意志の哀   作:ユズカ

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Episode0.5~神官と副官~

――映し出せ。

 

 低い声が聞こえる。声の主は、黒髪を長く伸ばし、腰元で結わえた男だ。纏うのは長き黒装束。男の黒髪はわずかに前にかかり、目元を覆っている。

 

 声に反応し、魔鏡とも言える鏡が姿を捉えた。一人、二人、三人の少女達。

 

「最後の力で、伝説の魔法騎士を異世界から呼んだか……」

 

 ふっ、と笑う。

 

「猊下」

 

 そこに、かしづくもう一人の姿。

 白髪に、尖った耳が印象的な怜悧な男。灰色の布を前にかけており、額には紫の宝石がある。

 

「イノーバか……」

 

 呼ばれて彼は言う。

 

「まさか、伝説が現実になるとは考えてもみませんでした」

 

 だが、黒服の男は笑みを浮かべたままこう続けた。

 

「……何を案じておる。伝説は伝説だ。事実ではない」

 

 確かに、とイノーバは思う。

 

「あのような子供では、エメロード姫を助けるどころか、魔法騎士(マジックナイト)にもなるまい」

「御意」

 

 お言葉に、絶対的な自信があっての言い様だろう。

 

「無論。伝説と侮って用心を怠るのも愚かだがな……」

「――仰せのとおりでございます」

「……猊下」

 

 すると、黒き影がこちらを振り向く。

 

「イノーバ。私が何故、お前を副官に据えたかは知っていよう?」

「はっ……」

「私が最も信を寄せるのはお前だ。だから、私はお前を――」

 

 だが、これにイノーバは言葉を待たずに放った。

 

「猊下。私は神官である貴方のお力で今、この場にいるのです。だから、私は何があろうとも貴方のお傍を離れるつもりはありません」

「イノーバ……」

 

 近づく影。

 

「猊下……?」

 

 すると、顎を持ち上げられる。

 

 目線を合わせるかの如く黒い影が、イノーバのすぐ前にあった。イノーバの金色の目。神官である彼の紫の目。彼の目は海の様に深い――

 

「私の真の『願い』を知るのはお前だけだ。この世界をも変える願い。私は、この世界を……」

「――猊下」

「……話が過ぎたな」

 

 立ち上がり、猊下は背を向けた。

 

「猊下!」

「イノーバ。お前はこの世界を美しいと思うか――?」

 

 その声はどこか寂しげにも聞こえる。

 

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文字数が足りないため、捕捉いたします。この話は本編とは別の視点の話になります。なので、読まなくても一応は本編に影響はたぶんないかと思います。しかしながら、作者が欲張りなため、他の視点も書きたくなったので、閑話を入れます。まだ使い方がよくわからないので、その辺りを承知したうえでお願いします。

 

話が長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。

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