「ようこそ、地霊殿へ」
そう言って出迎えたのは、開いている目を付けた少女だ。背は然程変わらないが、十中八九こいしの姉だろう。
「はい、私がこいしの姉で古明地さとりと言います」
うお、本当に心を読めるのか。いや、だからどうこうするわけじゃないけど。
「あら、気にしないんですね」
当たり前だ。変な事を考えてるやつらには毒かもしれないが、最悪の場合能力使うし。あ、これ考えたらアウトなやつか。
「はい。残念ながらあなたがどういった能力を持っているのかはっきりと分かっちゃいました」
あちゃー。まあいいか、ぶっちゃけミキも心どころか魂まで入ってくるから対処には慣れてる。というか絶対あいつ狂気のこと知ってる。
それはそうと、さとりの隣に並んでる猫耳を付けた少女は…
「あ、ほらお燐も挨拶」
「はいはい私が火焔猫燐、お燐って呼んでね!さとり様のペットなの」
名前長いなぁ…鈴仙の方が長いか。
にしても燐か。猫って隣よりも膝の上にいることの方が多い気が…いや、懐いてないと乗ってくれないか。ということはさとりにとっては火焔猫膝上だな。
「ふふ、今まで色んな人の心を読んできましたがお燐をそんな風に呼んだ人は初めてです」
「にゃ!?なんて呼んだのお兄さん!」
「言わなくていいですよ、こういうのは…ふふ。」
あー、こんな風に人を弄るのは覚り妖怪だな。こいしはやはり目を閉じているからか覚り妖怪さはなかったな。
「そういえばこいしとはどこで…ああ、先日の宴会で…御世話になったようで…」
あ、これ楽だ。とそういえば俺の自己紹介してないな。さとりは知ってるだろうがお燐は知らないだろうし。
「俺は堀内定晴という。紫に頼まれて地底に来た」
「はい、紫さんに話は伺っていますよ。どうやら霊夢さんが予定があるとかで神社を空けるということだったのでお燐に案内を頼んだのよ」
「あ、あれお燐だったのか」
お燐とさっきの黒猫を思い出して見比べ…確かに似てるな。お燐が着ているゴスロリ服はあの黒い毛並みと関係あるのかな。
「ここではあれですしこちらへ」
「お邪魔します」
俺が入ると門が閉まる。後ろを見ると門の影で門を操作しているであろうペットの一匹がいた。鳥だ。人型ではなく、動物のまま嘴をうまく使ってレバーを上げ下げしているようだ。頑張れ、名もわからない鳥。
地霊殿の中はとても綺麗で清潔感がある。そして暖かいのも特徴だ。紅魔館とは違い色鮮やかな窓…ステンドガラスだろうか…や落ち着いた色の壁で構成されている。やはり紅魔館は目に悪い。屋敷というのは地霊殿のように落ち着いた色なのが良い。
ただ、間取りは紅魔館に近いようで屋敷の扉を抜けた先は広間になっていて、階段と左右にも通路。紅魔館は咲夜が能力で拡張しているらしいので見た目より断然広いが、ここにも同じように空間を操れる能力者がいない限り外観と同じ広さだろう。
広間の中心には見知った影が一つ。
「ん?あ、定晴だー。やっほー」
「こいしか。よう、元気か?」
「元気元気!」
先日の宴会で会った覚り妖怪(妹)のこいしだ。こちらは読心の目(俺が勝手に名付けた)を閉じていて心は読めないし読みたくないらしい。
「あらこいし。こんなところにいたの」
「来客があるって聞いていたから待っていたんだよー。まさか定晴だとは思わなかったな〜」
おや?さとりはこいしとは直接会話するんだな。あれか?家族だから会話を大切に…とかそういうやつか?
「あ、いえ定晴さん。そういう訳ではなく、単純に私はこいしの心を読めないので」
ここに来て心を読めないときた。姉なのに妹の心が読めないとは…やはり読心の目が閉ざされていることが関係しているのだろう。
「それで…定晴さん。泊まる場所とかって決めているんですか?」
今日来たばかりだし決めてなどいない。いい場所があるなら紹介してほしいところだが…地底の主権限とかで…
「管理こそしていますが権限などないですよ。それと宿泊地を決めていないのならここに泊まるといいですよ」
ここってまさか地霊殿か?確かに広いだろうがそんな風に男性を招き入れるのも…それともそういう趣味があるのだろうか
「まさか。何を突然言い出してるんですか。私は善意で提供してるんですよ?地底の問題を解決してくれるそうですし、私も私なりにお礼をと思いまして…」
そうか…なら言葉に甘えようかな。ここなら地上に行く時もそれなりに早く行けそうだからな。うん、そうしよう。
「ではペットに準備させておきますね。部屋に案内したいところですが先に地底で起きている問題について知ってもらいたく…こちらへ」
そして案内されたのは大きめの机が置いてある…応接間だろうか。
さとりはソファに座り俺を正面に座るように促す。こいしはさとりの隣で足をパタパタさせている。お燐はというと俺が応接間に向かう途中で猫になって何処かへ走っていった。
俺が座ったことを確認するとさとりの口から今現在地底で起きている厄介事について話し出した。