博麗神社と人里の間に住むこととなった俺は、森の散策をすることとなった。森とざっくり決まっただけで具体的な場所は未だに決まっていないからだ。
家を建てる為には出来るだけ平地が良いと思っているが、実際木ばかりで何処にするにしても整地が必要そうだった。
散策をしていたら横の茂みから物音がした。
「なんだ!?」
「ばるる!」
いきなり犬型の妖怪が現れた。
慧音曰く、ここは結構野生化している妖怪が多いらしい。群れを成して動いているらしいが、一匹しかいない事から群れを離れてしまったようだ。
「がう!」
突然飛びかかって来たので軽く避ける。
そこで輝剣を召喚し受け流す。妖怪は躱され振り向ききっていないので、俺は妖怪の背中を斬る。
驚いたのか、森の奥の方に逃げていった。
「ここで住むならああいう妖怪とも仲良くすべきなんだろうなー」
勿論そのためには凄い骨が折れそうだがするしかない。わざわざ相手をしていては体力が保たない。餌か何かを使って餌付けをするのが最も手っ取り早いだろうか?
「そういえばここ結構いいな」
少し丘になっていて見た目もいい。ちょっとだけ整地すれば直ぐに家を建てられそうだ。早速浄化を使って邪気を払い、輝剣と結界を同時に使用し地面を平らにしていく。剣を振って地面を平らにする人なんて何処にもいないだろう。
「おーい!紫ー!」
「はーい」
平らにしたら、紫を呼んで家を持ってきてもらう。向こうからずっとスキマに入れっぱなしだったのだ。なんでも収容できる紫さをマジパネェっす。
ズドーン!
そして目の前に俺の家が現れる。
俺の家は、一人暮らしにしては大きく洋風な家である。何故なら元は両親も住んでいたのだが、俺が中学の時に事故で他界してしまったからだ。元々三人用に造ったので、二階建てで寝室の他に台所や風呂、リビング等一人では余ってしまう程広い家なのだ。それ故に外の世界では友人達はよく俺の家に集まっていた。
「ありがとな紫」
「どういたしまして。といっても私としては、貴方がここに住んでくれるだけで嬉しいの。感謝しなくてもいいのよ」
そう言って紫はスキマの中に帰っていった。
「さてと…」
ここからは俺の仕事である。引っ越しする時にダンボールの中に色々適当に詰めたのだ。つまりそれを出さねばならない。手伝ってくれる人もいないので一人で作業を始める。
容れるときには気にしなかったが、整理の時に色々面白い物が見つかった。以下に例をあげておくとする。
例えば、何故か家にあった日本刀。戦闘用だったので、空間の中に入れている。
買って使っていなかった謎の機械。殆どが紫に没収された。
いつ買ったのか覚えていない非常食。こちらも空間の中に入れている。
他にも沢山あった。その大体は紫か俺のスキマ及び空間の中に入れている。元より要らないやつは紫に回収してもらうことになっているので俺の空間に入れているのは少ないのだが。
あらかたダンボールを開けた所で、玄関のチャイムがなった。こんな時に誰だろうと思って玄関の扉を開けるとそこには藍がいた。手にはそれなりの大きさの袋がある。
「やぁ定晴殿、 引っ越しの作業は終わったのか?」
「まああらかたな」
「一応引っ越し祝いとしてこれを持ってきた」
藍が持っていたのは、食材だった。とても新鮮でみずみずしく美味しそうだ。きっと気をきかせて持ってきてくれたのだろう。
これは余談だが、紫は家にいるとよく目の前に現れる。外の世界ではドアの前に立つと目立つかもしれないが、幻想郷に来たのだからチャイムをちゃんと鳴らして欲しい。さっき要らない物を回収しに来たときも空のダンボールを潰しながら登場してきた。
「上がっていくか?」
「いや、今日は紫様が少し仕事を溜めていてね。その手伝いをしないといけないんだ」
藍も紫の式神として幻想郷の管理を手伝っているらしい。幻想郷の管理って何をしているのかは分からないが、そう簡単なものではないのは確かである。
「そうなのか。まあ、頑張れよ」
「ああ、そっちも最初は大変だろうけど頑張ってくれ」
そして藍はスキマを通って直ぐに帰っていった。というか、紫は仕事があるのに家に来たのか。
その後は特にどうということもなく一日過ごした。予想以上に本が貯まっていたのでそれを読みながら暇を潰した。寝ていると、虫の音が聞こえてきて心地よかった。