「「「ハッピーバースデー!定晴!」」」
「うお!?吃驚したぁ…あ、ありがとう。」
ある日。家に帰ったら突然クラッカーが鳴り響いた。
そして消していた電気が点灯する。そこには俺の友人の霊夢やら魔理沙やらが満面の笑みで待っていた。
ちなみに紙吹雪は俺にかかったままだ。
「うお、お前らありがたいけどどうやって家に入った。」
「そんなの私の力に決まってるじゃない。」
紫か…なんとなくそんな気はしてたけど。にとり辺りがピッキングして入ったと言われたら流石に叱るし。その辺は幻想郷の少女たちも心構えしているのだろう。まあピッキングとかいうものが幻想郷にあるのか謎なのだが。
「さあ、今日は貴方の誕生日を祝うために来たのよ!主役の貴方は思う存分楽しみなさい!」
霊夢の言葉を合図にキッチンの方から沢山の料理が運び込まれてきた。持ってきたのは妖夢や咲夜などの料理担当になることが多い奴らだ。まあ家事なら何でも来いみたいなやつだから頼まれるのは必然なのだろうけど。
「ほらほら、定晴はこっちに座るんだぜ!」
そして一番周囲が見える机の前に座らせられる。俺の家は大きいが、流石にここまで大所帯となると少し狭いな。まあチルノとかは天井近くを飛んでいるが。
「取り敢えず食事にしましょう。皆席について。」
「「「はーい!」」」
紫の指示で皆が席に着く。皆目の前にある豪華な食事を早く食べたそうにウズウズしている。
「定晴さんが言ってくださいな。」
「任せろ。よし、俺の為にこんなことしてくれてありがとな。それじゃあ…頂きます!」
「「「頂きます!」」」
そして食事を食べ始める少女達。俺も目の前にあった料理に箸を伸ばすし、口に運ぶ。作ったことは無いが、これは多分パエリアだな。一見ただのチャーハンのように見えるが、きちんと思考を凝らして作られている。美味い。
「こらフラン。そんなにバクバク食べるんじゃないの。ゆっくりと食べるのがレディなのよ?」
「こんなに豪華な食事は屋敷でも滅多に出ないもん!それに、そういうお姉様だって皿に一杯盛ってるじゃん!」
「ふふ、最初から自分の好きな物だけ取っておくのが最良なのよ。」
「お二人共好き嫌いしないで下さい。」
紅魔館組はいつもと変わらないな。好きな物だけ食べている姉妹に見かねて咲夜が人参を皿に盛る。それを見て二人とも嫌そうな顔をしている。
こう見ると完全に親と子だな。咲夜は実際将来良い婿が来るだろう。因みに美鈴とパチュリーはいない。まあこれは予想していた通りだ。
それにしても…卓上ににんにくを使った料理がないのは二人のためなのだろうか。吸血鬼の弱点がにんにくっていうのは本当なのか?それにレミリアが取ってる料理にトマトが多いのも…真偽の程は定かではないが、少なくともそんな風に見えるな。
「幽々子様!そんなに一気に食べないで下さい!他の人の分もあるんですよ!」
「いいじゃないの妖夢〜そのために沢山作ってあるんでしょう?」
こっちもか。妖夢は最近鍛錬の成果が出てきたのか、動きが素早くなっている。幽々子によると妖夢は料理も素早くなっているらしい。剣術が他のことにも応用されているのは喜ばしいな。
というか幽々子はおかしいだろ。明らかに食い過ぎに見えるのだが、隣にいる紫に聞いてみたがあれでも少ないらしい。育ち盛りの男子も引くレベルで食べていく幽々子。それを止める妖夢。ここもいつも通りだな。
「フフ、私も呼んでもらえるなんてね。」
「あんたも定晴さんと昔から関係あるんでしょ?なら呼ぶわよ。」
幽香は霊夢と話している。どうやら霊夢と幽香はそれなりに前から知り合いらしい。なんでも幽香が一度異変を起こして霊夢が退治したとかなんとか。
