「はー!うまかった!」
センリは満足そうに言った。
ボルトの方も
「サンキューセンリ!ごっそーさん!」
上機嫌である。
デザートが運ばれて来るのを待っていると、ボルトが思い出したかのように尋ねた。
「そういえば、センリの家族はどうなんだってばさ!」
自分はまともに話していないというのに、色々と聞く気満々である。
「ん?私の家族は…」
少しだけ考えた後、続けた。
「みんなくたばったよ」
「…」
ボルトは聞いてしまった!というような顔をしたので、センリはそれをなだめた。
「安心しなよ。ボルトくんと同じで、私もあまり親は好きじゃなかった。違うといえば母親も嫌いだったことぐらいさ。」
ボルトは不安そうな顔をした。次は何が出てきてしまうのかと身構えている。
「それに、死んだのを知ったのは今日なんだ」
「え…どういうこと?」
ちょっと話が飛びすぎていてボルトは理解できていない。
「私ね、忍諦めた時に家を出たんだよ。そっから大体25年くらいかなー。ずっと帰らなくてさ。」
一度言葉を切り、さらに続ける。
「今日久々に帰ってきてみたら、くたばってたのさ。とうの昔にな」
ボルトはなんと言っていいのか分からず
「なんで死んじまったんだってばさ?」
無自覚のまま地雷を踏みかねない質問をした。
「それがさ…」
とセンリが言った後、固まった。
(こ、今度はなんだってばさ!?)
さっきから怒涛の展開についていけないボルト
一方のセンリは今日調べたことを思い出していた。
(おかしくねーか?)
今思えば、というやつである。
最初図書館で調べた時に、家族が死んだのは一族全滅の日だったはずである。
ところがうちはの墓場には怪物が暴れたという年が刻まれているのである。明らかに変だ。どういうことだ。
程なくしてセンリは結論に辿り着いた。
そしてまたもや笑い始めた。
「ど、どうしたんだってばさ?」
突然笑い出したセンリに対してボルトはなんなんだといった様子である。
「いや、ね。」
「?」
くっくっくと笑っていたセンリは落ち着きを取り戻すと、最初の質問に答えた。
「それがさ、どうやって死んだのか分からねーのさ」
「…誰も教えてくらなかったのか?」
ボルトが尋ねると、またもやセンリは笑い出す。
笑いながらこう言った。
「だってよ、記録だけ見ると二回死んでんだぜ!まじウケるわ!どんだけテキトーに扱われてんだと!クッハハッハ!」
「え、えぇー…」
面白いポイントがどこにあるか分からずボルトは困惑する。
「はぁーあ。ふんっ!ククッ!」
不気味な笑いを止めないまま席を立つセンリ。
「いやー、ボルトくんのお陰で面白すぎることが判明して良かったよ!ありがとう!」
どう考えても礼を言うタイミングではない。
「えっ…ちょっと待てってばさ!」
さっさと支払いを済ませてしまったセンリを追いかける。
店の前に出るとセンリが待っていた。
「ボルトくん!」
やけに上機嫌に、ボルトの肩を叩く。
「なっ…なんだってばさ」
態度の変わりように狼狽するボルトだか、センリは気にせず言った。
「ボルトくんのお父さんだけどさ、子供や妻に興味がない程度なら全然イけるから!うちのクズどもに比べたら全然マシだぜ!大事にしろよな!」
言いたいことだけいうとさっさと踵を返して歩いて行ってしまった。
後半の話は訳がわからなかったし、最後の最後に釈然としないことを言い残して言ったが、ボルトは思い出したように声を上げた。
「センリー!メシごっそーさん!」
センリは背を向けたままひらひら手を振り、雑踏の中に消えていった。
ボルトも帰ろうとして、そして思い出した。
「あっ!デザート食べてない!」
振り向くと困惑した顔の店員がいた。
デザートはとても美味しかった。