東方十能力   作:nite

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五十九話 河童の科学力は…

「河童達がいるのはこっちの方だぜ。」

 

魔理沙の案内で妖怪の山を進む。天狗は大半寝ている筈なので大丈夫だとは思うが…映姫が起こしたついでに叱ったとか言っていたけど、それに驚いてバリバリ仕事しているとかないよな?

確認の意味も込めて魔理沙に訊ねてみる。

 

「この道なら天狗に会わないのか?」

「あまり会わないな。そもそもここら辺は妖怪自体が少ないから天狗達もあまり警戒してないんだろ。さっき山に来たときに倒したから犬っころも来ないだろうし。」

「犬っころ?ああ、椛か。」

 

あいつ大丈夫だろうか。上司に凄い怒られていたりして。まあ戦闘で負けてしまったのだからどうしようもないのだが。

 

「定晴、そろそろだぞ!」

「ん?」

 

突如山の向こうから黒いものが立ち昇っているのが見える。

煙だ。

 

「おいおい!魔理沙、火事じゃないのか?」

「いつも上がってる煙より濃い気がするな。行くぞ!」

 

急いで煙の原因があるであろう場所に向かう。

 


 

そこには数本の木が音をたてて燃えていた。近くに数人河童っぽいのがいるが、実験しているのではなく完全に予定外の事故のようだな。怯えている者、立ち尽くしている者、逃げ出している者もいる。それに泣いている者も。

 

「魔理沙!水の魔法は使えるか?」

「パチュリー程じゃないが多少はできる!」

 

そして二人がかりで水を消していく。が、魔術のあまり精通していない人間と多少できる程度の人間二人では明らかに水圧が足りていない。

俺たちが苦戦している間にも少しずつ周囲の木にも燃え広がっていく。そうとう火力があるらしく俺たちが放った水の一部が途中で気化してしまう。

 

保護【アクアシェル】

 

取り敢えず火傷しないようにプロテクトをかけて少し近付く。それでもまだ足りない。

水を出し始めてから一分ほど経っただろうか。後ろから大きな声が聞こえた。

 

「お前ら退けろおおお!」

 

その声と同時に大量の水が降り注ぐ。雨では無い。妖力が籠もっている謂わば妖術だ。そして水の出どころは俺たちの丁度後ろ。大きなノズルのようなものから放出されている。それを持っているのは俺が知っている人物のようだ。

さっきまで俺たちが苦戦していた炎が一気に消火されていく。水がかけ始められてからたったの十秒、炎は完全に消火されていた。

俺達は声をあげた張本人…河城にとりに近付いた。

 

「ふい〜疲れた。」

「おう、にとり。久しぶりだな。お疲れ様。」

 

俺が話かけると、こちらを見て驚いたような声をあげる。いや、実際驚いているのだろう。

 

「ほへ~定晴じゃん。てっきり天狗に捕まって面倒なことになったのかと思ったけど…まあこうして元気な状態で再開できたのならいいか!」

「なあにとり。さっき水を出す時に使っていたノズルみたいなのは何なんだ?」

「ああ、あれ?あれは私が作った【超水圧向上にとりちゃん二号】だよ。」

 

ネーミングセンスは置いといて水圧向上とな。掻い摘んで説明すると、にとりの能力【水を操る程度の能力】を使ってノズルの元が差し込んである機械に注入する。そしてスイッチをいれるとよく分からない機械が動いて水の勢いが増すらしい。よく分からない機械っていうのはにとりが説明していることが理解できなかったのでよく分からないということにしている。経験上それは多分ポンプだろうけどな。

ちなみに何故二号なのかというと、一号は水圧が高すぎて操作しきれなくなり家の屋根を破壊したため、らしい。それを改良して二号というわけだな。

 

「よくこんなもの作れるな。」

「そりゃあ!河童の科学力は幻想郷一!だからね。」

 

どこかで聞いたことのあるセリフを言うにとり。さしずめ外来人の誰かがそこらへんの知識を教えたんだろうな。

 

「さて、頼みたいことがあるんだが…」

「その前にちょっと待ってくれるかな。もう少ししないといけないことがあるみたい…」

 

にとりはそういうとさっきからずっと泣いている河童の元に行った。泣いている子を助けてあげるとは、よくできている子だと実感する。外の世界じゃ泣いている子がいても無視が多く、正面から助けてくれる人はほんの一握りしかいない。昔ながらの習慣が残っている幻想郷だから生まれた光景なのだろうか。外の世界でもこんな人がいっぱいになればいいのにな。

 

「水は消したの?どうしたの?」

「違うの!さっきの火事の中に、友達が、友達が…」

「え!?そんな!早く助けないと。」

 

魔理沙に合図を出し素早く行動する。目的は勿論その子の捜索だ。怪我をしていなければいいのだが、さっきの火事の真っ只中にいてそれは不可能に等しいだろう。火傷などをしていれば早く治療してあげなければ、例え生きていたとしても痕が残ってしまう可能性がある。

魔理沙とにとり、更にそこらへんにいた他の河童たちと一緒に探すこと五分。魔理沙の方から声があがった。どうやら河童の友達が発見されたらしい。

直ぐにその場に駆け付けると、体の半分近くが焼けている河童が地面に寝そべっていた。脈を測り生存を確認すると素早く能力の再生を行使する。この再生は体力の回復はそれなりにしかできないが、体位欠如の修復や状態異常の治療にすごく効果がある。毒とかは浄化を使うが。

 

「大丈夫かな…」

「分からん。一応処置はしているが最悪の場合体の一部が動かなくなったり痛みが残ったりするかもしれない。その時はちゃんと看病してあげろよ?」

 

能力を使って一分。分かりやすい傷などは治ったが、それ以外の見えにくいところや妖力の消耗などは治っていない。そもそも神聖系の力を妖怪に使っても大丈夫かという疑問が残るが、美鈴に使って大丈夫だったのだし問題ないだろう。

ずっと気絶していた河童だったが、治療をしたことで呼吸もそれなりに安定し、目を覚ました。

 

「ん…んん?」

「あ、あ…うわーん!よかったよー!」

 

さっきまで泣いていた子が火傷していた河童を強く締め付ける。そして俺に向かって何度もお礼を言ってきた。

これで一つの小さな命が救われた。

 

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