後、作者は競馬好きですが知識は持ち合わせていません。質問等ございましても、答えられないことも出てくるかと思います。
この世界ではサラブレッドという存在はいないようだ。その代わりにウマ娘という馬を擬人化したような女の子達がいる。どう見てもアイドルやってそうな服着てるけど、レースが始まったらどの娘もすげー真剣に走ってた。
で、レースの1~3着のウマ娘達で、ウイニングランならぬウイニングライブを行うらしい。いや、2着と3着は負けてるんだからウイニングじゃないじゃん。しかもこれ同着とかだったらどうすんだよ。
でもレースは俺が元いた世界と同じ内容で、行われる時期も一緒のようだ。
年齢とかそういうのはバラバラみたいだけど。だってシンボリルドルフとスペシャルウィークとか、元いた世界じゃ10以上歳が離れてるのに、ウマ娘だったら殆ど変わらないくらいの歳の差だし。
それで日本一を決めるのに、「トゥインクル・シリーズ」とかいうレースに出るらしい。トゥインクルって何ぞやねん、大井競馬場のナイトレースじゃあるまいし。馬にもトゥインクルって馬いたけどさ。
まあ、元いた世界とはあれこれ変わってることが多いけど、これはこれで目指すものは多そうだ。
無事に学校を卒業し、トレーナー課程やら研修やらを終えて、俺はトレセン学園のトレーナーとして配属された。競馬知識はあっても、学力は中学で止まっているので、勉強するのが大変だった。平たく言えばバカなんですよ、俺。
見習いとは言え、トレーナーはトレーナー。俺は早速自分が受け持つチーム「アルタイル」のメンバーに会いに行くことにした。
チーム「アルタイル」は結成されて間もないチームで、他と比べても大体中の上といったところらしい。まあ俺からすれば、チームの度合いはどちらでもいいので、どんなウマ娘がいるのかが気になるところ。
「あなたが新しく配属されたトレーナーですね。私はアドマイヤムーンと申します。宜しくお願い致します」
「どもー、スリープレスナイトって言いますー……あふぅ……宜しくですー……ふわぁ」
「期待してるぜトレーナー! 私はディープスカイだ、宜しくな!」
「ブエナビスタと言います! トレーナーさん、宜しくお願いします!」
はぇー……みんなGIホースばっかりじゃん。これだけ集まっても「リギル」や「スピカ」ってチームに敵わないってことは、その2チームにはもっと強くたくさんのウマ娘がいるってことなんだろう。
「俺は鶴崎忍。呼び方はテキトーに何でもいいよ。堅苦しいのは好きじゃないから、敬語も無くていい。これから宜しく」
無難に自己紹介を済ませ、恐らくこのチームのリーダー的存在であるアドマイヤムーンから、チーム「アルタイル」についてご教授いただく。
「前任者が急な転勤となってしまいまして、後任の方がなかなか決まらなかったのですが、こうして配属になっていただいてほっとしております」
「そんな人手不足なのここ……というか敬語じゃなくても良いんだよ?」
「いいえ、私のトレーナーですもの。敬意を持ってお話させていただきますわ。ですが、その敬意に見合う御方でないと判断した次第、それ相応の対応を致しますので……」
え、怖いよこの娘。おしとやかで凄い良い娘かと思ったらめちゃくちゃ怖いよ。
「お、おう……そうならないように頑張ります……」
俺が敬語になっちゃったよ。
「チームの事情はこんなところでしょうか。トレーナーさん、何かご質問はございますか?」
「来たばかりだからなあ、質問したい内容が分からない。少しずつ慣れていくことにするよ」
「分かりました。それではトレーニングの方針を決めていただけますか?」
前世での調教師時代、その時の俺の方針は、本番を見据えてのレースは基本的に緩め調教だった。だからといってGI出走時でもスパルタ調教は殆どすることはなく、強めの調教を長めのスパンで行うことが多かった。
もちろん、馬主から渾身の仕上げを依頼された時は、スパルタ調教も行っていたが、そういった依頼が無ければ、俺は「
つまり、前任のトレーナーが決めた、メンバーそれぞれの次走によって、俺のトレーニングの方針は変わるということだ。
……未だにこのトレーニングって言い方が慣れない。調教って言いそうになる……。
「その前に、全員の次走を聞いていいか?」
「はい。2月の京都記念を予定しております」
と、ムーン。
「えっとー3月の500万下ですー……あふぅ」
と、スリープ。
「私は4月の大阪杯だ」
と、スカイ。
「私はまだデビューが決まっていません……」
と、ブエナ。
やっぱり時代が違っているな。ムーンとスカイが一緒に走ることは無かったが、この世界ではそれが有り得る。これは夢の共演がたくさん見られそうだ。
「ムーン、君は2月に入るまでは自主トレに励むこと。ただし1日1時間まで、週に3日以上休むこと。2月から本格的に身体を絞っていく」
「に、2月から? それで間に合うんですか?」
「ああ、間に合う。次にスリープ、2月から少しずつトレーニングの量を増やしていく。いきなり激しいトレーニングをすると、身体に負担がかかるからな」
「ふわぁ……分かりましたー」
「スカイは今のうちに目一杯リフレッシュしとけ。2月は軽めに、3月からは強めにトレーニングをしていく」
「おっしゃあ! 休みだあ!」
「ブエナは、後で今までやってきたトレーニングの内容を教えてくれ」
「はい!」
さてさて、元いた世界通りにはいかないだろうし、どんなレースになるのか、どんなレースを見せてくれるのか今から楽しみだ。
長らく、こんな風に楽しむことを忘れていたような気がする。競馬とはまた違うんだろうけど、やっぱり好きだからこの業界に入ったんだし、楽しまなきゃ損なんだよな。
しかもこの世界だと、見た目めちゃくちゃ美少女な娘ばっかりだから、目の保養って意味でも最高。男社会だとむさ苦しいったらありゃしない。
「トレーナーさん……顔が怖いです」
「あ、ごめん……」
酷い内容でも続けていきます。時間有る限り!