東方十能力   作:nite

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三百八十五話 核融合炉

お燐についていくと、途中からまるでSFのような道につながり、そこをさらに進むといかにもな扉が現れた。なんというか、幻想郷には似つかわしくない見た目の扉である。

河童たちがこういったものを作っていたような気はするが…いや、むしろ河童たちが作ったからこそのデザインなのかもしれない。魔法だとか妖術だとかがある幻想郷で、わざわざこのような装置式で扉を作る必要なんてないのだ。河童たちの欲望が反映された結果であると思えば、この見た目にも納得できるというものだ。

 

「おにーさん、ここの昇降機に乗れば楽だよ」

 

いつの間にか人の姿になっていたお燐が指さした先にあったのは、どこからどう見てもエレベーターである昇降機。デパートとかで見るようなタイプのエレベーターがそこに鎮座していた。

 

「これ使えば地底との行き来も楽になるんじゃないか?」

「おにーさんみたいに気軽に地底に来るような人もいないからね」

 

例えば妖怪の山の入り口に置けば、空を飛ばなくてもスムーズに移動ができると思ったのだけど…流石に需要のないものを作るほど河童の技術力は安売りされていないようだ。

お燐と共にエレベーターに乗って上へ。この暑さだから機械類はダウンしている可能性も考えたのだが、変な音を出すこともなくエレベーターは動き出す。河童のことだから、百度にも耐えられるように作られている違いない。

移動速度はわからないが、移動時間が数秒であったことを思えば相当な速度だ。これまた聞きなれたようなチンという音とともにエレベーターの扉が開く。

 

「ここが間欠泉地下センターだよ!」

 

そこには大きく開かれた大穴が存在していた。見上げれば地上の光も見えることから、ここが地上と直通で繋がっている大穴であることがわかる。

幻想郷のどこに存在しているかわからないが、今まで妖怪の山の近くを飛んでいても気づかなかったから、もしかしたら認識阻害の魔術の一つでもかけられているのかもしれない。

 

「誰かいるのか?」

「ただでさえ熱い場所だからね。きっと今は誰もいないんじゃないかー」

 

俺の重装甲もその外部の暑さを如実に語っている。きっと今俺に触れたら火傷すること間違いなしだ。

内部の俺が暑くならないように、外部に熱を逃がすような設計になっているので、外郭が高熱になってしまうのも仕方ない。

 

「おにーさん、こっちこっち!」

 

そんな暑さであるはずなのに、元気に腕を振るお燐。やはり、妖怪によって暑さに対する耐性というのは違うらしい。少なくとも、お燐は鬼たちよりも圧倒的に熱に強いということがわかる。

 

「ここは?」

「操作室だよ。もしここが原因だったら記録に残っているはずだからね」

 

お燐の案内によってたどり着いたのは、見るからに管制室といった様相の部屋。どう使えばいいのかもわからない操作盤が所狭しと並んでいる。

 

「お燐、操作方法知っているのか?」

「んーん」

 

首を振るお燐。じゃあどうやって記録を見ればいいというのだろうか。

と、よく見たら操作盤に取り付けられているモニターは電源がついている。そこには日本語で詳細が書かれていて…こういった部屋については外の世界でも見たことがあるが、そういったところのモニターは大抵英語だったので、日本語で書かれているログというのは見慣れない。

 

「操作方法がわからないから映っている情報以上のことはわからないが、少なくともここは正常に管理されているみたいだな」

 

警告文のようなものも、オーバーヒートしている様子もない。

変なボタンを押してこの均衡状態を壊したくはないため操作盤に触れることはできないが、モニターの情報の信じるならばここが原因ではないようだ。

 

「そっかぁ…ここで解決すればおにーさんも楽だったのにね」

「まあ幻想郷全体に関わる異変なんだ。そう簡単にはいかないよ」

 

俺としても解決しなかったのは残念だが、へこたれている余裕はない。

どうにも、時間経過で少しずつ気温が上がっているらしいのだ。このままでは本当に幻想郷が蒸発してしまうことになる。

真上を見たら、その猛威を振るっている太陽が見える。それと同時に思い出す。

 

「ああ、そうか。今昼時か」

 

この格好では食事をすることができないので、食事をするならばこの格好を脱ぐことができる場所に移動しなければいけない。外ではどうにもそういった場所はないようなので、家に帰ろうかと飛び上がろうとしたら、お燐の尻尾に止められた。

 

「帰っちゃうの?」

「昼だからな。食事はしたい」

 

かつての人間は一日二食という生活を送っていたらしいが、現代社会に慣れてしまった今では昼食を抜くなんてことは考えられない。昔の日本の風習を残している幻想郷でも、その考えは一緒で、昼食というのはここにも存在している。

 

「ねえ、食べていかない?」

「ん?料理ができる場所があるのか?」

「今は誰もいないけど、地霊殿の食堂は使ってもいいよ!」

 

それを聞いて、心苦しいがこの服は脱がなければいけないということを伝える。

すると、お燐はしょぼんとしたあとに、顔にあげた。

 

「うぅ、おにーさんを隠れ場所に連れていけたらよかったんだけど」

「地上の人間である俺が無理を言うわけにはいかない。ここがどこに位置しているのかはわからないけれど、そう家とも離れていないから大丈夫だよ」

 

例え俺のためだとしても、地底の隠し場所を暴こうとは思えない。最悪の場合俺と地底の間に遺恨を残すことにも繋がりかねない。

 

「お燐、体には気をつけろよ」

 

俺はそう言って飛び立った。ひとまず、家に帰るとしよう。




お燐「こいし様、おにーさんに会いましたよ」
こいし「ええ!どこどこ!?」
お燐「いえ、ここに案内するのはあれだったので、そのまま地上に帰しました」
こいし「…そっか」

さとり「恋心と掟の間で揺れる思い…ニコニコしちゃうわね」
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