今回幽香、というか幽香の育てた花が異変を起こした。まあ、霊夢ではなく俺たちが解決したんだが。それのせいで霊夢の監視役にされたりと色々あったのだが、先日の宴会で既に流している。
「ねぇ?定晴?今夜は一緒にいましょ?」
「ん?寝れないのか?」
「もう鈍感通り越してただのバカな気がして来た。」
何かブツブツ言ってる。幽香は昔から突然一緒にいよう的なことを言ってきて、俺がそれについて聞き返すとブツブツ言いだす。そのくせは直した方が良い気がするんだが、幽香自身は気にしていないようだし本人にその気がないならそれでもいいだろう。
「さて、皆良い感じに腹が膨れたところでお待ちかねの…」
「ケーキね!」
霊夢が速攻で食いついた。やはり少女はケーキなどの甘いものが好きなのだなぁ。それにしてもたまに思うのだが、ケーキやクッキーは洋菓子だ。それでいて外の世界でも今なお作られている。そんなものを幻想郷内部で作るってのは大丈夫なのか。というかどうやって幻想入りしたし。紫が持ち込んだか外来人が持ち込んだかの二択なのだが、基本は後者だ。そもそも賢者である紫が結界を弱まらせるようなことをしなければいけないのかという問題だ。
「さあ、火を消して。定晴。」
紫に言われ息を吹きかける。そして火は消え、一時的に部屋が真っ暗になる。この暗い空間ってのも実は好きだったりする。突然訪れるこの静寂が心地よい。
「はい、電気つけたよ。」
「あー!幽々子様暗闇で食事しましたね!」
「だったら何よ。私が食べれる位置に置いとくのがいけないわ。」
幽々子の食事スキルが高すぎる。なんだその荒業。最悪溢してしまうし、中々に大変だと思うのだが…
「さあ、誕生日プレゼントよ~」
紫がスキマから取り出したのは両手で持てる程度の大きさの箱だ。見た感じ軽そうだが何が入ってるのだろうか。それを考えながら開けるのも一つの楽しみ方だ。
中に入っていたのは鞘だった。丁度輝剣が入る大きさである。ということは…
「ミキに協力してもらって作ってみたわ。それに入れたまま能力を使えば霊力の消費が著しく下がるらしいわ。デザインは私たちで考えたのよ。」
「ありがとう…大切にするよ。」
これは嬉しいプレゼントだ。勿論何貰っても嬉しいのだが、やはり日常で使うことが出来るものが一番うれしいし使いやすいと思う。
俺が感銘に浸っていると、霊夢や魔理沙からも箱が渡された。今度は片手で持てるサイズだ。
「私たちも…その…まあ、お礼って感じ?で渡すことにしたの。はい!受け取りなさい!」
「さあ、この魔理沙様が渡したそれをきちんと使ってくれよ!」
「はい。料理とかを一緒に作ってくれるお礼。上海とかの手入れもたまにしてくれてるみたいで嬉しいわ。」
霊夢、魔理沙、アリスからそれぞれ貰う。中身はどれも使いやすい俺が欲しいと思っていたものだった。アリスはアリスらしくプレゼントと一緒にクッキーも入っている。三人の中で一番料理が得意なだけあるな。
他にも色んなやつから貰った。どうやら紫が俺と交流関係を持っているやつらに会いに行ってプレゼントを受け取って俺に経由されてくるわけだな。
そして俺の予想していなかった俺の誕生日パーティーは夜遅くまで続いた。プレゼントも貰ったし、料理や片付けも咲夜や妖夢は関係ないけどのに手伝ってくれる。これは本当にありがたい!俺一人だけだったらそうとう量をこなせるぐらいになってからではないと真夜中まで続くことになる。咲夜や妖夢が片付けを手伝ってくれるからこそ俺は早めに寝られるわけだな。
こうして俺は、幻想郷に来て一年が経つと共に一年分歳をとってしまうのだった。
自分が老けて行ってる感覚があるから嫌いだったのだが、これはこれで楽しかったので良いかなと感じた。