東方十能力   作:nite

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三十七話 永遠亭

「これはまた凄いお屋敷であることよ」

 

迷いの竹林の奥、どっしりと構える日本家屋に舌を巻く。

妹紅からは治療所だと聞いていたのだが、こんなにデカイ屋敷とは思わなかった。紅魔館といい白玉楼といい幻想郷の建物は少し、いやかなりスケールが違う…似たような事を最近思ったことある気がする。

 

「こっちだよ」

 

永遠亭の入口らしき所に立ち俺を手招きする妹紅。どうやら中まで案内してくれるようだ。

 

「あ、ああ。ここって誰が運営しているんだ?」

「え、ええと…人間?と、妖怪?」

 

どうも煮え切らないような答えをする妹紅。俺はもう少し掘り下げてみる。そもそも幻想郷でそこまで医療技術が高い者がいるとも思えないのだが…

 

「何で疑問形なんだ?」

「この際だから言うけどね、ここにはウサギと月の民がいるんだよ」

「ま、待ってくれ!月の民?」

「うん。文字通り月に住んでいる人のことだよ。正確には住んでいた、かな?」

 

月の民って、俺が思っている月の民でいいのだろうか。だとすれば何故こんなところに…そもそも奴らは地上にはほとんど干渉しないようにしているはずなのだが…しかも妹紅は()()()()()と言った。つまり調査に来ているなどという事では無いということ。考えても分からん。直接聞くしかないと言うことか。

 

「どうしたの?」

「いや、ちょっと考え事をしていただけだ。気にしなくていい」

「ま、調子悪くてもここの医者が治してくれるでしょ」

 

カラカラと笑いながら歩みを進める妹紅。どうも俺がここの特殊な雰囲気に酔ったと思っているようである。

考えがまとまらないまま俺は永遠亭のドアを叩く。月の民とはどういうことなのか、俺は頭を悩ませた。しばらくして出てきたのはウサミミを生やした女の子。これは…制服?月の奴らはこんなの着ていなかったと思うし永遠亭の制服だろうか。

 

「はーい。どちら様ですか?あ、妹紅さんと…すみませんどちら様でしょう?」

「私が案内してきたんだ。定晴って言って人間だよ」

「そうでしたか。私は鈴仙・優曇華院・イナバです。何か怪我か病気ですか?」

 

名前が長いなー、何て呼べば良いのだろうか。俺は基本的に混同しないように名字ではなく名前で呼ぶようにしているのだが…取り敢えず鈴仙でいいか。

俺は鈴仙にここに来た目的を告げる。

 

「いや、ただ竹林に建物があるって聞いて入った。それに目的がさっき増えた」

「そうですか。折角なので案内しますよ。妹紅さんはどうしますか?」

「私はいいや、あのクソ姫もいるだろうしね。定晴は大丈夫?」

 

妹紅がクソ姫という相手が誰なのかも気になるな。その姫も月の民なのだろうか。俺の知っている月の姫は二人なのだが…はてさてどうだろうか。

 

「ああ、取り敢えず大丈夫だ。またな」

「うん。またね」

 

俺は…鈴仙に連れられて中に入った。そういえばこんな間近でウサミミを見たことなかったが、近くで見てみるとちょっと興味深いな。あまり見ると失礼なのでちょっと確認する程度だけど。

中は外観からも想像出来る和風な造りだった。白玉楼程では無いがここにも立派な枯山水があり、とても雅だ。あとここも見た目以上に広い。咲夜のような能力者がここにもいるのだろうか。しかし俺の頭の中は月の民のことでいっぱいだった。目の前の鈴仙に聞いてもいいんだが、あまり勇気がない。

 

『これは月のウサギの反応だ』

『それくらいに分かってる』

 

狂気に言われなくても分かっている。玉兎であることは目の色や妖力からも把握できる。でも勇気がでない

ここで勘違いしてほしくないのが、俺はあくまで月の奴等の反感を買うようなことがしたくないのであって、ヘタレじゃないということだ。というか幻想郷で出会う人みんな女性なわけだし今更ヘタレることもないだろう。

しばらく歩くと鈴仙が一つの部屋の前で立ち止まった。

 

「こちらが師匠の部屋です」

「お、おう」

 

扉を開いて中に入る。どんな奴がいるのかと俺は中を注視した。

そこには椅子に座ってこちらに背を向けて座っている人。そしてその力の性質は…月の民。

 

「あら?お客さん?いらっし…!?」

「すまないな。まず簡単に質問に答えてくれ」

 

輝剣を構えて威圧する。流石の彼女も咄嗟に反応できなかったのか硬直している。

 

「え、ええ」

「し、師匠!?ちょっと何するんですか!?」

 

鈴仙が声を荒げる。だがしかしここで鈴仙に構っている暇はない。もしかしたら今ここで戦闘する可能性もある。

 

「すまないが少し黙っててくれ…質問だ。お前は誰だ?」

「や、八意永琳よ」

「なら、月から何しに来た?」

「姫様の付き添いで逃げてきたの」

 

逃げてきた。月の民が月から逃げてくる理由など罪を犯すくらいしかないのだが…それも訊くか。

 

「最後、何をしたんだ?」

「姫様と一緒に不老不死になる蓬莱の薬を飲んだわ」

 

月において不老不死は結構な重罪だったはず。ということはこいつは普通に犯罪で逃げてきただけか。特に嘘をついているようには見えないな。

俺は輝剣を消して威圧を解いた。永琳はホッと息を吐く。

 

「いや、まじですまんな。そうか…あんたが依姫とかに八意様って呼ばれてたやつか」

「…」

「大丈夫ですか、師匠?それに貴方、依姫様を知っているの?」

「ああ、実はな…」

 

「俺は月に行ったことがあるんだよ。」

 

 

 

 




リクエスト作品をこちらに書くと、どうも色々面倒なことがあったので、≪if東方十能力≫という名前の別作品として分けております。リクエストはそちらの方に…
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