あ、お待たせ(?)しました!
───先に動いたのは霊華。小手調べだと言わんばかりの拳の一撃を美鈴に喰らわせる...が、美鈴はこれを容易く受け止める。そして霊華は美鈴に蹴りを入れ一旦距離を取った。
「(...それなりに力は抜いてるが、ここまで簡単に止められるなんてな...これは短期決着にするべきか?)」
「(意外と強いですね...長引かせると危険かもです)」
内心そのように考えた二人。その瞬間──双方の雰囲気が変わる。霊華は霊夢と喧嘩する時よりも純度の高いオーラのようなものを放出、美鈴もオーラ...とはまた違うものを纏っていた。それにより地面が軽く揺れ一部には亀裂が入ってる。
「──ハッ!!」
次に動いたのは美鈴。素人の目には確実に追えないレベルの速さで霊華に接近し、今にも腹に左拳を当てようとしてる。
「チッ!」
しかし霊華は武道に関しては素人ではない。とっさに守りの体制に入るが......
「──お、重っ!!」
その一撃が重く体制を崩してしまった。そこを見逃す美鈴ではない。
「貰った───!!!」
構えていた右拳で止めと言わんばかりに全力で放つ。当然霊華は飛ばされて──木の幹に激突した。
──ここで美鈴は違和感を感じる。
「...『気』を使えなかった...?」
紅魔館の門番、紅美鈴の能力は『気を使う程度の能力』。それは気配りという意味でなくオーラのようなものを扱うという能力なのだ。霊華に与えた重い一撃もこの気が関係している。
しかし、二撃目の拳も気を込めて放ったはずなのに気が突然使えなくなったのだ。しかもまるで気がいきなり消滅したかのように。
「...意外と判定ザルなんだなこの能力」
「!?」
言葉を放ったのは先ほど吹っ飛ばされた霊華。多少の傷は負っているものの、普通に立ち上がった。
「さっきお前の持つ『程度の能力』を無くした。正直これで消せるなんて思ってもみなかった...」
それはつまりもう美鈴は気を扱うことが出来ないことを指す。
「それがあなたの能力ですか...」
「ま、そういうこった...早く先へ行きたいんでな。お前から場所を移動するという『能力を無くす』」
「ッ!! 足が...!!」
まるで石になってしまったかのように美鈴の足は硬直して動かない。それはすなわち、美鈴のピンチを表していた。
「本当はもうちょっとじっくり決闘したかったんだがな...あいつが心配になった。許せ」
「な、何を...」
「追ってこられると困るんでな...ほい」
「あいたっ!」
美鈴の額にとある札が勢いよく貼られた。それには小難しく『博麗』の文字がかかれていている。
「霊夢から持たせられてた対妖怪用の札だ。それが貼られてる間は動けないはずだ...常に能力を発動し続けるのは疲れるからな」
そして美鈴に向き合って霊華は続けた。
「お前とは普通に決着を着けたい。だから...今日はここで我慢してくれ」
「──フフッ、分かりました。どうぞ通ってください」
「すまんな」
そういって霊華は門をくぐり紅魔館へ入っていく。
その後にとてつもなく面倒な出来事に巻き込まれることなど微塵も思わずに...