「お〜い。起きろ〜。」
魔理沙は比較的早く起きたのだが、幽香が中々起きない。剣術系だから威力調整が難しいのだが、十分以上も気絶してしまうようじゃ弾幕ごっこに使うスペカにしたは少々危険だろうな。因みに魔理沙は俺のせいで負けたとご立腹の様子で口を聞いてくれないので落ち着くまで放置することにしている。
「…」
「起きねえ…」
直接輝剣振ったのではなく置いといた霊力弾に当たっただけだというのにこの威力…幻想郷に来て能力が強化されたのはいいけど断然操作が難しくなってる。いい加減本気で練習しないと弱い妖怪とかは殺してしまいそうだ。
「ん、んん…」
「幽香?お〜い。」
反応があったがそれでも起きない…となればあとはショックを加えれば…って弱ってるやつに浄化掛けたらまじで消えそうだし止めよう。
「あ…れ?定晴…?」
「お〜幽香。おはよう。」
「どんくらい寝てた…?」
「十分ちょいぐらい。」
少しずつ覚醒してきたな。幽香も起きたことだしそろそろこの状態を解くか。
「ほら、頭を起こしてくれ。俺が動けないだろ。」
「え、どういう…ん?待って。寝ている私の目の前に顔があるということは…!?」
突然ガバッと起きて立ち上がる幽香。吃驚して転びそうになった。
まあこんだけ早く動けるんなら安心だな。ずっと地面で木の下で膝枕してたせいで少し足も痺れてきたし、そろそろ起きたかったから丁度良い。
俺が痺れた足でなんとか立ち上がると、幽香が顔を赤くして怒鳴ってきた。
「な、な、な、何で膝枕なんてしてんのよ!」
「だって地面に寝かせておくのは衛生的にもよくないし、頭は少し上げておいた方が健康上問題ないし…」
「違う!そういうことじゃない!」
「えぇ…」
幽香が何に怒っているのか全く分からん。幽香の家には鍵かかってるから入れないし、人里とかは遠いからここで寝かせておいただけなのに何故怒るのか。
あれか。弾幕ごっこで負けた上に膝枕されて悔しいみたいなところか。まあ負けた相手に情けをかけられるのは嫌だなぁ。今回は仕方ない理由があったので特に気にしはしないが。
「はぁ…本当に貴方っていつまで経っても鈍感ね。」
「何がだよ。妖怪が来るのを察知する速度は紫より早いんだぞ。」
「そういうことじゃ…はぁ。もう良いわよ。」
なんか呆れられた。何故か色んな奴に鈍感だと言われるのだが、俺自身全く鈍感だと思っていない。敵や目標を見つける速度は紫より早いし、反射神経もそれなりにある方だ。それなのに鈍感とは一体…もしかして裏で秘密裏に何かしているのを気付けていないのかな。
「それにしても私…負けたのね。」
「ああ。そうだ。取り敢えず話を聞け。」
「仕方ないわ…花を抜くなり枯らすなり好きにしなさいよ。」
「別にそんなつもりは元より無いぞ。」
「え!?」
そんな驚いた声を出されても…俺は最初から話し合いで住ませたかったのに幽香が早とちりして攻撃してきたのが悪い。魔理沙とも話し合いで済むんだったらそれが良いと話していたのに、話し合う時間すらくれないとか。
「じゃ、じゃあどうすんのよ。」
「まあまあ聞け。幽香は外の世界に行くことが稀にあるんだな?」
「あのスキマが許してくれたら行くこともあるけど…」
「じゃあビニールハウスを見たことがあるか?」
「ビニール…?」
幽香に俺が考えたことを伝える。
俺が考えたのは花をまるごとビニールハウスで覆ってしまうことだ。ビニールハウスは元々野菜などの作物を一定の温度で保ち、急激な気温変化にも耐えられるようにする道具だが、作り方や使い方を変えれば多少は応用が効く。
実際構造さえ変えてしまえば花粉は幻想郷中にばら撒かず、生態にも寄るが植物の育ちは良くなる。いわゆるWin-Winの関係ってやつだな。
「でもどうやってそのビニールハウスってやつを造るのよ。」
「外の世界で多くの仕事を転々としてきた俺を嘗めるな。道具と材料さえあればすぐにでも造れるぞ。道具は俺の家にあるが材料かぁ…」
「あのスキマは寝てるしあの九尾に頼んで見れば?」
藍かぁ…流石に紫の許可なく動くことは出来ないだろうなぁ。かといって俺が勝手に幻想郷出たら怒られるだろうし、どうにか幻想郷内部だけで手に入らないものか。
思案しているとずっと機嫌が悪かった魔理沙が口を開いた。
「なあ、そのビニールハウスってやつの材料って何なんだ?」
「ん?基本は骨組みになる鉄とビニールだな。まあ鉄は代用できるし何とかするが。」
「ビニールって自然にあるのか?」
「いや、化合とかで作る人工物だな。あまり科学技術を持ち込まない方が良いんだが場合が場合だし。」
「じゃあさ。河童達に頼ってみるのも良いんじゃないか?」
河童だと?そういや初めて香霖堂に行ったときに霖之助が河童は凄い技術を持っていると言ってたな。なんでも外の世界のラジオを使って何かしているとか、いないとか。
「そうね。外の世界にしか無いものは持ち込んじゃいけないけど幻想郷内部で作ってしまえば問題無いらしいわよ。」
「そんな緩いのか。まあいい、河童達は妖怪の山か?」
「じゃあ私が案内してやるぜ!」
「了解。ということだから幽香、もうちょい待っててくれ。その間できるだけ花粉を撒かないようにしてくれると助かる。」
「まあ負けてしまったししょうがないわね。」
幽香に一度別れを告げ魔理沙と共に飛び立つ。目的地は河童のにとりや巫女の早苗がいる妖怪の山だ。