東方十能力   作:nite

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九十二話 捜索

こいしがいると信じて緑の屋根の建物へ急ぐ。

今回こいしをこのようなことに巻き込んでしまったのは完全に俺の責任だ。さとりはああ言ってくれたが、自分自身で納得できていない。俺は俗にいう調子に乗っていたのである。こいしの能力もあるし、自分ならばこいしのことを守ることができると過大評価していた。しかし実際はどうだ。こいしは失踪し、俺はこのように捜索している。

そもそも地底で一度勇義に負けている。あの時は身体強化を重点に使っていたとはいえ、俺よりも勝る者がいたというのに。相手方にそういうやつがいる可能性だって断然高いというのに。

と、反省はここまでにして目的地に到着した。

上空からも分かる妖力の多さ。そして全体的に実力者である。

 

「お燐」

 

近くにて待機していたお燐に声をかけ、今回の作戦を伝える。

こいしがいた場合は救出を最重要とする。後手に回り、人質にでもとられたら厄介だ。俺としてもこいしが怖い思いをするのは出来る限り避けたい。

いなかった場合はここの状況を確認したのち臨機応変に行動する。というのも、ここが別に敵の拠点である保証はないのだ。ただ集まっているだけかもしれないし、もしかしたら味方がこいしを保護している可能性もある。そのためまずは自然に振舞いここの状況を知る。

 

「にゃーん」

 

俺は心が読めないから分からないが、これは了承したという判断でいいのだろうか。

お燐と別れ建物の前に立つ。外観は普通の住宅のような佇まいだ。ドアは締め切られていて、普通に入っても確実に怪しまれる。そのため窓から…といきたいところだが、窓はどこにもない。会合為に作られた建物みたいだ。防犯は完璧といったところだ。

変身魔法とか盗聴魔法とか使えたらいいのに、俺はそういった特殊な魔法への適正はからっきしだ。

仕方ないので物陰に隠れて誰かが出てくるのを待つ。透明化とか偽装系魔法は使えないが、隙間から覗いて中の様子を見ることは出来るかもしれない。

待つこと十分、中の妖力に変化。どうやら二人外に出てくるのかドアに近付いてきた。これはチャンス。

 

「おう。それじゃ手筈通りにな」

「最近来たって言う人間には見つかるなよ。そしたら地上侵略ができなくなるからな」

 

どうやら敵の会合現場で間違いなさそうだ。

しかも多分侵略を考えているやつらの司令塔的な人達ではないだろうか。今回の集まりは企画会議みたいなもんだったのだろうか。

さて、となるとこいしがいないにしても突入することは可能だということだ。

では失礼して…

 

「どうもー、地上から来た人間です」

「どうやってここが分かった!?」

 

今回はこいしの捜索をするためにさとりのペットたちに手伝ってもらったわけだが、ここまで妖力が漏れていたら周囲を歩いていたら否が応でも気付くに決まっている。せめて妖力を誤魔化すように抑えるとか幻術系の妖術をかけておくとかしておかないいけないだろう。

 

「ちっ、お前ら、やるぞ」

「「「おう」」」

 

場に集まっていたのは六名程度。周囲の建物から妖力を感じないところからすると、付近には誰もいないようだ。

ということは、多少派手にやってもいいよな?

輝剣を召喚。周囲に結界を張り準備完了。

 

魔術【五つの属性】

奥義【大回転五月雨斬】

 

同時スペル使用。輝剣を浮かせたまま周囲を斬り続けるスペルである奥義技にプラスして魔術で五つの属性を打ちまくる。ここで注意してほしいのはあくまで建物を破壊するつもりではなく、一度にまとめて倒すための方法であるということだ。内装はぐちゃぐちゃになってしまうが、幸いここは会議に使っていたであろう椅子と机しか置いておらず棚すらないため作り直すことは可能だ。

この合体技でスペルを作ってもいいのだが、消費魔力及び霊力が相当多く最終奥義になるだろう。というかこれをスペルにできるほど威力調整が容易でないため実現するのはかなり後になるだろう。

 

「ふぅ…」

 

僅か数十秒で相手を全員倒し、一番近くにいたやつを無理やり起こして事情聴取。

 

「色々と聞きたいことがあるが、取り敢えず1つ目、こいしがどこにいるか知っているか?」

「こいし?誰だそりゃ。そこら辺の道端にでも転がってるやつ拾っていけばいいだろ」

 

なめている様子なので輝剣を喉に突きつけ、さらに霊力を放出することで相手に危機感を与える。

 

「2つ目、お前らはここで何を話していた?」

「そんなもんお前に言うはずが…ひ!?」

 

少し喉に強く輝剣を当てる。

血が出ているが構わない。そもそもこいつらは地底でコソコソしている奴らだ。優しくしてやる必要はない。

 

「3つ目、仲間は他にどこにいる?」

「そんなもん言ったら他のやつに殺されちまうって」

 

ふむ…まあそれは確かにそうだが…全くもって情報が聞き出せなかった。得た情報はこいしがここにいないということだけだ。

もう一度衝撃を与えて気絶させ、他の奴等も合わせて全員縄で縛る。縄は幻空から出したちゃんとしたものなので、弱っている妖怪では千切られる心配はない。

 

「さて…どうしたもんか…」

 

妖怪共を旧都の自警団に渡し思案。

なにも連れされたことが確定しているわけではない。が、すぐに帰ってこないことを考えるとすぐ戻ることが出来ないなにかしらの理由があると考えられる。

 

「ふーむ…取り敢えず地霊殿に戻って他に怪しい所がないか訊くか」

 

こいしを見つけることができないまま俺は地霊殿へと帰ることにした。

 


 

地底某所。

そこでは地上侵略を謀る妖怪達が集まり会議をしていた。

 

「人員の数は」

「地上を侵略し制圧するための人数分には到達しています」

「人質は」

「地霊殿の娘が一人。それと旧都を歩いていた鬼の子供二人と地上の妖精一匹です」

「決行するまでには」

「3日もあれば十分かと」

 

決着まで、あと数日…

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