東方十能力   作:nite

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六十三話 宴会【惰眠異変】~準備~

さて、異変が終わったら宴会をするのが幻想郷のしきたりのようだ。宴会好きの萃香や霊夢に訊いてもいつこんな習慣がついたのか分からないらしい。まあ、さしずめ騒ぎたくなった鬼とかが妖怪集めてしたのが発端ってところだろう。

ただ、幻想郷の宴会はただ騒ぐだけではなく、異変の首謀者や被害者を集めて仲直りという意味もあるらしい。そんで騒ぐ。

それでだ、俺は現在宴会に持っていく料理を作る。基本は酒に合うようなものを作ってやると、萃香みたいなやつらは簡単に喜ぶ。そこに甘いものも追加して作るとアリスみたいに酒も飲むけど料理を楽しむのがメインのやつらにとって嬉しいはずだ。更に更に、摘まめる簡単なものを作ると酒は基本飲まずに会話を楽しむことがメインのやつらに良い。

幻想郷の人妖は基本この三つのグループのどれかに属するので、全部のグループ向けに作れば誰も不満を言わない。因みに俺は二つ目と三つ目の間ぐらいだろうか。霖之助も大体同じ感じ。男性より女性の方が大酒呑みっていうのもどうかと思うが、未成年の霊夢や魔理沙が飲んでる時点でツッコミなど意味を為さないのである。

 

「こんなもんだろうか」

 

作り上げた料理のラインナップ表を眺めながら呟く。宴会料理を作るのは久しぶりだったので少し不安だったが、特に問題はなさそうだ。

仕上げた料理はその都度幻空の中に保管するというようにしているので、料理はどれも出来立ての状態だ。あまり長い間入れておくと不安だが、数時間とかであればとても便利に使うことができる。

ただ俺の幻空、魔力とか霊力を応用して出し入れしてるためそこまで内容量は多くないし、疲れ果てると…正確には地力が尽きると幻空の中のものを出せないし、いれることもできない。

紫のスキマやミキの時空保管も同じようなもんだとは思うんだが…二人は俺と比べられないほどの地力があるので、今のところ力尽きたところを見たことがない。

閑話休題。

キッチンの壁にかかっている時計を見ると、ちょうど短針が五のところに重なっていた。

 

「宴会が始まるには少し時間があるな」

 

事前に知らされた情報によると、宴会は七時くらいに始まることになっている。まだあと二時間程度あるが、集合時間など幻想郷にはあってないようなものだ。各々が好きな時間に集まって好きな時間に始めて好きな時間に終わる。外の世界とは違って時間にそこまで強く縛られていない幻想郷ならではの文化だと思う。

霊夢曰く、萃香などの特に宴会好きな連中は昼間のうちから酒を飲み始めて、宴会が始まるまでに何本も消費してしまうらしい。流石酒豪だ。

そういえば霊夢は早めから宴会の会場設営とかして頑張ってるんだと聞いた。魔理沙は準備の手伝いをさせられるのが嫌で集合時間までは行かないと決めているらしいのだが、それでは霊夢が不憫だ。

宴会は基本的に博麗神社で行われているため、どうしたって準備は霊夢が担うことになる。霊夢も宴会中は騒ぐし、片付けは宴会に参加する従者組が結構やってくれるらしいのだが、それにしたって霊夢の仕事量が多い。

待ってても特にすることはないし、先に行って霊夢の手伝いでもするか。

俺が外に出る準備をしていると、突如部屋の中にスキマが開き少女が顔を出す。

 

「は~い!定晴ー!おはよう!」

「紫か、もう冬眠終わりか?」

「私だって永遠に寝てるわけじゃないわよ。九割だけよ」

「だけって言わねえよ」

 

紫は冬になるとまったく姿を見なくなる。幻想郷の住人たちはそれを紫の冬眠だと呼んでいるが、実際にほとんどの時間は眠っているらしい。

その間の仕事は藍がやっているので相当な負担がかかっているはずだが…文句を言わずに毎年仕事をしている藍は、それこそ従者の鑑と言えよう。

 

「今から博麗神社に行くのよね?送ろうか?」

「それはありがたい。頼む」

 

紫が俺も通れるくらいの大きさのスキマを展開する。スキマの中の景色には毎度少し驚くのだが…今さら何を言っても変えないだろうし、そもそも変えられるか知らないのでツッコまない。

スキマを通り博麗神社に到着すると、霊夢が大きなシートを開こうとして苦戦していた。萃香は賽銭箱の近くで酒を飲みながら眠っている。

取り敢えず萃香にちょっとだけ浄化の力でバチっとしつつ、俺は霊夢の仕事を手伝うことにした。

そうして準備をすること一時間ほど。空も暗くなり始めた頃、博麗神社には人が集まりだしていた。

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