そして安定の喧嘩詐欺。許して。
左腕が使えない...てか消えてしまったんだが、俺は元気です。
...って、そんなこと考えてる余裕なんかねぇわ。
「アハハハハハ!!!まだ壊レテないンダね!れーか!!」
「そりゃまぁ壊されるわけにはいかねぇからな...っとぉ危ねぇ!!」
フラン...強すぎないか?いやまだ強大な力ぶん回してるだけだから少し余裕はあるが...それはそれで達が悪いしなぁ。
...しかも、無意識だろうが俺のこの能力の弱点を付かれたんだよな。それに気付かれたらマジで終わる...あれ、そもそもフランは俺の能力を詳しく知らないか。
「ふふふフフふふ...面白イ技使うノねぇ...れーか」
俺のやってる事は身体に霊力を循環させて身体能力上昇させたり、陰陽玉をぶん投げたりしてるくらいだが...面白いもんなのかねぇ...
「俺からしたらフランが持ってる炎の剣みたいなのがもっとヤベーとは思うがな」
「レーヴァテイン。使うのはホントに久しブり!!」
次の瞬間───フランの一振りで屋敷が半分崩壊した。
...えっぐ。あれは流石に喰らったら死ぬわ。
「アッハハハハハ!!まだマダ足りないヨォ!!」
「ッハ、そーかよぉ!!」
──なんか軽くパニクって来たから整理するか。
まず、俺の能力──『能力を消す能力』の弱点だが...存在するのが当たり前過ぎて今まで忘れてた。それはだな...『四肢が五体満足で無事である』ということだ。いや仕方ないだろ。左腕が吹き飛ぶなんて誰が予測出来るか。
具体的には動かせさえすればよし、って感じでな。相手に触れれば能力は消せるんだがそれは手や足限定。足は普段靴を履いてるから実質手だけだな。
つまり、四肢で能力をコントロールしてるって言っても過言じゃあない。だから今かなり能力が低下してる。
ならなんでフランの能力は消せたのか?...多分だが、これはフラン自身に問題がある。一言で表すならフランは『不完全』なんだ。精神にしろ、能力にしろな。
不完全なものほど消すのは簡単だ。隙があるからな。
だが完全は...完成されたものはどうだろうか。即ち、隙がほぼない。だから消せたとしても少しの間だけだったりするんだ。
しかも、俺が見つけた『能力の消しにくさ』ってのもある。これは全ての生物が持っているものほど消しにくくなる仕様だ。具体的には...歩く、走るなどの移動能力。自衛のため、食料のための戦闘能力...そうだ、『本能』だ。本能に近い能力はかなり消しにくい。
逆に全ての生物が精通して持ってないもの...ここ、幻想郷で言うなら『程度の能力』だな、それは比較的消しやすい。比較的っていうだけで実際そうでもないが。
そこに自分よりレベルが高い者...まぁ、紫とかその辺りか?それの能力は最高レベルに消すのが難しいってのが加わる。てか一時的でも完全に消すのはほぼ無理。まぁ、弱らせればやれないことはないが...それもそれで厳しいだろうな。ちょっと燃えるが。
今までは俺よりもかなりレベルが低かったからなんとか出来たんだが...今回は厳しそうだ。マジで左腕失ったの痛い。
──まぁここまでは、俺の『能力』で決着を着ける場合の話だがな。
「...よし、頭冴えた。反撃開始」
◯ ◯ ◯ ◯
先程の爆発によって、これからスペルカードルールで対決を行おうとしていた霊夢、魔理沙、レミリアは未だにその場から動けずにいた。頭の中ではどうしてこうなったのかを考えるばかりであって、軽く現実逃避をしていたのだ。
──だが、ここでいち早く正気に戻れた者がいた。
「───フランッ!!」
その声から察せられるように、紅魔館の主であり、本異変の首謀者であるレミリア・スカーレットである。
彼女の齢は500。幻想郷で見れば大したことのない年数かもしれないが、人間からすれば圧倒的だ。対して霊夢、魔理沙はまだ20歳にも満たない女子。その差もあるのだろう...いち早く状況を解釈に屋敷で暴れてる二人のうち、フランの元へ向かっていく。
──が、それは問屋が卸さない。
「行かせないわよ!!」
「ぐっ...邪魔をするな人間っ!!」
レミリアが正気に戻ったコンマ0.1秒程度後に戻った霊夢がレミリアの前に立ちふさがる。もはやスペルカードルールなんて無視されて吸血鬼本来の力で霊夢をどかそうとするレミリアだが...そこは当代博麗の巫女、しっかり受け止めれていた。
「そこを退け!!私は行かなくちゃならないんだ!!」
「...あんた、もしかしてそのフランってやつが馬鹿兄貴に殺されるとか考えてんの?」
「そうだ!あの子はまだ戦闘慣れしてない!だから私は行くんだ!異変の償いなら後でやる!なんだってやってやる!!だから...だから頼む!!...ここを通してくれ......!!!」
