なのにいつもより長いという謎
攻撃には取り敢えず魔術を使う。
元より俺には魔術への適正がほとんどないのでどうしても簡単なものしか撃つことができないが、牽制には十分の働きをしてくれる。尚一番適正があるので剣術である。
それに対し幽香は一点集中型の攻撃的な弾幕を仕掛けてくる。レーザーみたいなやつだ。しかもそれが多数。
一点集中で大量とか、本当に鬼畜だと思う。思いの外躱すのが難しくて結界やら魔術やらを使いながら逃げる。
流石にそう長い間撃ち続けることはできないようで、しばらく躱していたら攻撃が止んだ。すると次は傘の先端から細かい弾幕が飛び出してきた。どうやらあの日傘は杖的な役割も果たすことができるらしい。
「細かく来るんだったらこっちだって!連射【連続劣界】!」
幽香の放った弾幕を大量の脆い結界で相殺していく。しかし相殺
さっきも言ったが俺は魔術との相性はそこまで高くない。さっき使った魔術スペカもすぐに幽香のレーザーによって掻き消されてしまった。幻想郷に来て多少は適応しつつあるのだろうけど外の世界との威力の違いは今一つ分かっていない。適性がないので伸びしろもほとんどなかったのだろう。
おっと別の事を考えていたら幽香が今の状況に耐え兼ねてスペカを発動してきた。戦いに集中しないとな。考え事をしてしまうのは悪い癖だ。
「幽香ー!そろそろ諦めないかー!?」
「この綺麗な花々に危害を加えようとするやつは誰であろうと許さないわ!」
まじで話を聞かないな、このフラワーマスターは。別に危害を加えようとしてるわけではないのに全く信じてくれない。というか俺がやろうとしてることすら話せてないというのに。
「この花達は私が丹精込めて育ててきた大事な子達なの!こんな所で散らせてたまりますか!」
幽香め…勝手にヒートアップしやがって。いい加減イライラしてきたぞ。
俺が輝剣を召喚しようとした時、横から何かが突っ込んできて、俺にレーザーを放った。素早く結界を張り防御する。
突っ込んできたそいつは俺と幽香の間で止まって、幽香に対して攻撃を始めた。
「定晴!私に許可なく弾幕ごっこを始めるなんてズルいんだぜ!」
一人で先に寝ていた奴が何を言う。というかそれなら俺じゃ無くて幽香にマスパを撃ってくれ。何故敵じゃなく俺に撃ったのかとても疑問に思う。注意を惹かせるのであれば最初に突っ込んできた時点でその目的は達成されているのだが。
「後は私に任せるんだぜ!」
「何よ貴女!突然割り込んで来るんじゃないわよ!」
魔理沙に大量の弾幕が降り注ぐ。流石数多なる異変を解決してきた身のこなしで軽く躱していく。
俺は巻き込まれないように離れた所で傍観させてもらおう。俺がいなくなっても気付かないようだし。
折角だし、幽香がどれほど強くなったかを客観的に見るとする。
俺と初めて会った時もそれなりに妖力を持っていたのだが、今では紫並に持っている。戦闘中は分からなかったが、いざ幽香を調べてみると中々に強くなっているのが分かる。それに結構戦闘慣れしているのか魔理沙が動くであろう方向に分かりづらいように罠の様なものを張っている。魔理沙は魔理沙でそういうところは気を付けているようで、殆ど当たっていないのだが。
俺は単調な弾幕か一撃必殺のような弾幕しか撃てないため幽香のようにテクニカルな攻撃が出来ない。まあ俺の能力の内複雑な弾幕を撃てそうなのが魔術だけだし、それに適性が無いという慈悲の無さ。
弾幕ごっこでは反則だが、結界で檻を創ってそこに剣術【一閃斬り】を叩き込めば大抵のやつらは殺れる。例外があるとすれば結界を割れる奴か転移が出来る奴。もしくはミキのようにそもそも効かない奴だろうな。弾幕ごっこではないガチの殺し合いであれば俺にも分があるのだけど。
さて、魔理沙達の戦闘については未だにどちらも決定打を決められず膠着状態だ。魔理沙がレーザーを放ち、幽香が躱しす。その後弾幕を張るが、魔理沙も避けていく。これがずっと続いている。二人とも飛んでいるため全方位に逃げられるのが原因だろうか。それにしても長いが。
そろそろ魔理沙と代わらせてもらうか。見ているだけじゃつまらないからな。
「お〜い!魔理沙ー!交代だー!」
「な、まだだぜ!」
「隙ありー!」
魔理沙がこちらを見た隙きを見て幽香が魔理沙にレーザーを放つ。反応出来ないままレーザーに飲み込まれ落ちていく魔理沙。可哀想ではあるがしょうがない。別に俺はこれを狙ったわけではないよ?
魔理沙を回収した後再度幽香に対峙する。長い戦闘時間と、魔理沙の強烈な弾幕のお陰か幽香は荒く呼吸をしている。
こちらは既に準備が完了している。まあ霊力を回復させただけではあるが。
「さて、幽香。終わらせる」
「ッ!」
幽香が身構える。それもそのはず俺は霊力を全力で出してわざと警戒させているのだから。逆にこれで何の反応も示さなかったら凹む。霊力量には自信があるのでね。
「な、何する気よ」
「ちょっとしたことだ…躱せるものなら躱してみな!奥義【四方三千斬】!」
高速で動き幽香の展開している弾幕を斬りつつ俺の弾幕を展開していく。反則にはならない程度に薄くはしているがそれでも中々に厳しい量だ。さらに幽香が新たに出した弾も斬っていくという徹底さ。
幽香は弾を出すのを諦め妖力を溜めだした。確かに輝剣ではレーザーを斬ることが出来ない。そう
「はあああ!」
幽香が色んな方向にレーザーを放つ。高速で動いている俺に的確に当てるのは困難だと判断した結果なのだろうけど、そのせいで一つ一つの威力は多少なりとも落ちてしまっている。
俺がレーザーを撃たれても平気で高速で動く理由。それは…
「消えろ!」
俺が手を振るとレーザーが雲散霧消した。これが俺の十個目の力【無効化】だ。ほとんどのものを無効化できるこの力は代償として使った後に硬直時間とリキャストを要する。今の幽香は妖力の量もあまり残っていないため硬直している俺に攻撃するだけの気力はないようだがな。
「な、何よそれ!卑怯よ!」
「はいはい何とでも言え。今更感しかないから気にしないぞ。それと幽香」
「何?」
「後ろ」
「へ?きゃっ!」
先に撃っていた弾に被弾し落ちていく幽香。それを素早く支える。こうしてとうとう幽香との戦闘が終わった。