河童を助けた俺たちはにとりの工房に案内された。
なんでも、仲間の河童を助けてくれたお礼がしたいとか。丁度いいので俺の依頼を伝えてしまおう。
「さっき頼み事があるって言っていたよね?凄いお金がかかるやつ以外なら基本何でも作ってあげるよ」
「それは助かる。実はな…」
今までのあらすじと俺が欲しいものを伝える。するとにとりは少し難しそうな顔をした。やはり河童でも難しい依頼だろうか。
「う~ん、それは難しいかもねぇ。化学合成しているんでしょ?私たちも合成したりして新しい材料を創ったりしているけどね、それにはやっぱりそれなりに時間がかかるんだ。いつかはできるだろうけど、二、三日では完成する確率は低いだろうねぇ」
「じゃあ代わりになるものはないか?ビニールじゃなくても俺がさっき言った案に代用できそうなものだ」
花粉が止まってくれることはないので今日中に必要なものだ。待つことはできない。
今回の作成にあたって、素材として必要な要素は主に三つだ。
一つは耐久性。これは固いということではなく、少々の衝撃にも耐えることが出来る丈夫さを示す。二つ目は柔軟性。柔らかくなければハウスの形に合わせることが出来ない。そして三つ目は汎用性。今回はハウスを作るだけだが、もしこれが新しい素材として有能ならば、他のことにも使うことが出来たら素晴らしいだろう。勿論絶対に必要というわけではないので、最後のはおまけだ。
「じゃあちょっと待っててくれる?他の河童たちと話し合ってくる」
「すまないな。ありがとう」
「いいってことよ」
そう言い残してにとりは奥扉のに入って行った。その奥がどうなっているのかは分からないがさしずめ河童たちの工房か研究室ってところだろう。河童はほとんど皆科学力がすごいらしいので不安はない。
のだが、やはり外の世界の知恵が幻想郷に広がってしまうのはいかがなものなのだろうと思ってしまう。紫的にはセーフを出してくれるかもしれないが、明らかに異物な気がしてならない。河童は外の世界のものよりも優秀なものを作ってきそうでちょっと怖いのだ。
待つこと五分。思ったより早くにとりは帰ってきた。
「話は固まったよ。最近ビニールってやつに代用できそうな素材を作ったやつがいたんだ。植物に影響は与えないだろうし大丈夫だろうって話だったんだけど、いいかな?」
「ああ、もちろんだ。助かるよ」
そしてまたもやにとりは奥の扉に入っていく。今度は制作、もしくは譲り受けるんだろうな。まあ元となるのがあるんだったら大丈夫だろう。
なので時間もあまりかからないと予測する。そうしないと隣でずっと寝ている魔理沙を叩き起こすことができないからな。本当にこいつは…戦闘以外は興味がないのだろうか。そういえば研究は好きなんだっけ?
俺の予想通り、比較的早くにとりが透明な物体を持ってきた。
「こんな感じだよ?いい?」
「よく見せてくれ」
そして俺はにとりからそれを受け取る。
触った感じはまんまビニールのようだが、透明度が高く光の反射によっては見えない時もあるぐらいだ。柔らかいのでハウスの形に形成することもできるだろうし、頑丈そうなので花への被害をなくす効果もあるかもしれない。
これは…使える。
「これでいい。大丈夫だ。助かった」
「ふふふ、こんなこと河童にとっては造作もないね」
どや顔をするにとり。確かにこの素材を作れるのならば幻想郷で科学力が一番あるというのは嘘ではないようだ。
「思った以上にいいのが来たしありがたいよ」
「いいよいいよ。これが河童を助けてくれたお礼なんだから」
そう言ってくれるのであればありがたく頂戴させてもらいますかね。
「まっ!河童たちは定晴のことは歓迎するからさ。いつでもおいでよ」
「何か頼みたいことがあれば覗きに来るよ」
「おいでおいで。私たちはいつでも進化しているからさ」
河童たちならば化学調味料も作れてしまうのだろうか。そうだとしたら必ずもう一度来るだろうな。外の世界にしか売っていないものを作ってもらうのにちょうどいい。
今回は異変解決のために来ているので、幽香のもとにさっさと帰ってしまおう。
魔理沙を起こし建物を出ようとしたら、後ろからにとりが話しかけてきた。
「そうそう、それの名前を教えてなかったね」
「名前があるのか?」
「勿論!それはね…『強化河童硝子』又の名を『幻想ビニール』さ!」
「幻想ビニール…」
外の世界ではなく幻想郷で作られたから幻想ビニール…安直ではあるが分かりやすいし何となく響きが良い。ありがたく使わせてもらおう。というかその名前は俺がさっきビニールというものを教えてから付けた名前だろう。
「そんじゃねー!」
「またな」
材料も手に入ったし、魔理沙をたたき起こしたらすぐに幽香の元へ帰るとしよう。