東方十能力   作:nite

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九十五話 怒りに身を任せ

「なんだお前!」

 

二人の妖怪のうち一人が俺に話しかける。

しかも彼は関与していないとされていた妖怪の…鬼だった。

 

「お前らが三人を気絶させたのか?」

「ああそうだよ。ここは今日から俺たちの寝床に…」

「変な事言うなお前!」

 

俺の質問に答えた鬼ではない妖怪が鬼に殴られる。彼らが侵略軍に入っているのかは定かではない…が、これは明らかに略奪行為である。

室内には争った形跡があり、家具の一部は破損しており壁も一部が破壊されている。

 

「ここはヤマメの家だ。立ち去れ」

「あぁ?うるせえよ。ここは俺らのものだって言ってんだろ」

 

どうやら引くつもりはないらしい。

返事すると同時に殴りかかってきた。それを結界で弾いてバックステップ。

 

『いいぜ。完全に飲まれるなよ』

 

使うのはフランが狂気状態になったとき以来。

俺の中に狂気と交代。狂気の忠告は最もである。今の精神状態だと狂気に飲まれてしまうかもしれないから。気をしっかり保ち平常心。

 

「そんじゃ行くぞ」

 

結界、輝剣、魔術、身体強化…俺が持ちうる技を駆使し相手を傷付ける。

確かに俺は勇儀に負けたが、さとりによると勇儀は鬼の中でもトップとも言える腕力であるらしく、俺の身体強化だけではパワー不足だったらしい。

逆に言えば普通の鬼なら身体強化でも勝てるということだ。俺はそもそも身体強化を使う事自体珍しいのだが、鬼と対峙すると大体力比べとなるため鍛えておいてもいいかもしれない。

風といい身体強化といい、幻想郷に来てから自分の能力にもまだまだ伸びしろがあるのだと気付かせてくれる。人と一緒に飛ぶなんて外の世界ではまずあり得ないし。

 

「こいつ!最近来たっていうやつか!」

「ここに来たことを後悔させてやる!」

 

二人がかりで襲いかかってくるも、狂気によって霊力が上昇し能力をフルに使う俺には勝てない。

狂気というのは俺の中にいつの間にかいた存在で、本人が言うには俺が負の感情を重ねるほど強化されるらしい。今の俺は目の前で友人が倒れ、怒りという狂気に近い感情を持つため狂気の力は相当上がっている。

狂気に体を預けるというのは普通の人間からすれば自殺行為だが、魂としての狂気はどうやらそこらへんを上手く加減しているようで俺が意識を失ったり負の感情が爆発したりしない限りは安全らしい。

フランと戦ったときは不安定だった狂気も、幻想郷に慣れて安定したのか今は基本的に起きている。そのため狂気と交代してもあまり負荷はない。

フランが会いたいって最初言っていたし、地底の仕事が終わったら一度会いに行くのもいいかもな。

 

聖地【極楽浄土】

 

戦いながらもこういった思考が出来るのは狂気に身を任せているからであり、逆にこういうことを考えておかなければ…例えば無心になったりすると…狂気に飲まれやすくなるから注意が必要だ。

 

「ぐ…この…」

 

地底の鬼といえど妖怪。

聖なる力には強くない。対妖怪のスペルとして現在最強格である極楽浄土を喰らってはさすがに動けないか。

狂気と交代し体に戻る。

 

「さて…あんたらのトップの場所を教えてもらおうか」

「知らねぇよ」

 

こいつらも下っ端ということか。

取り敢えず紐で縛って拘束。今までもあったのだがこいつらも縛っている間に気絶。泡を吹いて倒れてしまった。きっと上層部による工作だろうと見ているが、方法が分からない。

 

「お兄さん大丈夫だった?」

 

お燐が入ってくる。

お燐はあまり戦闘向きではないためドアの陰にでも隠れていたのだろう。実際俺は狂気に代わり戦闘をしていたためそちらの方が安全だったかもしれない。

気絶した妖怪二人をお燐に運んでもらい、俺は傷付き倒れているヤマメ、キスメ、パルスィに再生をかける。

体力や妖力は回復しないが、痛みや傷といった外傷部分は治るためかけておいて損はない。

相当酷くやられたのか中々起きなかったため地霊殿まで連れて行く。ここにいてはまた襲われるかもしれないからだ。その分地霊殿の方が幾分かは安心できる。

起きたら知らせるようにさとりに言い出発。三人の内一人くらいは話を盗み聞きしていたかもしれないという希望にかけている。

そしてお燐と共に再度撃破に向かう。その後も何度も戦闘を重ね、地霊殿に帰ってきたのは夜の日を跨ぐギリギリの時間だった。

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