりと注意してくれそうなので、今までの戦いで最もルーミアたちに有益な戦いとなるかもしれない。

 

「定晴、今日は何も考えずに浄化もガンガン使って本気出していいわよ」

「いいのか?」

「ええ、殺し合いなのに、本気じゃないのもだめじゃない」

 

幻想郷ではあまり浄化を使うなと言ったのは紫だろうに、どうしたのだろうか。俺の浄化に対する対抗策でも用意してきているということか?

 

「戦闘はどちらも私のスキマの中でするわ。つまり、周囲を気にする必要がないってこと。それに、危なくなったら即効回復の妖術を入れれるし退避もできるわ」

「何かあってもリカバリーができるから本気でもいいと…」

「そういうこと」

 

この場を整えてくれたのは紫だ。その紫が対策ばっちりだと言うのであれば、本当にばっちりなのだろう。俺も安心して殺し合いができるってものだ。

それに、殺し合いだというのにまだやっていないことがあるからな。藍相手ならば見せてもいいだろうし、多分知っているだろう。

 

「じゃあスキマに飲み込むわよー」

 

俺たちの足元にスキマが開いて…落ちた。

スキマ空間は距離感がバグるような見た目をしていて、地面がどこなのか分からないのが弱み…そう思っていたら、今回落ちたところには地面があった。それを見てきちんと着地する。

しっかりとしたコンクリートのような素材だ。スキマ空間にこんなものがあるなんて聞いていないのだけど…

 

「藍、この床は?」

「これは紫様が前もってスキマに入れておいたものですね。外の世界の廃墟の壁を剝いできたとかなんとか…」

 

どうやら本当にコンクリートらしい。廃墟とはいえ、平然と窃盗をするのは紫らしい。

とはいえ、コンクリートの状態は悪くなく、足場として戦う分にはまったく問題がなさそうだ。それに、コンクリートの上でなくても落ちるとかいうことはなく問題なく戦えそうなので、戦いやすくなるためだけに用意された床らしい。

 

「もしかして紫ってこういうものをいっぱいスキマに入れてたりするのか?」

「四次元ポケットというわけではないので…ただ、変なものが中に入っていることはありますね」

 

どこかのタイミングで掃除をした方がいいだろうか。藍の反応を見るに、定期的に掃除はしていそうな雰囲気ではあるが。

紫のスキマに何が入っているのかもう少し掘り下げたいところではあるけれど、今は戦闘に集中だ。

俺は藍が戦闘しているところを見ていない。対して、藍は俺が戦っているところを見ている。その違いが、殺し合いという状況に対して非常に厄介な不安要素だ。

 

「橙は呼ばなくていいのか?」

「最初からいても不安なだけですから。必要なときに呼びますよ」

 

橙はちょくちょくドジをする。藍もそれを知っているからこそ、最初からは呼ばないのだろう。

それこそ、弾幕を張るだとかスペルカードだとか、そういう単純な命令以外で呼ぶことはないのだろう。殺し合いだと俺はまず橙を狙って落とすので、そういう意味でも最初から呼ばないのは正解だ。

 

「ちなみに、殺し合いの経験は?」

「かつては多く…最近はありませんね。紫様の式神となってからは特に」

 

藍が何年生きているかが分からないので、「かつて」と言われても何年前かは分からないが、紫の式神になったのもそれなりに昔だろうから本当に久方ぶりということだろう。

 

「まあ、条件的には五分ってところかな」

 

藍は俺の手を知っている。俺は藍よりも戦い慣れている。

どちらの方が有利なのかは今の時点では分からないけれど…戦ってみればすぐに分かることだ。

俺は輝剣を構える。更にもう浄化も放出する。それだけで、藍は俺に容易に近づくことができないだろう。

 

「…参ります」

「行くぞっ」

 

九尾の狐と、人間の、最後の戦いの幕が上がった。

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