ウマ娘 スーパージョッキー   作:グリグリハンマー

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 どうしても書きたくなってしまいました。もちろん他の連載作品もちゃんと手を付けますので……。


1.プロローグ

 騎手を目指したのは、恐らく同い年の幼馴染みが原因だったと思う。子供の頃、よく乗馬クラブにその幼馴染みの父親と一緒に遊びにいった。その父親は現役バリバリの騎手で、幼いながらに馬に跨がる姿がカッコいいとか思ってたのは覚えている。

 そして幼馴染み……は、後に数十年に渡って共に日本競馬を席巻していく存在となる男となる人物だった。彼の父親は「名人」と称された騎手だった。

 アイツは子供の頃から天才としての片鱗を見せていた。小学生とは思えないスマートな騎乗姿、馬に対する考え、どれも小学生離れしており、俺はアイツの言っていることが殆ど分からなかった。

 

 でも、そんなアイツに触発されて俺も乗馬を始め、騎手を目指す為に中学卒業後に、アイツと一緒に競馬学校へ入学した。競馬学校内でもアイツは一目置かれる存在となり、1つ上の先輩や同期も、アイツの存在に脅威と尊敬の念を抱いていた。

 この頃からだろうか、俺はアイツの幼馴染みというだけで、他には何も無いのではと少し自信を失った。

 嫉妬もした、でも俺は俺だと思い直して、がむしゃらに技術を磨いていった。

 

 競馬学校を卒業し、1年目から華々しくデビューしたアイツに対し、俺は華々しくとまでは行かなかった。勝ち星はアイツが69勝挙げたのに対して、俺は半分の35勝しか挙げられなかった。それでも重賞勝利はアイツよりも1ヶ月早く勝利出来たし、そういう面では華々しかったと思うし、俺はアイツの幼馴染みであり、ライバルにもなってやると勝利に対して貪欲になった1年目だったと思う。

 しかしどれだけ勝利に貪欲になっても、どれだけ素晴らしい騎乗をしても、アイツのライバルになることは出来なかった。アイツのライバルは、今も昔も自分自身以外いないのだ。

 アイツが1年の半分くらい海外遠征にいった2001年を除き、1992年~2006年までの15年間、リーディング2位14回というのが、アイツに追い付けなかったことを物語っている。中でもアイツと共に史上初のシーズン200勝を達成した2003年、1勝差でリーディング1位を逃したのは痛かった。

 アイツより先にダービージョッキーとなり、史上初の牡馬牝馬両方の三冠ジョッキーにもなり、日本国外のレースも勝利し、通算GI勝利数は50を超えた。世間はアイツのライバルと認めてくれたが、それでもアイツは俺をライバルとは認めてくれなかった。

 世間が俺がアイツを超えたと言ったのは、俺が初めてリーディング1位を獲った2010年。でも俺は全く納得していなかった。この年、アイツは落馬負傷で半年くらい騎乗しておらず、棚ぼたみたいな形で俺がリーディング1位になったに過ぎなかったからだ。

 もうこの頃には若い時みたいな競馬に対しての情熱は失われつつあり、引退のタイミングも計っていた。だがアイツより先には辞めたくないとは思っていたけど。何でって、不戦敗みたいで嫌だったから。只でさえフツーに戦って負けてんのに。

 

 東京でオリンピックが56年ぶりに開催された次の年、アイツは引退という選択を取った。世間に発表される前に、2人で飯食ってる時、俺にそれを話してきた。

 別に驚かなかった。むしろやっぱり俺達は幼馴染みなんだなあとか思ってた。

 

 だって俺も、その場で引退することをアイツに伝えようと思っていたから。

 

 アイツもそれを分かっていたみたいで、お前も辞めるんだろ?なんて聞いてきた時には、思いっきり爆笑した記憶がある。

 ただ俺が予想出来なかったのは、騎手を辞めた後のことだった。俺はてっきり調教師か競馬評論家にでもなるんだろうと思っていた。俺やアイツよりも何年も前からトップジョッキーとして活躍していた騎手達何人かは調教師や競馬評論家になっていたからだ。

 でもアイツはそのどちらになるでもなく、日本競馬界から姿を消してしまった。それこそ後輩に1人、調教師でも評論家でもなく北海道かどっかでバーでもやってるのがいるけど、どう考えてもアイツのキャラじゃないし、それだったらフツー周りにそのことを話している筈だ。

 アイツのいなくなった競馬業界には何も無いように思えてしまった俺だったが、いつかアイツに会ったとき、恥ずかしい自分を見られたくないと思い、調教師として多くの馬を手掛けた。

 後で知ったことだが、引退する前から日本競馬に対して魅力を感じなくなったアイツは、海外へ移住し、海外で調教師になっていた。俺が育てた馬と、アイツの育てた馬が同じレースに出ることは無かったが、ブリーダーズカップ・ワールド・チャンピオンシップに出席した時、十数年ぶりにアイツに会った。殆ど会話しなかったが、海外でアイツは十分調教師として認められていたようだった。

 

 そして――。

 

 俺、鶴崎(つるさき)(しのぶ)はその生涯を閉じた。結局アイツには1度も勝てなかったし肩を並ぶことも出来なかったが、悔いはない。これが俺だったんだろう。

 さて、人は亡くなってから再び生を与えられる時、記憶を残したまま生を与えられることがあると聞く。所謂、前世の記憶があるというやつだ。そして俺は赤ん坊ながら、こうして自我が芽生えている。唐突な自分語りは、実はこの赤ん坊の姿で語っていたのですよハッハッハ。

 いやごめん。俺もよく分かっていない。とりあえず俺はまたこうして生まれ変わったということなんだろう。まさかの2度目の人生、今度は何をしようかな。というか、この世界に競馬というものはあるんだろうか。まあいいか、今はただ寝させてもらおう。赤ん坊だし。

 そんなこんなで幼少期を過ごし、無事に成長した俺は、競馬だけど競馬ではないものを知る。

 

 ウマ娘って何ぞ?

 

 え、騎手は? これ人じゃないの? あ、だからウマ娘なのか。いやいやこれただの陸上競技じゃん。何このゲートに自分から入っていくシュールさ。

 でも……名前はみんな聞いたことがある。年度代表馬になった馬、記録より記憶に残るようなクセ馬、予後不良となった馬。俺が乗ったことのある馬もいた。

 ……決めた。

 

 2度目の人生、俺はこのウマ娘に関わることをやろう。騎手目線、調教師目線で1つでも多くのウマ娘をGIレースの勝利へ導こう。この場合、調教師になるのかな? いやでも見た目人間な娘に調教って……響きがエロいなおい。




 どの馬をウマ娘にするかは既に決めています。競馬歴12年半のにわか知識ですが、頑張っていこうと思います。
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