異変解決に乗り出したものの、どうしたらいいのだろうか。俺の知り合いに眠気を放出するやつなんていなかったと思うんだけどなぁ…まあ俺の幻想郷での知り合いなどそこまで多くはないのだけども。
「魔理沙、まずはどこに向かうんだ?」
「取り敢えず怪しいやつを手当たり次第にぶっ飛ばすぜ!」
「ちょっと待て」
中々の暴挙である。
そんなもの、何もしてない人達からすれば只のとばっちりでしかない。魔理沙が平然の如く言いのけたところから察するに、今までも同じ様な解決法をとってきたんだろうな。それで実際解決された異変があるのだから強くは言えないが、俺が同行しているからにはもっと平和的に解決させる。
「魔理沙、まずは情報収集だ。誰が起きてるって言ってたっけ?」
「ちぇ…近い所で言えば、咲夜は起きてたと思うぜ。あいつが寝ているところをそもそも見ないからな」
「じゃあ紅魔館に行くぞ」
魔理沙の不満など気にしない。平和的に終わらせられるのなら、それに越したことはない。紅魔館で何かわかればいいのだけど…
「おーい!美鈴ー!」
「起きろー!!」
まあ、こいつは寝てるよな。
飛ぶこと約数分。紅魔館へと到着していた。博麗神社からあまり遠くないからありがたいな。
逆に幻想郷中が寝ている中、美鈴が起きていたら驚きだ。そもそも美鈴は睡眠欲の塊だ。俺が来たとき起きていたことは数えられる程度にしかないのだ。咲夜が手を焼く理由が数回来ただけで分かった。
美鈴は俺達が呼び掛けても返事すらしない。俺はいつでも入れるんだが…魔理沙はどうなんだろう。本を返したといっても未だに盗人じみたことはしてるし、元から紅魔館では魔理沙を要注意人物として取り扱ってきたはずだ。そう簡単に通してもらえる気がしない。
そこのところ美鈴に確認したいのだが…
「はぁ…せめてお客様の前でぐらい起きてなさいよね」
門の奥から咲夜が現れた。寝ている美鈴の姿を見てため息をついている。
「いらっしゃいませ定晴様、と魔理沙」
「何で私は様付けじゃないんだぜ!」
「今までの行いを胸に聞いたら?」
やはり咲夜は魔理沙に対して強気だな。これは俺の予想が当たっていたと言う事で良いんだろうな。まあ見た目年が近いからそれだけ砕けて話せるのかもしれないが。
「どういったご要件でしょうか?お嬢様も妹様も就寝中なので御座いますが…」
「いや、用があるのは咲夜の方だ」
「わ、私ですか!?え、えっと…」
咲夜が目に見えて慌てだした。いつもはお淑やかに、冷静に物事を進める咲夜なだけあって物珍しさがある。そんなに俺が悪いやつに見えるか。
…悪いやつってのは少し違うか。
「実はな、今幻想郷中が睡魔に襲われているらしいんだ。魔理沙が言うには、大体の人が寝ているらしいんだが、咲夜は何か知っているかと思ってな」
俺がそう訊ねると咲夜は一気にテンションを元に戻した。もしかしたら咲夜が予想していた質問とは別だったのかもしれない。ただ咲夜が予想できるような質問を俺は持っていないが…まあ今はいいだろう。
「え、あ、そのことですか。なるほど…どうりでお嬢様達が中々起きてこないのね。定晴様、私は特に変わったことは見てませんよ」
「咲夜は?何で起きていられるんだ?俺も実際眠たくて眠たくてしょうがないんだが」
「私はショートスリーパーなんです。短い睡眠で大丈夫なんですよ。それに、日頃から仕事をこなしていれば多少の睡魔には勝てます」
ぐは。現在進行形で無職の俺には痛い言葉。というか、咲夜はショートスリーパーだったのか。確かに咲夜が寝ていて会えなかったことは無いのだが…例えそうだとしても、たまには十分に寝てほしいところだ。いや、咲夜が言うままに捉えると二時間とかの睡眠でも咲夜からすれば熟睡なのだろうか。
咲夜から情報は得られなかったか…次はどこに行こうかね。せっかく起きている人に会えたのだし一応の聞き込みはするとしよう。
「なあ、他に起きてそうなやつは知らないか?」
「そうですね…妖夢なら起きているかもしれません。他には早苗とか?」
「早苗は寝ていたことを確認済みだぜ!」
どうやら俺のところに来る前に魔理沙はある程度独自に調べていたようだ。
「そう…なら妖夢のところに行ってみては?妖夢なら何か知っているかもしれません」
「妖夢か…分かった」
こうして俺達は紅魔館を後にして、妖夢のいるであろう白玉楼に向かうのであった。