東方十能力   作:nite

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六十ニ話 依頼

「本当に花粉が一切でてない…」

「まあこれでまき散らしてたら河童の所に押しかけに行くだけだがな」

 

しばらく様子を見ていたが、ビニールハウスから花粉が漏れ出ている様子がない。植物が呼吸困難になるのではと心配になるが、幽香曰くそこらへんはどうにでもなるらしい。流石フラワーマスターである。

現在舞っている花粉はしばらくすれば消えてしまうだろうとのこと。そうなれば現在の惰眠郷も幻想郷へと戻ることだろう。

それにしても幽香の強さと河童の技術には驚いた。前戦った時はそこまで幽香に対して強いイメージが無かったのだが、いつの間にここまで強くなっていたのだろうか。幽香は別に花が増えれば増えるほど強くなるっていうベタな能力ではないにも関わらずこの強さだ。そりゃ魔理沙や文が怖がるわけだ。

元より大妖怪としての妖力があり、単純に妖怪として強いという存在ではあったのだけど…戦術のようなものが身についていて、中々に脅威である。

また、河童の科学力も本当に驚かされた。そもそも幻想郷はそこまで資源が豊富ではないだろうに、よくあそこまで作れるものだ。勿論持ち前の妖力や魔力で魔法や妖術を使って補ってはいるのだが、今回使った幻想郷ビニールはほとんど普通の素材だ。妖力が籠ってるから頑丈ってだけのものなので、外の世界にあっても専門家でもない限り見分けがつく人はいないだろう。

もし外の世界に放り出されても問題なく生活できるだろうし、逆に外の世界の科学者に技術を教えることになってるかもしれない。

 

「さて、俺は帰るとするよ」

「その前に霊夢に報告しないとだぜ!この魔理沙様が華麗に異変を解決したと!」

「あなた私の弾幕食らって泡吹いてたじゃない」

「あれは定晴が悪いんだ!」

 

あれは申し訳なかったと思う。魔理沙が幽香の妖力と体力を良い感じに削ってくれたのは確かだし、それで勝てたのも事実だ。実際魔理沙がいなかったら俺も疲れていて負けていたかもしれない。

 

「すまない、そしてありがとな、魔理沙」

「ふふん、この魔理沙さんの凄さが分かったなら早く行くぞ!」

 

魔理沙が飛び出し俺もそのあとを追う。幽香はしばらく花の経過観察をするというのでまた二人で空の旅だ。目的地は勿論霊夢がいるであろう博麗神社である。

さて、霊夢は動き出しているだろうか…

 


 

無理だった。

博麗神社に着くと俺たちの予想通り霊夢がいた。説教が効いたのか、気だるそうに境内を掃除している。

映姫の姿が見えないが帰ったのだろうか。まあそれならそれでいいのだが。今まで散々映姫のお説教を回避してきた俺だが、流石に次会ったら口実を探すのが大変で…

 

「戻ったのですね。お疲れ様です」

 

博麗神社の奥から現れたのはオセロ閻魔こと四季映姫だ。そう、あの、説教好きの…

 

「じゃあな魔理沙。あとはよろしく!」

「まあまあ待ちなさい堀内定晴」

 

ここで映姫自身からストップがかかる。これで話しかける前に逃げるという選択肢は消えたか…ならば…いや、ここは敢えて話を正面から聞こうではないか。実際時間がかかるうえに回りくどいが、内容はとても為になるはずだ…多分。

 

「何を身構えてるのですか貴方は。最初から貴方に説教などするつもりはありません。異変が解決されたらここに戻ってくるだろうと思って待っていただけです」

「そ、そうか?俺は別に身構えてたりしてないぞ?」

 

それならいいんだ。それなら。異変終わって戦闘やら色々して疲れている体を休ませられないとなると流石にきつかったからな。能力の再生は傷や欠損は治せるけど体力は戻らない、これは共通認識でいてほしい。前にチルノが疲れたとかいって回復を求めてきたが、俺にはその疲れを治すことができない。どこかマッサージしてくれるようなところでも行ってくれ。と言ったら何故か怒られた。最初から俺が何でも治せると勘違いしているからこんなことになっているのだ。いっそのこと言い触らすか。俺は体力は戻せませんよーって…ダサいな、止めよう。

 

「取り敢えず異変解決お疲れ様でした。まあ異変というほど被害はありませんし、きちんと働いている人は働いているのです。心のどこかに怠けたいという気持ちがあるから寝てしまうのです。そもそも常日頃軽快していれば花粉なんぞに影響されるはずもないのですよ。それに…」

「また始まってるわよ~」

「おっと失礼。私はそんなことを言いに来たのではありません。実はですね、少し貴方に依頼をしたいのです」

 

依頼だと?何か外の世界を思い出すな。外の世界では基本何でも屋みたいな立ち位置だったから各地を転々としながら仕事をするような生活だった。その生活の中で友人や技術を得たりしたのだけれど…話が逸れたな。

 

「依頼内容は至ってシンプルです。この駄巫女の監視を頼みたいのです」

 

監視、か。しかも霊夢の。確かにいつも堕落したような生活をしている巫女は映姫にとって気になるのだろうけど監視はやりすぎではないだろうか。それに霊夢もなんだかんだ言って決まった時間に起きてご飯食べて掃除して…といったように基本の生活はできているのだ。だからあまり俺は強く言いたくないのだが…と思っていたら霊夢が怒鳴った。

 

「はぁ!?私そんなの聞いてないんだけど!」

「そりゃ貴女に言ったら止めようとするでしょう?だから直接本人に話しているのですよ」

「止めるわよ!それに何で定晴さんなわけ!?魔理沙とかアリスとか他にもいるでしょ!?」

「神社に一番近く、尚且つ貴女にも交流がある…一番の適役は彼かと。勿論異性ですので気になることもあるでしょうけど、今までだらけてきた罰だと思いなさい!」

 

映姫が言い切った。そりゃスパンと。その言葉に霊夢は泣く泣く座り込むしかなかった。

こうして俺は霊夢の監視役という仕事を得たわけだ。って、ん?

 

「待て。それ俺にメリット無くないか!?」

「貴方も今は仕事をしていないのでしょう?確か半霊の指南をしているとは聞いていますが、それもこれも変わりません」

 

映姫にピシャリと言いつけられ、俺は霊夢の監視をしろと命じられてしまった。今は暇だから特に問題はないが…まあ、映姫にやれと言われたら致し方ない。

そんなガチガチのものじゃないだろうし、まただらけてたら説教するくらいでいいだろう。もしくは教師のごとく言い伝えるか…

面倒くさそうな顔をしている霊夢を見つつ、笑い転げる魔理沙を横目に俺は今後のことを考えた。

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