霊夢は一瞬だが怯む。さっきまで絶対的支配者の雰囲気を醸し出していたのにも関わらず、今では自分に対して頭を下げているからだ。
その様子を見て...............霊夢はとても大きなため息をついた。それのおかげか、魔理沙も正気に戻る。
「...まぁ、馬鹿兄貴を見るのは初めてだろうし教えてあげるわ。あいつは絶対妖怪を殺したりしない。どんな状況になってもそうだったわ」
「っ!...そんな世迷い言なんて!」
「いや、確かこの前の霊夢をピンチで駆け付けた時も相手の妖怪は殺してなかったはずだぜ?ぶっ飛ばしただけだな。それのせいで神社倒壊したが」
魔理沙も霊夢に重ねて言うが...まだレミリアは納得してない様子。まぁ、それが普通であろう...が、少しレミリアの力が押さえられたようだった。
「てか私としてはお前の兄貴が心配なんだが。どう見ても圧されてるだろアレ...最悪殺されるぞ?」
確かに、現在霊華は攻撃をせずにずっと守りに入っているよう。そんな魔理沙の疑問に対して霊夢は...まるで当たり前であるようにその言葉を紡ぐ。
「何言ってんの魔理沙...馬鹿兄貴は負けないわ。仮にも私の兄なのよ?」
「...お、おう...」
その自信はどっから来るんだ...というような顔を浮かべる魔理沙だが...すぐに視線は霊華のほうへ映した。なんだかんだ言っても一応気になってはいるのだ。
───ここで霊華が初めて動く────
───そして、終わった。
「はぁ!?」
「え?」
「フン、だから言ったじゃない。負けないって」
どうなったのかを大ざっぱに伝えると──まず霊華が初めてフランに攻撃を仕掛ける。それはフランの正面から来てたのでフランは防御の体制を取りつつ攻撃を仕掛けにいく。かと思えばいつの間にか霊華はフランの背後にいて、指先をフランの首筋に当てる。すると突然フランが気絶し地面に倒れる...のを霊華がキャッチ。
これらが約1秒以内で行われたのだ。何が起こったのだろう、となるのは仕方ない。
「ま、まさかフランは...!!!」
「安心しなさい、死んでないわ。気絶しただけよ。気になるなら行ってみたら?」
「フランっ!!!」
レミリアはそのままそこへ飛んでいく。霊夢はそれを見て、もはやあれは音速に近いのではないか、なんてことを呑気に考えていた。霊夢自身は音速なんてものは見たことはないらしいが。
「...なぁ、いいのか?行かせても」
「フランってやつが無事なら攻撃はしないでしょ...するなら容赦しないけど」
「おぉこわいこわい.........ってか、さっきのお前の兄貴がやったやつ。何をしたか分かるのか?」
「あれは『千鳥』ね。対妖怪束縛奥義...みたいな感じだったわ。相手の妖力に応じて威力が上がるんだとか」
「はー...そんなのあるんだな」
霊夢の解説はあながち間違いではないが、そこに軽く付け加えをしよう。
何をするかだが...まず霊華の持つ霊力を指先に集中させる。そこを相手の首に当てる。それだけ。
謂わばスタンガンのようなものだ。そこに相手の妖力の量に応じて威力が上がるのだが...ここでも相手の妖怪の強さが関わってくる。
妖力のコントロールが出来る妖怪にはこの手の技は通じないことが多い。いくら量が多くても表面に出さなければあまり効果はないからだ。対してフランはまだコントロールは出来ず闇雲に溢れさせてるだけ。まさに『千鳥』の格好な餌だったのだ。
「ま、先代様が使ってたものだしね。馬鹿兄貴の師匠は先代様だし、伝授したんじゃない?」
「え、そうだったのか!?」
「え、知らなかったの?...って、あら?」
そんな会話を続けていると......いつの間にか空模様が元に戻っている。もうすぐ夜が開けるという時間に差し掛かっていた。
紅魔館が倒壊したことで霧の発生源が壊れたのか。それとも元凶の妹のフランが殺されるのかと勘違いして霧に回してた妖力を自分に戻したのか。何にせよ、いつの間にか異変は解決してしまっていたのだ。
「なーんか物足りないよな」
「ま、解決したんだしいいんじゃない?さっさと馬鹿兄貴連れて帰るわよ」
「.........なぁ霊夢。私の見間違いじゃなけりゃだが......お前の兄貴、左腕消えてないか?てか血の跡っぽいのも見えなくもないんだが」
「............は?」
「怖っ!今の怖っ!ってか自分の目で見てみろよ!」
「っ!!───おに...馬鹿兄貴ぃ!!!」
「...はぁ、私も行くか。霊夢のストッパーとして...」
これで一応紅魔霧異変は終わり...かな?
最後雑でしたね。ごめんなさい。