東方十能力   作:nite

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七十四話 地霊殿の自室

さとりの案内で部屋に向かう。地霊殿は紅魔館程ではないにしても広いので迷わないか心配だ。念の為狂気に憶えさせて…

 

『お前が憶えられなくて俺が憶えられるわけないだろ』

『できる限りでいいからさぁ…』

 

狂気は俺を残忍にして身体能力を上げたような存在だ。逆に言うとそれ以外は然程変わらない。暗記力とか能力とか。

と言っても二人分いることには変わりないので記憶力は二倍になったと考えてもいいだろう。

 

「ここが定晴さんの部屋です。それにしても…魂の方も中々楽しそうですね」

「それも聞こえんのかよ。というか背後も聞こえるのか」

「普段は聞こえませんけど、こうやって思考が少ない状態だと聞こえますね」

 

物体が音を発する時と同じような感じなのだろうか。音源が遠ければ遠い程音が小さくなり、小さい音にだと大きい音に紛れてしまう。

集中すれば小さい音も聞こえるだろうが、それはカクテルパーティー効果だからまた別のはずだ。

外の世界ではパーティー会場で仕事をすることもあったが、会話をすることはほぼ無かったしあまりそういった体験がないからなんとも言えないのがむず痒い…

 

「ふふ、貴方が思ってる通りで結構です。それで…ですが…はぁ…」

 

さとりが俺の部屋の中を見て溜息をつく。いや、正確には俺の部屋に置かれているベッドを見て。

ベッドの上には二又尻尾の黒猫が…お燐である。

部屋が片付いているのを見るときちんと仕事はこなしたようだが、眠気に負けたのかはたまた猫の本能か。ベッドの上で猫特有の丸まり方をして眠っている。

ベッドメイクまでしたのかシワなく広がっているシーツだが、お燐が寝た所の下は毛だらけではなかろうか。

 

「こらお燐。人様の部屋になるんだから勝手に寝ちゃだめでしょ」

 

さとりがお燐を揺する。しかし中々お燐は起きない。

しかもあろうことかさっきまで俺の隣にいたこいしがお燐の隣で眠ってしまった。

 

「はぁ…定晴さんのベッドなのに…」

「まあいいんじゃねえか?俺が寝る時に退いてくれていれば」

「なんかすみません…」

 

猫が暖かい所で眠りたくなるのは本能のようなものだし仕方無いだろう。こいしも眠いなら寝ればいい。夜に眠れなくなるかもしれないがな。

そもそも地底に時間の感覚があるのか微妙なところだが。

 

「時間の経過はちゃんとありますよ。夜になると周囲が暗くなります」

 

なるほど。俺が地上に戻った時に時間感覚が狂っていたらどうしようかと思っていたが、どうやら杞憂のようだった。

 

「申し訳ないですが、広間の方で休憩してもらっていいですか?」

「ああ。構わないよ」

 

こいしとお燐は部屋に残して広間に向かう。

さっきまでさとりと話していたのが応接間で、さとりの部屋がその隣。離れた所に俺の部屋があって、反対側に広間…憶えられるだろうか。

紅魔館は住人が少ないため空き部屋もそれなりに多かったのだが、ここはペットが多くいるためその分使われている部屋が多い。

まあ部屋にはほとんど何も置いておらず、寝るときは自由な場所で寝るらしいが。

 

「ここが広間です。食事も基本ここで食べますので、食事の時間になったらここに来てください。それと外食をする時は黒い小鳥のような子達に伝えてくれれば連絡ができますので、その他伝言がある時もその子達に伝えてくださいね」

「ペットを街中に散らしているのか?」

「お話しした通り色んな所で騒動が起きていますので、その監視を兼ねて自由に放っているんです」

 

ペットを使って監視しないといけない位には多発していると考えていいだろう。

俺が動いたら騒動が大きくなりそうだが、それも含めて鎮めろといったところだろう。紫も時間がかかりそうな依頼を俺に持ってきたものだ。

 

「それで…」

「さとり様ー!」

「何ですかお燐?」

 

さっきまで俺の部屋で寝ていたはずのお燐が猛スピードで走ってきた。しかしお燐は喋らない。きっと心の中で話しているのだろう。喋るという労力がないため多少は効率的…なのかな。

 

「嘘!?こんな時に…」

「どうした?」

「街でまたもや騒動です。こんな昼間からよくやりますよ」

「そんじゃ向かいますか」

 

いくらペットやらなんやらが止めて自然鎮圧されるからと言って無視するわけには行かない。俺の依頼だ。きっちりこなす。

 

「では早速仕事をしてくれます?」

「勿論だ。お燐、案内してくれないか?」

「了解だよ!こっち!」

 

お燐が走っていく。

地底初仕事、はてさてどうなるかな。

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