女は不審者扱いされているとはつゆ知らず、ふらふらと墓場を目指していた。
そして辿り着いた。ここも変わり果てていた。
まず広すぎる。全滅したのだから当たり前だが。
(探すのも一苦労だな…)
時間をかけて、名前を探しようやく見つけた。
さて手でもあわせてやろうかと思うと、違和感に気付く。
(没年がおかしいな?)
家族全員、全滅したとされている年よりも前に亡くなっているのだ。どういうことだろうか。
他の墓と比べても、やはりそれより前に亡くなっている。
そして思い出す。
逃げ出した日よりあとの記録で大きなものと言ったら、九尾と呼ばれる怪物が暴れたとのものだ。
多分それだろうか、年数もこれだった気がする。
「…ハッ!ハハハッ」
あれだけ力に執着していた親2人は、怪物に虫でも潰すように殺されたのだろうか。そう思った途端、笑いが溢れる。
「くくっ、くくくっ、ざまぁねぇなぁ!」
死者を弔いに来たとは思えない、醜悪な笑顔である。
「くくくっ、ッハハ!くだらねーなぁ!所詮てめーらもうちはのおこぼれだった訳だ!ハッハハハッ!おこぼれごときが出しゃばるからそうなるんだよ!」
ひとしきり笑うと、女はまた静かになった。
(だが、ソウタはまだ赤子だった…)
墓に買った花を供えると、ソウタの字をなぞる。
(私が弱かったから、守れなかった。守ってやれるだけの覚悟は、あの時壊れちまった。すまなかった。)
心の中で弟だけに謝罪をした。だが仕方なかったという考えは消えない。実際仕方なかったのだ。ああするしかなかった。
墓に背を向けると、女はさっさと帰ってしまった。
しばらくして、空腹に耐えかねたボルトは大通りに戻ることにした。
どこかに入れそうなところはないかとキョロキョロしながら歩いていると、突然ぼふんと顔面に何かが当たった。
「うっお!?」
すぐ離れると、目の前に全体的に真っ黒な女が立っていた。
「ああ、ごめんね。怪我してないかい?」
「してねーけど、気をつけろよな!」
前を見ていなかったボルトは、女がわざとぶつかったのだとは気づいていない。
「すまないね。お詫びと言ってはなんだが、そこでね食事でもどうかな?奢るからさ」
女が指差す店は、アカデミー生が入るには少々お高い店だ。
「お!?マジで!?」
「マジだともさ」
「ラッキーだってばさ!」
ボルトは、女の思惑に全く気付くことなく
一緒に店に入っていくのであった。
「何にするかなー♪」
ボルトは上機嫌でメニュー表を眺める。
随分高いものが多いが、奢ってもらえると分かっていれば怖くはない。
「じゃあこれにするってばさ!」
女はボルトの指差すものを見て
「いいともよ」
と言うとウエイターを呼び、自分の分も注文した。
ボルトが水を飲んでいると、女が話しかけて来た。
「君、名前は?」
上機嫌なボルトはためらうことなく名前を伝える。
「ボルトだってばさ!」
「ボルトくんね。私はセンリ。」
自己紹介を済ませると、続けてセンリが質問してくる。
「ボルトくんは忍なのかな?」
「まだ忍って訳じゃねーけど…アカデミーには通ってるってばさ!」
「そっか…。辛くないかい?」
「めんどくせーけど、そこまででもねーよ!どいつもこいつも大したことねーしさ!」
自信満々に答える。
「そっか…。羨ましいよ」
「?センリも忍だったのか?」
自分の親ほど歳が離れていると言うのに全く気にした様子がないボルトだが、センリは気にせず質問に答える。
「いや…私は忍になる前にやめちゃったよ」
「?なんで?」
「…そうだね」
少し間を置いてからセンリは答えた
「お腹がへったから…かな。」
うちはの墓はひょっとしたらナントカ神社にしかないかもしれないけど気にしない。
一旦やめ。気が向いたら次も書こうかと