東方十能力   作:nite

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最近少し投稿ペースが早いのには理由が…


六十一話 組み立て

にとりと別れた俺たちは急いで幽香のもとに向かう。が、俺の家に寄って先に道具を手に入れなければならない。組み立てをするのに必要だからだ。

河童のところで借りようとしたが、俺が知らないような道具や幻想郷でしか使わない道具など、分からないことが増えてしまったので諦めて自分のものを使うことにした。

まあ、慣れた道具の方が作業が進むっていう話も聞くし問題ないだろう。

 

「定晴の家来るの久しぶりな気がするぜ」

「基本俺の家じゃなくて博麗神社で会うことが多いからだろ」

 

家に着くと早速入り、倉庫にしまっている道具を探す。建築業の仕事をしたのはここ一年ではなかったな。去年か一昨年くらいに一度バイト要員として参加したような気がするがあまり覚えてはいない。

 

「道具無しじゃ出来ないのか?」

「流石にきついところがある」

 

といっても使う道具はよくあるありふれた物ばかりだ。金槌、定規、テープ…などなど。

それなりに使うことの多いような道具だから倉庫の入口の方にあると思ったが思いの外見つからない。もしかして別の所に収納しているのか?

幻空の中には入っていなかったことはさっき確認済みだし…かといって家にある収納スペースといえばあとは…階段下の物置か?あそこは出しにくいから物は出来るだけ入れないようにしているのだが、もしかしたら間違えてそこに収納している可能性があるな。

倉庫の扉を閉め階段下の物置部屋に向かう。家は俺が暇なときに掃除しているから全体的はきれいなのだが、倉庫や物置はどうしても掃除が行き届かないことが多い。まあ何が言いたいのかというのかと、物置部屋の埃っぽさが凄い。病原体がいたら嫌だから入る前に浄化能力を使って部屋を一通り洗浄する。

 

「その力は便利だなー」

「掃除ができるわけじゃないけどな。消毒みたいなもんだ」

 

五分ほど探したらお目当てのものは見つかった。どうやら本当に間違えて収納していたらしい。まあこれで取り敢えず準備ができたので魔理沙を呼んでもう一度空を飛ぶ。俺の家から太陽の花畑はそれなりの距離だが、妖怪の山の方が遠いことを考えるとそこまでだなと感じる。

 

「おーい!持ってきたぞー!」

「やっと帰って来たわね。全然帰ってこないから、少しだけ心配したわ」

 

幽香は人との関わりを持たず、他人のことには興味のないような印象があるが、それなりに親しくなると幽香も楽しそうに話し出す。別に俺だけじゃなくて、例えば人里の花屋の店主とか、もしくは紫とか。共通の話題があったり古くからの友人だったりすると比較的話してくれる。

話が逸れたが、到着してすぐに作業を始める。作業着も持ってはいるが幻空から出すのが面倒だし、着替えるのもあれなので、この服装のまますることにした。特に汚れ作業とかも無いし、それこそ突然土砂降りにでもならない限りそこまで汚れない仕事だ。

今日は皆眠たくなるほどの晴天。雨に見舞われる心配はないだろう。

 

「それを花たちの周囲に置くのね」

「ああ、そうだ。実際は囲うだけだが」

 

幽香が河童のビニールを見て呟いた。

さて、作業を始める。まずは骨組みだが、これはにとりのところで貰ってきた『普通の状態ならば柔らかいが、魔力や妖力を込めると固くなる』という幻想郷ならではの素材がある。霊力を流す技術が必要なので、外の世界で扱える人はほとんどいないだろう。

これで難しい作業をしなくても、簡単に花を傷付けずに覆える骨組みが完成する。

続いて幕だ。これもついさっき貰った新素材『幻想ビニール』を使う。幽香と魔理沙に手伝ってもらって一気に被せてしまう。被せたらビニールと骨組みが離れてしまわないようにテープなどで固定する。

これでビニールハウスが完成したので、あとはこれを花に傷をつけないように被せる。一つ一つ被せるのではなく、花壇全体を覆うように骨組みを作ったので、作業自体はそこまで大変ではない。

よし、完成だ。

 

「おー!すげー!」

「確かにこれなら成長を妨げず、更に花粉が遠くまで飛んでいくことも防ぐことが出来る…」

「まあ本当は内部の温度を操作するためのものなんだけどな。周囲への影響をなくすことにも使えるだろ」

 

こうして異変の元凶をとうとう断った。これでもう解決したも当然だった。


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