お風呂騒動から数日。何かと騒動について気にしていたこいしがお空達に説得し、なんとか事なきを得た。その後は比較的彼女らとは友好的な関係を築けている。
数日間は地霊殿の住人達と仲良くなるために地霊殿の中で一日中生活していたのだが、そろそろ地底全体の見回りやらなんやらを含めて地霊殿の外に出掛けてみようかなと思った。ありがたいことに前回の暴動の後一度も暴動は起きていないという。そのお陰で地霊殿のみんなと良い関係が作れたのだから感謝せねばなるまい。
さて、そういった理由も含めて外出の準備を進めている。因みに隣にはこいしがいて、俺が準備しているのを眺めているのだがその行為の何が楽しいのか俺には理解できない。まあ地霊殿の住人は基本的に外に出ることがないため珍しいのかもしれない。
そろそろ準備を終えようとしたら、こいしが俺に質問を投げかけてきた。
「ねえねえ、目的地はどこー?」
「ん?そうだなぁ…取り敢えずは旧都って所かな。時間があればそのまま奥に行って妖怪の山に繫がっているっていう縦穴まで行こうかなと思っているんだが」
「私も付いていっていい?」
ふむ。そうきたか。
俺としては別に構わないのだが、多分問題視するのはさとりだろう。ああ見えて結構妹思いな彼女は何かとこいしに対して過敏に反応する。
俺がこいしを連れ出したら怒られそうだなぁ。さとりは心を読んで納得するかもしれないが、問題はペットズだ。お風呂の一件があって一度は険悪な雰囲気になってしまった彼女らとの関係をもう一度壊すなど自殺行為の他ならない。
「だめだ。また俺がお空たちに誤解されるだろ?」
「えぇ〜。しょうがなぁいなぁ〜」
何故か間延びした声で話すこいし。と思ったら部屋から出ていく。なんとなくわざとらしい話し方だったが、諦めてくれたなら問題ない。
そう考えていた数分前の俺を殴りたい。
部屋から出て、地霊殿の出入り口に行くとそこには何故かこいしが。さとりも一緒である。
嫌な予感がしてさとりのもとへ向かうとこいしが寄ってきて。
「まあ心中お察ししますが、こいしを連れて行ってあげてください」
「おいおい、てっきりさとりなら拒否すると思っていたんだが?」
「こいしが案内役をするという条件付きです。何か変なことをしたら帰らせてもらってかまいませんので」
さとりがレミリアのような考えだと思っていたのだが、どうやらさとりは妹に対して結構自由にしているらしい。
フランが狂気を持っていて、なにかしらトリガーが引かれると狂気モードに入ってしまうため扱いずらいからできるだけ紅魔館内だけに、とレミリアが話していたのだが、こいしには狂気がない。放浪癖…というよりかは能力の弊害ではあるが、そういったものを持つこいしにも同じような判断なのかと思っていたのだが…
「フランさんのは誰でも止められるわけではないですが、こいしの無意識は声をかければ簡単に止められるので」
「なるほどな」
となると俺がこいしを連れて行くことを拒むと逆に面倒になる可能性が高くなってきた。やはり連れていくしかないか…
「分かった。さとりがそう言うならばこいしを連れていく」
「やったー!」
そこまで付いて来たいか少女よ。
さっき間延びした声で分かった〜などと言っておきながらその実さとりに相談しにいっていたに違いない。
なんと自由で油断できない少女だろうか。
「よーし、旧都探索へしゅっぱーつ」
こいしが声高らかに宣言する。
そんなこんなで俺はこいしと共に旧都へ向かうのだった。