今回ふと「あれ、そういや霊夢さんのお兄さんの小説ってないなー」って思って作りました。
後悔はしてません。
喧嘩一回目
ドッゴォォォン!!!!
とある朝。何かが爆発したようではないか、という音が幻想郷中に響いた。
普通ならば、こんな音が響いた瞬間に人々や妖怪はその音の原因に恐れを抱く、もしくは興味を持つだろう。
しかし彼らは「またか...」というような顔つきでその音の発生所の『博麗神社』のある方角を見つめていた。
同時刻、魔法の森に住む自称普通の魔法使い『霧雨魔理沙』も同じく「またか...」という顔つきをしていた。
「全くあいつらは...」
魔理沙は愛用している箒に乗って空へ飛ぶ。
向かう場所は決まっている。
「私が止めてやらないと...神社が壊れるまで続けるからなぁ...」
本日初のため息をつく。
おそらく、これからも沢山つくのだろう...と思いながらその場所へ向かう。
博麗神社には二人の人間が住んでいる。
一人目は、今代博麗の巫女を勤めている『博麗霊夢』。基本的に面倒くさがり屋で、家事などはほぼしていない。異変が起こったときに、解決する立場にいるのにも関わらず催促されるまで動かない、そんな人間だ。
だが、彼女は天才だ。霊力を操ったり結界を張ったりすることは、歴代博麗の巫女の中でもトップクラスだろう。一度彼女が本気を出せば大抵のことは解決できる。まぁ、本気を出せば、の話だが。
二人目は、そんな霊夢の2歳年上の兄である『博麗霊華』だ。女のような名前ではあるのだが、れっきとした男だ。本人はあまり気にしてはないようだが。
性格は霊夢よりは真面目だ。霊夢が家事をしないので、家事は全て霊華が引き受けている。まぁ、面倒くさがり屋な部分が8割ではあるが。
ただし、霊華には霊夢のように霊力や結界の才能は無い。なので、先代の博麗巫女から直伝で武術を教えてもらった。今は亡き先代の武術の後継者なので、わりかし幻想郷でやっていける実力を持っている。
そんな二人なのだが、とてつもなく仲が悪い。大体週に10~100回の頻度で喧嘩をしているのだ。
それにより幻想郷にそれなりに被害を出しており、管理者を立場にある『八雲紫』が胃薬を常備するようになったのは有名な話。
博麗神社に到着した魔理沙は、とりあえず神社の居間へ行く。
そこには...お祓い棒とお札を装備して霊華を睨み付けてる霊夢と、何か強そうなオーラ的なものを纏って、拳を構えながら霊夢を睨み付ける霊華がいた。
所々見ると、居間の机が粉砕されており、さらには壁や床はヒビがあっていた。これで神社が倒壊しないのが本当に謎だっていうレベルになっている。
「はぁ...今日は何があったんだ?朝飯に梅干しでも入ってたのか?賽銭の取り合いか?それともあれか、目玉焼きには塩か醤油かでまた揉めたのか?」
これらが理由で一度喧嘩をしている。またこれらが原因なのでは無いか、と呆れながら魔理沙は問いた。
「!ちょっと聞いてよ魔理沙!!」
魔理沙を見つけた霊夢が言い寄る。魔理沙は軽く面倒くさくなりながらも話を聞く。
「馬鹿兄貴ったら、あんこはつぶ餡の方がいいって言うのよ!!可笑しいわよね!?絶対こし餡の方がいいに決まってるわ!!」
...絶句した。魔理沙は口をあんぐりと開けたまま、固まってしまった。
「おい霊夢、それは聞き捨てならないなぁ?絶対につぶ餡の方がいいに決まってるだろ!何故こし餡に拘る!!」
「つぶ餡のあの食感の何がいいのかしら!!皮が口に残るあの感覚は嫌いよ!!」
「あの食感がいいんだろうが!!こし餡は甘すぎる!!よくあんなもの食べられるな!!」
「あの甘さがいいんじゃない!!この分からず屋!!」
「なんだとこの脇見せ巫女!!」
「脳筋!!」
「ナマケモノ!!」
...あぁ、今日も空は綺麗だな、と魔理沙は現実逃避をしながらこの一連の会話を聞いていた。それと同時に、思ってしまった。そして、口に出してしまったのだ。
「はぁ...しょうもないぜ...」
「「...は?」」
「あ」
呟いたのに気付いたときにはもう遅い。二人が言い合いを中断して、魔理沙を睨み付けていた。その視線で大抵の妖怪が凍りつくだろうな、と魔理沙は内心思っていた。
「...霊夢」
「えぇ...一時休戦ね」
霊夢はお祓い棒と札を改めて構え直し、霊華はポキポキと手を鳴らし始めた。
「ちょ、ちょっと用事を思い出したからここでおいとまするぜ!!」
自分がこれからされることを感じ取ったのか、魔理沙は自分の箒に乗って最高速で神社から逃げようとする...が、
「はぁぁ!!」
「!?」
突然自分の体が動かなくなる。良く見ると結界で体が固定されているのが分かった。
「行きなさい馬鹿兄貴!!」
「良くやった駄目妹!!」
魔理沙のほうへジャンプして接近してくる霊華。そして...魔理沙がボコられる瞬間、
「なんでこんな時だけ息ぴったりなんだよぉぉぉぉ!!!!!」
魔理沙の断末魔が幻想郷中に響き渡った。
◇ ◇ ◇ ◇
朝の騒動の後、霊夢と霊華は正座させられていた。
二人の目の前には、妖怪の賢者である八雲紫がいる。そして二人の背後には...倒壊した博麗神社があった。
「ねぇ...なんで私が正座させたか分かるかしら?」
「「...」」
「...これで何度目なの!?神社倒壊させるの!!」
「ゆ、紫様!落ち着いてください!!」
「落ち着けると思うのこれで!?今月でもう10回目よ!?まだ今月に入って一週間も経ってないのに!!」
紫の式である『八雲藍』が落ち着かせようと試みるが、紫が落ち着く気配はない。
「どうしてあなた達は...なんでよ!!」
「...なぁ霊夢、これ俺達が悪いのか?」
「私は悪くないわ。
「...は?だったら俺が悪いとでもいうのかよ?」
「そうよ?だって最終的に神社を壊したの馬鹿兄貴じゃない。魔理沙をボコった時の衝撃波で」
「上等だ構えろ」
「こっちまで巻き添え喰らって迷惑してたのよ。退治してやるわ」
「や・め・な・さ・い!!」
肩で息をし出した紫に、霊夢と霊華は不思議そうに言う。
「紫...どうしたの?そんなに疲れて」
「さっさと休んだほうがいいんじゃないのか?」
「誰のせいよ!!」
流れる動作で胃薬を飲む紫。それと同時に藍は頭痛薬も渡す。
「紫様...あの二人の喧嘩を止めるのは不可能かと...」
「えぇ...でも、でもよ?限度があるじゃない!!やり過ぎよ!!」
紫は文句を言いながら神社を修復していく。霊夢と霊華もいがみ合いながら修復をし始めた。
「はぁ...静かな朝を迎えられる日は来るのだろうか...」
藍はそう呟いて、紫の手伝いをしに行った。
これは、そんな博麗兄妹の物語である。
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