東方十能力   作:nite

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四十五話 おやつ

レミリアに挨拶しようかと思ったら咲夜曰く準備中とのことなので応接室に通された。レミリアの準備にはまだ時間がかかるようだしフランの不満が爆発してはいけないので先に食べさせてもらおうか。

 

「失礼します。定晴様、妹様」

「ありがとな」

「ありがとー」

 

咲夜からお茶を貰い俺とフランはお菓子を食べ始める。フランと会うということになるときっとスイーツが役に立つと思っていたが、間違いでは無かったようだ。現にフランは目の前で俺が作ったクッキーを嬉しそうに頬張っている。きっと咲夜の作った物には劣るだろうが、それでもフランは美味しそうに食べてくれている。

何度か不思議な顔をしていたのでどうしたのだろうかと思っていたらフランから質問が飛んできた。

 

「お兄様!今まで食べたこと無い味!何を使っているの?」

「ああ、そういうことか。フルーツの果汁を混ぜてるんだ」

 

クッキーの生地を作るときと焼き上げた後にそれぞれ果汁をかけている。そこまで多くは混ぜていないので気付かないかもしれないとも思ったがフランはちゃんと気が付いたようだ。

 

「へー!咲夜ー!今度作ってー!」

「はい、かしこまりました。定晴様、後日でよろしいので作り方を教えてくれませんか?」

「ああ、勿論」

 

もしかして果物の果汁を使った料理って幻想郷じゃあまり広く普及してないのかもしれない。というか、料理上手で完璧メイドの咲夜が知らないとなるとその可能性は高い。外の世界と違ってここではインターネットもないのでアレンジレシピなんてのは広まらないのかもしれないな。

クッキーもあと三分の一になったあたりでフランが尋ねてきた。

 

「ねえ、お兄様はここの地下の図書館には行ったの?」

「図書館?初耳なんだが」

「そうなの?お姉様が何か言ってなかった?」

「いや、全く?」

 

というか広い地下があったことすら驚きなんだが。フランが長い間地下にいたことは知っているが、それは地下牢程度の小さいものだと思っていたのだが…意外に紅魔館は俺が思っているより広いのかもしれないな。聞いた話によると咲夜が空間拡張をしていて、見た目よりも広いのは紅魔館に立ち入るだけで分かるのだが…

俺がそんな思考を巡らせていたらフランが突然叫んだ。

 

「ちょっとー!おねーさまー!どういう事なのー!お兄様に秘密にするなんて酷いよー!」

 

しかも姉批判。それをいち早く察知したのか、直ぐにレミリアがやって来た。どうやら準備を終わらせてきたらしい。咲夜がまだレミリアは寝ていると先ほど言っていたので起きて着替えて身なりを整えて、としてきたのだろう。髪ハネ一つない優雅なたたずまいである。

 

「よう、お邪魔してるぞ」

「貴方なら全然構わないわ。それよりも別に秘密にしてた訳じゃ…」

「言ってなかったなら一緒でしょー!」

 

レミリアの反論も一言で撃沈。姉弱し。

このままではレミリアがフランに負かされかねないと思いフランを宥める。

 

「まぁまぁフラン、その辺にしといてやれ」

 

特に俺自身「秘密にされた」みたいな感覚が無いから気にしていないし。

フランを鎮めてレミリアに詳細を問う。気にしていないが気になりはするのだ。

 

「なあレミリア。図書館って?」

「ふふ、幻想郷でも一番を誇る蔵書数が自慢の大図書館よ。管理は私じゃ無くて、親友のパチェ…パチュリー・ノーレッジがしているけど」

 

ああ、レミリアにも親友がいたのか。なんというか一匹狼というか、逆張りするイメージがあったからな…

 

「お姉様、ニヤニヤしてきもーい!」

「いくら何でも酷すぎない!?」

「こらフラン!あまり姉を苛めない!」

「はーい」

 

流石のレミリアもフランの暴言により涙目になっていて、とても高貴な吸血鬼には見えず可哀想に思えてくる。

まあそんなことは置いておくとして、大図書館には興味があるな。幻想郷に来てからは冒険じみたことを繰り返しているのであまり暇がないが、俺は結構な本好きなのである。はてさて案内してもらえるだろうか。

 

「なあ、レミリア、大図書館って案内してもらえるか?」

「それは別に構わないけど、本を読んだり借りたりするならパチェに聞いてね。ちょっと借りるって言葉には敏感かもしれないけど」

「ああ、了解した」

「じゃあついて来て」

 

俺はレミリアについて行く。レミリアの言葉にひっかかりつつも、本が沢山あるであろう図書館に期待しながら。

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