俺の能力を説明するにあたってまずは俺の能力名を知っておくべきだろう。勿論正式名称とかではなく、俺が勝手に言い始めたものだが。
そもそも紫から聞いた話だと幻想郷に住む妖怪たちの能力も自己申告制らしいので、大雑把なのは多いことだ。俺とて例外ではない。
「まず俺の能力名なんだが、魔理沙やアリスにも言っておくと【十の力を操る程度の能力】て言うんだ」
「なんか聞くだけだと凄そうな能力だぜ!」
魔理沙が声を大きくして言う。俺も実際使ってて『凄いなー』って思った事は何度もある。個々が強いのは勿論だが、なにより同時展開が可能なのが強い。強いものほどその代償で何かを失い、いくつかの能力の複合能力の場合大半は同時展開不可というケースが多い。しかし、俺は何故か同時展開できる。その代わり代償に何を失っているのかというと、【能力の使用中は霊力が漏れる】これだけだ。他にもありそうだが、現時点では俺は気付けていない。
とここで俺はひとつ疑問が浮かんだ。そういえば皆の能力は何なのだろうかと。
「そういえば私の能力を言ってなかったわね。私は【空を飛ぶ程度の能力】よ」
まるで心を読んだかのように、霊夢が自分の能力を言う。幻想郷では空を飛べる人は結構いるようで、霊夢の能力はそこまで強くないように見えるが、きっと俺が知らない特殊な力もあるのだろう。
勿論実際はどうなのか知らないし、能力なんて自己申告らしいから詳しく聞いたところで返事があるとは思えない。
霊夢の能力が分かったんで魔理沙たちにも聞いてみると…
「あー、私とアリスの能力は【魔法を使う程度の能力】だぜ!」
「私はたまに【人形を操る程度の能力】って言われたりするわね」
流石は魔法使い。能力があるから魔法使いなのか、魔法使いだからその能力なのかは分からないが、能力名に魔法と使うという言葉が入っているということはやはりそれなりに強いのだろう。
それにしてもアリスの能力の別名…アリスの周囲を飛んでいる人形がいるのだが、それも現在進行形で動かしている物なのだろうか。
魔理沙とアリスが言った事で流れができて、藍も自分の能力を明かす。
「なら私も言っておこうか。【式神を操る程度の能力】だ」
「ん?式神なのに式神を操るのか?」
「藍にはねぇ、
「紫様!今橙は関係無いです!」
式神の式神というのはどういう位置づけなのか分からないが、その橙という名の妖怪はいつか紹介してもらおう。
ここにいる皆の能力は教えてもらった。一度に言われて混乱しそうだが…よし覚えた。人形はやはりアリス特有なんだな。それにしても皆もなかなかに使い勝手の良さそうな能力を持っているな。
紫なんてその筆頭で、【境界を操る程度の能力】とかいう俺より強い能力を持っているし、その他の皆もそれぞれに特有の能力を持っていて俺よりも強そうだ。紫は俺の方が強いって言うけどな。
ここで霊夢が俺の方を向き、少し威圧するような感じで問いかけてきた。
「さて、これで私達の事は話したわ。次は貴方の番よ。貴方の能力は何?」
すっかり忘れていた。ここまで聞いたら俺の事も話すのが筋ってものだ。手の内を晒すようなことはしたくないが、ここまで皆の話を聞かせてもらってはこちらも答えざるをえない。
「俺の能力はさっき霊夢が言った通り、輝剣・風・結界・魔術の四つの他に六つある」
「流石に全部は言わないとして、いくつ位教えてくれるのかしら」
よく分かっている。霊夢はいままでにも俺みたいな能力を持つやつに会ったことがあるのだろうか。俺の能力にもそこまで驚いてはいなかったようだし、結構年の割に色々と体験しているのだろうか。
「とりあえず半分の三つ教えようと思う。再生・浄化・空間だな。」
「再生と浄化は何となく分かるけど空間ってなんなんだぜ?」
「まあまあ待て待て。その前に二つの説明をするぞ。再生はそのままの意味で、傷や欠損を治す力だ」
怪我をしたら少し癒してすぐに治せるし、もし俺が医者になっていたら凄いことになっていたかもしれない。もしかしたら俺が実験台になりそうだが。外の世界では能力などを持っていると言っている人は中二病か、それを拗らせている人が大多数を占める。
