俺は『博麗霊華』。そう...あのぐーたら駄目巫女の霊夢の兄だ。
今俺は人里に買い物に来ている。ある程度買いだめをするためだ。あ、今日は野菜が安い。
実を言うとな...博麗神社の生活費は俺が稼いでるんだ。あそこは参拝客なんかほとんど来ないしな...なんで来ないのか全くもって謎だ。
にしても里はいい。
人々がお互いを助け合って生きているっていうのを実感出来るからだ。特に、子供が楽しそうにしてるのは嬉しいな...幼い霊夢を思い出す。あの頃はまだ可愛かったぞ。ホントにどうしてあーなったのか...
「...博麗の...」
ふと、誰かが呟いたのが聞こえた。その顔は、明らかに歪めている。
まぁ...いつものことだ。博麗の巫女と、それに関連する人物は嫌悪される...それはもう定めだ、って俺は割りきってはいるが...いかんせん霊夢がなぁ...どうでもいいっていう態度はとってはいるが、強がりだろうな。だからって俺は何もしない。面倒だし...こういうのはあいつ自身がなんとか割り切るしかないんだからな。お、卵も安いな。
俺が買い出しを続けていると...
「やぁ、霊華じゃないか!今日も買い出しか?」
...えっと...名前が出てこない...あ!
「けーねか!?」
「...お前は自分の雇い主の名前を忘れるのか...」
はぁ...とため息をつくのは...確か『上白沢慧音』のはず。俺の雇い主ってことになってた。
こいつは寺子屋で教師をやっている。俺はその寺子屋の子供達に軽い護身術を週に1回のペースで教えてるってわけだ。ちなみに弱小妖怪程度なら追い払えるレベルのやつだ。
でもこいつにはあんまり会わないから名前忘れちゃうんだよな...それに給料渡してくるのもあいつの友人っぽい妹紅ってやつだし。
「それで、雇い主様はこんなところで何をしてるんだ?今日は寺子屋じゃないのか?」
「あぁ、近頃人食い妖怪が出没してるものでな、早めに帰らせたんだ」
「...人食い妖怪?」
「被害があったのは暗くなった頃だ。結構な騒ぎになったんだが、知らないか?」
「へぇ...知らないな。目撃情報とかないのか?」
「残念ながらな...だからこうして被害がこれ以上でないよう私がパトロールしてるわけだ」
「それはご苦労なこった。ま、ヤバくなったら霊夢が動くだろ」
「...お前は動かないのか?」
少し睨みを入れながら俺を見てくる。被害が出てるのに動かないのかこの薄情者め、とでも思われてるんだろうなぁ...別にいいが。
「俺の仕事じゃないし...俺が出るまでもないだろ?」
「...私としては出てもらえると助かるのだが」
「考えてはおくさ。ほら、早くパトロールに戻ったほうがいいんじゃないか?人里の守護者さん?」
「...」
「そんじゃ、買い出しも終わったし帰るか。一応、お前も気を付けろよ~」
手を振ってけーねと別れる。
さて...今日は何を作ろうか。ピーマンが手に入ったし、ピーマンの肉詰めでもしてみるか。
あいつピーマン食べないしな。今日は徹底的にピーマン尽くしだ。意地でも食わせてやる。
◇ ◇ ◇ ◇
「こぉんの馬鹿兄貴!!何よこの夕御飯は!!」
「何ってピーマン尽くしだが?ピーマンの肉詰め、ピーマンご飯、ピーマン風味の汁...最高じゃないか!!」
「...あんた私がピーマン苦手なの知ってるわよね?」
「当然、だから食え!」
「...殺す」
「上等だ、夕飯が冷えない内に片付けてやる」
「あーもう!喧嘩するなら外でやるんだぜ!!」
ピーマンって美味しいですよね。焼きそばのピーマンとか野菜炒めのピーマンとか。