東方十能力   作:nite

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九十四話 今日の作戦

早朝。

狂気に起こしてもらい食堂に向かう。今すぐこいしの探索をしたいところだが、腹が減っては仕事は出来ない。

仕事柄空腹状態が数日続くことはあるが、それはあくまで耐えているだけであり万全のコンディションとはお世辞にも言えない。昨日と同じ方法で探すのだとすれば戦闘も続くだろうし、出来る限り状態はよくしておきたい。

 

「おはようございます」

「おはよう」

 

食堂に行くとさとりが挨拶をしてくれた。どうやら俺よりも早く起きたらしい。

素早く朝食が準備され頂く。

 

「実は昨日寝る前に少し考えたのですが…」

 

食べながらさとりが話しかけてくる。どうやら捜索をスムーズに行うために少し方法を変えるらしい。

 

「まずペットたちは昨日と同じく地底全体に広げます。今日は地底の端のほうなど人気が無い場所を重点的に探します。そしてお燐だけは定晴さんについていってもらいます」

「どうしてだ?」

 

お燐も疑問顔である。お燐は猫モードで食事を摂っているためニャーと鳴くだけだが。

 

「昨日は定晴さんに毎度地霊殿に戻ってきてもらいましたが、それでは往復に時間がかかりますし、今日は地底の端なので昨日以上に時間がかかると思われます。なので今日はお燐に随時場所を聞きながら怪しい場所をまわってください」

 

どうやらペットたちの中にも情報網のようなものがあり、結構ペット間の情報交換は早いらしい。そのためお燐に常に情報がまわるようにすれば俺は怪しい場所に直接移動することができるというわけだ。

 

「しかしこの方法だと問題点が二つあります」

「二つ?」

「まず一つめは怪しい場所を探しているペットたちの移動が多くなることです。定晴さんたちは常に移動し続けるわけですからペットたちもその分移動しなければなりません。二つ目の問題点は定晴さんが連戦になる可能性が高いことです。怪しい場所全てに敵がいるとは限りませんが…いや、俺は大丈夫って言われても…」

 

おっと心を読まれてしまった。

妖怪退治は慣れているし、多くの妖怪を敵に連戦することなどは結構あったためそこまで俺は不安要素として見ていない。

昨日だって最後まで戦い続けることができたし、移動は風を使って浮くためそこまで疲れるものではない。そのため俺は連戦になっても問題ないと思うのだが…

 

「そういうわけにもいきません。昨日はたまたま下っ端ばかりでしたが、今日もそうとは限りません。相手の戦力がどれほどかは分かりませんけど、ここまで探しているのに見つからないということは誘拐されたとみていいでしょうし、こんなときに誘拐する相手となると地上侵略軍しかありません。旧都内にいた下っ端はほとんど倒してしまいましたし、今日は位が高い妖怪が増えても不思議ではありません」

 

さとりは俺が油断していると言いたいのだろう。

別に昨日楽に倒すことができたからと言って今油断しているわけではないのだが、多分さとりは俺の心の更に奥を見ているのだと思う。俺が心の奥底では油断しているのだと言っているのだ。

 

「そういうことです。私は能力を切ることは出来なくとも強くすることは出来ます。表層意識じゃないとこまで見る事が出来るのです。あまり私を心配させないでくださいよ」

 

少し茶目っ気を含んでいうさとり。今回の依頼主は彼女である。目の前で失敗することなど許されない。ここはいつも以上に警戒しつつ仕事に臨むとしよう。

 

「ええ、それではよろしくお願いします。お燐、のどに詰まらせない程度に早く食べて準備をして」

「にゅー!」

 

お燐からもやる気を感じられる。

こいしはさとりと違ってペットたちの心を読めないためお燐のように人の姿に化ける事ができない妖怪のことは分からない筈なのだが、どうやらそういった妖怪からも好かれているという。さとりが言うにはペットたちが好いてくれるのは心が読めるからだと言っていたがどうやらそれに限った話でもないようである。お燐以外の妖怪達もやる気を出しているようだ。

 

素早く食事を終わらせ準備を整え地底にくりだす。

 

「お燐、まずどこだ」

「向こうだよ!」

 

お燐は俺に一言いうと猫になり俺の前を走りだした。どうやら移動だけなら猫の姿の方が速いらしい。

お燐に先導してもらい最初の場所に到着する…が…

 

「どうしたのお兄さん?ここは強い妖力が集まってるから怪しいと思うけど」

 

俺が立ち止まったことでお燐に不思議がられる。しかしここは、先日こいしと共に着た場所である。

 

「ここ…ヤマメの家だぞ」

「あれ?知り合いの家なの?」

 

なんとなく移動してる時に勘づいていたが、やはりここにたどり着くんだな。確かにこいしも言っていたが、地底の端に住んでいる割には妖力が強いのだ。もしかしたらヤマメも…あれ?

 

「妖力が五つ?友人でも呼んでいるのかな…」

 

それにしてはおかしい。起きたのは早朝だが、ペットが探したり移動時間があったりで大体の妖怪は起きている時間である。それにしては妖力は移動しないし、そのうちの三つは弱弱しくなっている。

 

「まさか!」

 

扉を開けて中に入る。

勘違いであってくれと願いながら中を覗く。しかし俺の願いは届かず中にいたのは二人の屈強な妖怪に捕まり気絶しているヤマメ、キスメ、パルスィの姿だった。

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