だがその中で本当に能力を持っている人もいる。持っている本人は世間にバレたらまずいのを自分で感覚的に分かるので言い触らしたりはしないのだが。
俺が浄化の説明をしようとしたら先に霊夢に言われてしまった。
「浄化は毒とか汚染物質を浄化出来るのよね?」
「ああそうだ、霊夢の言った事で間違いない。他にも闇の力とかも浄化出来る。ただ、空間だけは少しややこしくてな」
「霊夢や魔理沙は私が使っているスキマと同じようなものだと考えてくれればいいわ」
「でも俺のは、紫が使っているスキマのような力はなくて、見えない所に物を出し入れ出来る程度なんだ。いつでも出し入れ出来るが」
浄化というのはその名の通り、負のエネルギーを浄化することができる。そして世界の歪みを直す。なんて規模の大きいことだってできる。歪みというと凄いことを想像しそうだが、ぶっちゃっけ目の前にいる藍や紫たち妖怪だって人間の空想と想像で生まれた世界の歪みだ。だから妖怪に対してこの能力はとても効果が高い。
しかし空間だけは自分でもよく分かっていない。限界や容量もそうだが、空間だけは不可視なのも不思議だ。もしかしたら俺の使い方が悪いのかもな。
ここまで説明して霊夢は大きな声を出した。
「それだけあれば、だいたい何でも出来るじゃない!」
「霊夢。実はそれだけじゃないのよ」
「え?まだ何かあるの紫?」
「実はね…」
紫がもったいぶる。俺が残している能力のことではないようだし、俺ができるまだ言ってない事と言えば…あれだろうか。
魔理沙が待ちきれない様子で声を出す。
「早く言うんだぜ紫!」
「定晴はね……家事なら何でも出来るし、家一軒現地で造る事も出来る万能な人間なのよ!」
おい待て紫、その言い方は止めろ。それじゃあまるで未来から来た猫型ロボットみたいじゃないか。俺は空間から万能な道具を出したりはしないぞ。
「なんだその一家に一人欲しいやつは!」
「私も家に欲しいぜ!」
「あら?結婚とかすれば家に来るわよ?」
「う、ならやめとくぜ」
おいこら紫。年頃の少女になんて事言っているんだ。魔理沙を見ろ。顔が赤くなっているじゃないか。多分それなりにそういう知識はあるのだろう。魔理沙だって人間なんだし、まだ未成年だ。紫はもう少し自重を知ってもらわないとな。
「まあいいわ、ねえ貴方は家を何処にするかもう決めたの?」
また忘れてた。もう年かもなー。まだ二十歳ぐらいなはずなんだが。
霊夢に言われ思い出したが、俺は未だに家の場所も決まっていない。これから紫とスキマを使って見に行く予定なのだ。
「いや、まだだが、これから紫と主要な場所をまわるんだ」
「そうね…じゃあ定晴、そろそろ行きましょう?」
「分かった…じゃあな皆、また会おうぜ」
「まだ定晴と再戦してないぜ!」
そう言えば魔理沙との闘いをしてなかった。今日の俺は結構ぼけている。確信した。
闘ってやりたいのはやまやまだが、俺だって流石に野宿は嫌だから家の場所も決めたい。
「次またやってやるから待っててくれ」
「それなら次また弾幕ごっこしようぜ!」
俺が提案すると、魔理沙はあっさりと素直に次会ったときでも良いとと言ってくれた。他にもアリスや藍、霊夢も声を掛けてくれる。
「私も出来るだけサポートさせて貰うわ」
「私は紫様の所にいるから、紫様がなんかしたら言ってくれ。紫様はたまに暴走することがあるからな。定晴なら紫様を一人でも止められるとは思うが、何かあったら教えてくれ」
「私は基本的にこの神社にいるから聞きたい事があるなら賽銭入れて来なさい。相談くらいなら乗ってあげるわ」
賽銭は神への信仰心の表れなのだからそんな卑しく人に入れろと頼む物では無いと思うんだが、霊夢にとって賽銭が一つの判断基準らしい。
「さあ行きましょう」
「ああ、分かった」
こうして霊夢達にあらかた説明して疲れた体で俺は家の場所を決めにいく。幻想郷は広いと紫は言っていたし、色々と良い土地があると踏んでいる。
それにしても説明が長くなったせいで太陽が斜めに傾いているのだが、はたして夜までに決まるだろうか。