東方十能力   作:nite

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五十二話 欲求の欠如

白玉楼を飛び立って幻想郷の上空を移動していたら魔理沙が突然話しかけてきた。

 

「で、定晴はどこに向かって飛んでいるんだ?」

「え?映姫を探して…」

「場所は分かっているのか?」

 

そういえばそうだな…魔理沙の疑問は最もだ。閻魔という肩書がある位だから地獄か?でも映姫自身が解決のために動いているとしたら地獄じゃない幻想郷のどこか…人が多くいるであろう人里かな?

 

「多分人里にいるだろうからそこに向かうとしよう」

 

こんなに広い幻想郷の中じゃ映姫を探すのも大変だろうし虱潰しに頑張るか。もし会えなくても…幻想郷中を飛び回ればどこかで犯人を見つけることもできるだろう。

 


 

そのころ幻想郷の端にあるとある神社にて…

 

「…」

「グー」

「はぁ…」

「ムニャ…ん?」

「全く…貴女は何故ここで寝ているのですか?」

「そりゃ眠いからに決まってるでしょ?そっちこそ、今日の仕事はどうしたのよ」

「今日は休みです。貴女は博麗の巫女でありながら異変が起きているにも関わらず寝ている…」

「定晴さんと魔理沙が解決に行ってるんだから良いでしょ」

「はぁ…これは一度お灸を据える必要があるようですね」

 


 

人里に来るのは四日振りかな?博麗神社とそこまで距離は変わらないのだが、人里に来る用が無い。

というのも、買い物は食料ぐらいだし、幻空に入れておけば通常より長く持つ。つまり、追加の買い出しとか無いので他人に比べて買い物回数が少ないのだ。

人里に入ると近くにいた慧音に映姫を見ていないか聞いてみるが…

 

「閻魔様か?今日は見てないぞ」

「そうか、ありがとな慧音」

 

人里には来てないのか?あの閻魔なら眠りこけて仕事をしてない人に説教…ありがたいお話をするために人里に来ると思ったんだがな。

あくまで映姫の話はありがたーいお話らしいのだが…いや、あれは只の説教だろうなぁ。置き去りにされた霊夢が今から説教を食らう子供のように面倒くさそうな顔をしていたし。

 

「定晴、どうするんだ?」

「そうだなぁ…映姫を捜すのは後回しにして俺達も異変解決のために動くか」

「正直私は、あんな面倒くさい奴に会いたい意味が分からないんだ」

 

それは一理ある。だか、映姫が異変の重要な情報を握っていた場合解決が遠退いてしまう可能性があるため、そう易易と無下にはできないのだ。映姫のことだから全くの無知というわけでもないだろうしな。

俺も面倒なことになるのは厄介だがな。異変解決するためだと言えば逃げられるのだろうか。その時は、解決した後にコッテリと絞られそうだが。

 

「それじゃあ何処に…ん?」

 

魔理沙が話してる途中に突然上を見上げた。釣られるように俺も上を見上げると、そこには眠たそうに飛ぶ霊夢とその霊夢を叱る映姫の姿があった。よく魔理沙は気が付いたな。

 

「おーい!映姫ー!霊夢ー!」

「ん?」

「ほら、二人が解決のために動いているんだから私は寝てて良いじゃない」

「それが駄目だと言うのです」

 

何か言い争いしながら降りてきたぞ…閻魔に対して口応えとは、霊夢も怖い者知らずだな。

魔理沙は心底嫌そうな顔を一瞬したが、映姫が睨むとすぐに作り笑いをした。

 

「よう、映姫」

「貴方は今、この睡眠、いえ、惰眠異変を解決するために動いていますね?」

 

映姫はこちらに向き直り俺に確かめるように言葉を投げかけた。

 

「ああ、そうだ。その様子から察するに、神社で眠っていた霊夢を起こして仕事をさせるために動かしていた、って感じか?」

「ええ。博麗の巫女でありながらも、仕事を他人に任せる浅はかな考えに少しばかりお灸を…といった感じです」

 

霊夢は…これは映姫が何を言っても真面目に働かないだろうな。全身から怠そうなオーラを出している。もしやこれが気というものなのか…お灸を据えたというものの霊夢は嫌々ついてきているだろうし俺たちの異変解決を手伝ってくれる様子はない。

霊夢を無視して映姫のことを見る。すると映姫は懐から一枚の紙を取り出した。

 

「それでですね…今回の異変のポイントを調べました」

 

なるほど…博麗神社に来る前にも色々と廻ってきたらしいな。幻想郷ではあまり目にすることのない上等な紙には今回の異変についての詳細が書かれていた。

それによると、今回の異変では仕事熱心な人ほど眠らず働き、霊夢のように楽をしようとする人ほど眠るらしい。その原理ならば、幽々子は仕事熱心だということになるが…あれは例外かな?

それと、今回の異変は空気中に舞っている粒子が引き起こしているらしい。それが埃なのか花粉なのかは分からないけど、粒子の正体が分かれば異変は解決しそうだな。

 

「因みにですが、仕事熱心な方でも寝ている人もいます。例えばですが、妖怪の山の天狗などは眠っていました。ので、私が刺激を与えて眠気を覚ましてあげました」

「映姫は眠くならなかったのか?」

「今の幻想郷で眠っている暇があったら私は仕事をします。眠らなくて死んだという履歴は幻想郷では今のところありませんし、何より私は閻魔です。多少ハードなことでも対応出来ます」

 

そう言って霊夢を睨む映姫。だが霊夢はこっちのことなどそっちのけで魔理沙と話している。気持ちは分からんでもないが、映姫は怒ると何をしでかすか分からないし注意しておいたほうがいいと思うぞ。

というか、眠らないって…お前はどこの社畜かっつうの。閻魔はやっぱり他の生物とはかけ離れているんだな。

 

「私はこの巫女に仕事のなんたるかを教えておきますので貴方は粒子の正体でも探して来てください」

「りょーかい」

 

あまり映姫と関わっていると面倒だからサッサと退散させてもらおう。霊夢だってあまり映姫と関わりたくないだろうから途中から異変解決のために動くだろう。

魔理沙と共に俺は人里を飛び出した。そして早速背後から映姫の説教の声が聞こえてきた。何も人里で、しかも博麗の巫女の説教をしなくてもとは思うが霊夢の自業自得でもあるので頑張ってほしいところである。

 

 

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