昼間に案内してもらった食堂へとやってきた。
紅魔館とは違い、落ち着いた色合いとゆっくりできるような暖かさである。というか紅魔館が全体的に目に悪すぎるのだ。レミリアの趣味を改善させるべく従者や同居人には頑張ってほしいのだが。
閑話休題
椅子に座っているのはさとりとお燐、それにお空。他にも見知らぬ人型の獣耳を付けたさとりのペットと思われる人達だ。あ、無意識に除外してしまいそうになるがこいしもいる。能力のおかげで幻惑や催眠系の能力は効かないのだが、それすらも超えて無意識下にしてしまいそうになるこいしの能力は中々のものだ。
さとりによると最近は結構分かりやすくなったらしく、こいし自身での制御も上手く出来ているという。どうやら地上では間欠泉異変とも呼ばれるお空の暴走による異変で霊夢達と交流したりで能力が安定したらしい。
俺が席に座ると獣耳の子が料理を運んできた。地底の料理が口に合うのか分からなかったが、地上の料理と然程変わりはないようだ。ただし少しアルコールの匂いがする。お酒好きな鬼達が満足できるように料理にもお酒を入れるのだろうか。鬼ではないさとりたちがそんな酒をガブガブ飲むとも思えないし、きっと料理用の調味料自体にお酒でも入っているのだろう。
さてさて、机の上に料理が並べられていく間お空はずっと俺を見ていた。睨んでいたという方が正しいか。
今日来たばかりであること、それも人間であること、ついでに言うならば地上の人間であること。どれもが警戒対象になり得る要素ばかりだ。きっと俺がさとりたちに何かしたらすぐさまお空は俺を攻撃するだろう。核融合の力というならば俺を地上まで核爆発で吹き飛ばす可能性もある。
多分さとりたちと話すことは大丈夫だが、触ったりしたら俺は攻撃対象になる。なんとなく俺を見つめるお空の目がそう言ってる気がする。
「ふふっ」
「あ、」
さとりに笑われた。というか俺が色々と悩み事しているというのにそれを堂々と読むとは人道的にどうなのだろ。いやまあ覚り妖怪がそういう種族なのは知ってはいるが。
俺が覚り妖怪について考えるとさとりは顔を俯かせた。もしかして恥ずかしいのか?まあ自分の種族に関して色々考えられるとむず痒いのかもしれない。人間は人間同士で考察や検査などしているため人間について考えているのを見ても不思議ではないが。
「さとり様、こいし様、これで全部です」
「ありがとう。それでは頂きましょうか」
さとりは手を合わせる。こいし達も手を合わせる。こういう文化は地上となんら変わらないんだな。
俺も手を合わせて…
「「「いただきまーす」」」
食事の前に言う言葉も同じ。
地上と分け隔たれているのに地上と生活の様式は変わらないようだ。
「元々私達も地上に生きていたんですよ?現在の地上の文化が入らなくとも昔から続いている文化でしたら地底も地上も変わらないかと」
さとりが説明してくれる。俺はすぐ疑問に思ったことを考え始めるからさとりは思考読みたい放題だろう。別に疚しいことや見られて困ることを考えたりしないからいいのだけど。
というかさとりは常日頃無限にも等しい思考の数々を読んでいるのだし疲れてそうだ。あまり俺は考えないで心を無にして生活した方がいいのだろうか。
「そんなに心配しなくて大丈夫ですよ。私は慣れてますので。あ、こらこいし。食べ物で遊ばないの」
「ふぁーい」
妹の世話もきちんとできているし本当にさとりは良い子だよな。年齢など妖怪基準で言われても分からないが、地底の妖怪は総じて身体付きが良く、さとりのような華奢な見た目をしている妖怪がよく地底の管理人ができるものだ。そもそもさとりは見た目は幼く、性格はしっかりとしているが、初めて会った人には嘗められそうなものだが…
「そ、そんなことはないです。あの…あまり私のことは考えないでくれます?恥ずかしいので…」
おっとさとりに悪い事をしたな。
さとりが狼狽えたような表情をしたことがきっかけになったか、ずっと傍観していたお空が声をあげる。
「定晴!さとり様を困らせないよう言ったじゃん!吹き飛ばすよ!」
「まあまあお空。私は気にしてないから」
「む〜」
お空が俺を睨む。それは次したら殺すと暗に言われているようで、誰が見ても険悪であることが分かるほど憎悪の念が出ているような気がする。
「そもそもお空が戦っても勝てるような相手じゃないわよ」
「な、」
おっとさとりそれを言ってはいけない。そんなことを言うとこういう性格のやつは…
「戦え!定晴!どっちが強いか証明してやる!」
ぶっちゃけて言おう。知ってた。
俺のことを警戒しているやつに戦闘能力系のことを言うと戦闘に巻き込まれるのは外の世界でも幻想郷でも変わらないらしい。
「それより早く食べてしまいましょ?」
「食べ終わったら勝負だ!」
半ば強引に戦闘に巻き込まれる。
食事のあとすぐに運動するとお腹が痛くなるが…まあそれはどちらも同じか。
結局食事が終わったらお空(と何故かこいし)に連れ出されお空と戦うことになった。しかも昼間に見た旧灼熱地獄跡で。
「お空は人間のことを嫌っているわけではないんです。単純に地霊殿に住まれることが嫌らしいので、上手く説得してください」
さとりにそう言われ俺はお空と一戦交えることになった。