東方十能力   作:nite

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三十六話 竹林

「なかなか凄い竹林だな。外の世界じゃお目にかかれないぞ」

 

俺は今大きな竹林の前にいる。幻想郷には規格外の大きさのものが多いからか俺も()()()と言うことが増えている気がする。

それにしても大きすぎやしないか?中には霧が張っていて、簡単に迷いそうだ。しかもそれだけでなく妖怪や魔術の類いの気配がめっちゃ感じるから一度入ったらなかなか出れないだろう。流石、迷いの竹林の名前を冠しているだけのことはあるな。

さてさて、この中に入ってみたいが無計画に入ると出れなくなりそうだし…と思っていたら横から声をかけられた。

 

「ん?貴方はこの竹林に入りたいのかい?」

「誰だ?」

 

全身を構成する配色が赤と白のどちらかという少女。長い髪もまた白なので本当に白か赤しかない。

 

「私は藤原妹紅、この竹林の道案内みたいなのをしているんだけど…」

「俺は堀内定晴だ。この竹林の中に何かあるのか?」

「あれ?知らないできたの?この中には永遠亭っていう…薬屋?病院?があるよ」

「よく分かってないじゃないか」

 

ただどうやらこの中に建物があるのは分かった。なぜこんなところにとは思うが…まあ今は気にしなくてもいいだろう。

 

「入りたいの?それなら案内するけど」

「折角だし行こうかな」

 

妹紅はモンペを着ていてどこか古めかしさを感じる。それでも真っ白な髪はサラサラしているようで、風が吹くと綺麗に靡く。

妹紅は俺の返事を聞くと、分かったと言って竹林の中に入っていく。俺も後ろから竹林に入る。

 


 

竹林は意外に暗くて、光が差し込んでないところもちらほらある。俺は上を見上げると、疑問に思ったことを口にした。

 

「ここって空飛んでいったら駄目なのか?」

「貴方飛べるの?まあどのみち空にも霧が掛かっていて、ある一定範囲内だと空でも迷っちゃうんだけど」

「そこまで霧が濃いようにはおも…!?」

 

ドゴ

 

「うわ!」

 

突然落とし穴が開き、それにともなって俺の体も宙に浮く。典型的なトラップである。

 

「やーい!引っ掛かってやんの」

「あ!てゐ!」

「さてさて落ちて間抜けな姿を拝むとしようか…あれ?いない」

 

落ちた俺を見に来たのだろう。いや、正確には落ちるはずだった俺を。

 

「お前か、落とし穴を作ったのは」

「え!?いつのまn痛い痛い痛い!」

「このいたずらウサギめ」

 

実は俺は落ちる前に風を使って穴の上から逃げていたのだ。そして今犯人の後ろに回り込み耳を引っ張っている状況だ。獣タイプの妖怪には獣耳があることが多いのだが、引っ張られると結構嫌な気分になるらしい。

俺が耳をグイグイしていると妹紅が駆け寄ってきた。

 

「大丈夫か、定晴」

「ああ、俺は今少々怒っているだけだから」

「痛いよー!誰か助けて!」

 

なんだか妙にイラッとする声だ。本当はあまり痛いと思っていなさそうだしもう少し強めに…

 

「もうそれくらいにしてあげて、一応ここの案内人の一人だから」

「案内人がこんなんじゃ駄目だろ。はぁ、仕方ない…」

 

俺はうさぎの耳を離す。すると軽やかに数歩、クルッと振り返りうさうさしている。何を言っているか分からないかもしれないが、今の状態はうさうさしているとしか言えない。

 

「お前、ていって言うのか」

「いや、私はてゐだよ」

「ん?ていじゃないのか?」

「違う違う。てゐだよ」

「???」

 

妹紅が呼んでいた名前で尋ねてみたが違うと言われた。ていが言うように言っている筈なのに何故か訂正される。

 

「定晴が言っているのはていでしょ。いは、ゐって書くんだ。普通の平仮名じゃなくて旧字体の」

「ああ、成る程な…でもていもてゐも同じに聞こえるけどな。まあ人によっては貴方と貴女が聞き分けられるらしいし…」

 

それにしてもてゐってのも不思議な名前だ。幻想郷で名前について議論しても仕方ないがな。

 

「永遠亭に行くんじゃないの?」

「ああ、そうだった」

 

妹紅に考えを中断させられる。別に構わないが。

歩き出そうとしたら、てゐが話し掛けてきた。

 

「二人とも永遠亭に行くの?」

「ああ、そのつもりだが」

「じゃあ二人に幸運な力を…はい。これであと一分も歩けば着く筈だよ」

 

特に見た目も霊力も変わらない。だがてゐが俺達に何かしたようだ。

 

「なんだそれ?」

「私は人を幸運にする能力を持っているんだ!」

 

その力使えば宝くじ涙目だろうな。しないけど。

どうやら幸運にも俺たちはあと一分くらいで着くらしい。どれだけ幸運であろうと俺たちの歩く速度が変わらない以上到着時間は変わらないような気もするが…いや、それも幸運という一言で納得させることができるのかもしれない。

取り敢えず俺達は永遠亭に向かってまた歩き出した。

 

 

 

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