東方十能力   作:nite

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五十五話 花畑へ

魔理沙と共に花畑へ向かう。前回訪れた時は冬の終わりで、幽香が少し眠そうにしていた時のことだった。冬にも咲く花はあるので幽香は活動するが、やはり他の季節に比べると種類も少ないので幽香は穏やかなのだ。花畑に入っても荒れる心配がほとんどないので幽香と遊びたいなら冬がおすすめ。

そして冬も過ぎて今は春の始め辺り。ここ幻想郷でも桜やら梅やらが至る所で咲き誇り、春の訪れを感じる季節だ。幻想郷中に花が咲いているため幽香も飛び回ってるのではないだろうか。

いなかったらいなかったで彼女の大切な花々を傷付けないように調査するだけだがな。

 

「幽香って幻想郷でも上位に入るほどの強さだぞ?戦って勝てるのか?」

「大丈夫じゃないか?勝てなさそうなら交渉してみるけど」

 

一緒に住んでいたときも戦闘はしなかったのだが、幻想郷において幽香は恐怖の対象になっているのだろうか。そういや最初花畑に行こうとした時も文に止められたな。結構心配してくれたのだが、俺からしてみれば幽香なんて可愛いものだ。どういうわけか長いこと生きている妖怪は人間らしい習慣を会得するみたいで、幽香も紫も普通の人間と同じような生活をしている。となればあとに残るのはただの少女要素だけである。

仕事の関係上、もっと凶暴かつ話し合いもできないような妖怪なんて飽きるほど見てきた。幽香以上にやばい奴なんかいっぱいいる。というか意思疎通ができるというだけでイージーに感じる。幻想郷では意思疎通ができる妖怪が多いので幻想郷住民にはあまり実感できないのかもしれないが、意思疎通ってすごい大事。

しばらく飛べば花畑は見えてくる。あの近くに幽香の家もあるはずだ。

 

「お、見えてきたな」

「定晴が危険そうだったら私がマスタースパーク撃ってやるからな!安心してくれ!」

 

幽香と共に俺もスパークされそうなんですが一体…魔理沙はパワータイプだし、俺が巻き込まれる可能性があるなぁ…あまり話を掘り下げても面倒になるだけだし適当に返事しておく。背後から撃たれても大丈夫なように結界でも張っておくかな…

さて、問題はここからなのだが、ここが元凶となっているとは決まった訳ではない。即ち、調査をする必要があるのだ。

幽香に訊くのが一番簡単で、一番早い解決方法だと思う。幽香が悪意を持ってしている場合は嘘をつくかもしれないが、幽香がそんな悪い妖怪ではないと信じている。呼び出して確認してみよう。

幽香の家の前に立ち、中に向かって呼びかける。しかし、待てども待てども出てこない。寝ている可能性もあるのだが、外出しているかもしれない。俺と幽香が出会った時もそうだったが、風見幽香という妖怪は植物さえあれば何処にでも行ってしまうのだ。特に今の季節は芽吹こうとしている植物が多くて、幽香もすることがあるのではなかろうか。

魔理沙と相談していたら、意外にも後ろから声がした。

 

「あれ?二人とも、どうしたのよ」

「幽香じゃないか。やっぱり外出してたんだな」

 

いつもの服装とは少し違いガーデニング用の服装に着替えた幽香がそこに立っていた。どうやらここらへんの花壇を整備していたようである。

本人がいるのなら無理矢理綺麗な花畑の中や家の中を調べなくて済む。早速ここまでの流れを要約し幽香に説明。その流れで事情聴取もする。

 

「粒子ねぇ…ここで出る粒子なんて花粉か料理に使ってる調味料ぐらいね。でも調味料は普通に使うやつだし…あっ」

「ん?何か思い出したか?」

「えっと…」

 

俺が尋ねると幽香は突如として黙り込んでしまった。これは怪しい行動ととっていいのだろうか。

俺が怪しんでいることに気付いたのか、焦ったように話し始めた。

 

「こ、ここには何も無いわ。他を当たって頂戴」

 

そう行って奥の方をチラチラ見る幽香。隠す気を感じることができないのだが、幽香はあれで隠しているつもりなのだろうか。

 

「なあ幽香、ちょっとこっち見ていいか?」

「え!?なんで!?別にいいじゃない。さあさあ、他の場所に行きましょー。まだ花が満開じゃないから定晴にはその時に見てほしいなーって思うのだけど」

「まあまあ、そんな硬い事言うなよ。少しだけだよ、ほんのちょっぴり見るだけだからさ」

 

俺が怪しいと感じている場所へ移動しようとすると幽香はワタワタと手を振って通せんぼする。俺は幽香の手が届かない場所を上手い具合に通過し、阻まれることなく裏に回った。幽香は少しばかり動きが遅いので身体強化を使わずとも体の動かし方次第で幽香くらいなら簡単に避けることができる。

家の裏側の見えずらいところにあった花壇。ここも幽香がこまめに整備しているのだと分かる広めの場所。

そこにあったのは…大量の花粉を振りまく花だった。

 

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