軽く詐欺ってますね...すみません。
「馬鹿兄貴、ちょっと出掛けてくるから」
ピーマン尽くしの夜ご飯の翌日の朝、霊夢からこんな事を告げられた。
...は?
マジで?
あのいっっっっっつも神社でぐーたらしてるあのナマケモノ巫女の霊夢が?
まともに動かないで一日を過ごすのが当たり前のあの霊夢が?
お祓い棒とある程度の札を持って出掛けてくるだとぉぉ!?
「...明日は槍でも降りそうだな」
「馬鹿兄貴が私に対して抱いてるイメージがよぉぉく分かったわ。例の妖怪を退治する前にあんたを退治したげる」
「それは返り討ちにしてやるからいいとして...珍しいな?お前から動き出すなんて」
霊夢はその性格から、何かあっても自分から動くことは基本無い。
誰かに催促されるか、無理矢理やらされる時ぐらいだ。
自分で動くときもあるが...その時は自分のための時だけだ。
「まぁ...頼まれたし。お礼もかなりくれるっていうしね」
「ちなみにそのお礼ってのは?」
「米二、三年分」
「よぉし霊夢よ、何がなんでも退治してこい」
米二、三年分だと!?それがあれば...ムフフ、ある程度贅沢出来るな。
米があれば生きてはいける。
米 is power. 米 is justice. 米 is God.
これは我が博麗神社に伝わる教えだ。ホントにその通りだと思う。いやマジで。
「それに、スペルカードルールを広めるのに割といい機会だって紫が言ってたし」
...あー、それもあるかもな。
─スペルカードルール。
これは近年、紫と霊夢によって作り出された新たな幻想郷での決闘方法だ。
以前までの...つまり、師匠の時代までの博麗の巫女はガチの妖怪との死闘を繰り広げていたらしい。あ、師匠ってのは先代巫女のことだぞ。
それによってなのかは分からないが、博麗の巫女に就任してる期間が極端に短くなったりすることがあったみたいだ。師匠は...紫曰く、歴代巫女の中でも二番目に長かったそうだ。一番は初代だとか。師匠もヤバいけど、初代もヤベェ。
まぁ、そんなわけで妖怪と人間のパワーバランスを保ったり...もしくはヤベェ妖怪同士がぶつかり合って幻想郷がぶっ壊れたりしないように、このルールが出来たってわけだ。
別名で『段幕ごっこ』と呼ばれたりもするらしいがそれは知らなかった。
「ん、そういやさっき言った『例の妖怪』って...噂の人食い妖怪だったりするか?」
「あら、馬鹿兄貴の耳にも入ってたのね、意外だわ」
「腹立つなその言い方...まぁいい、とにかくさっさと退治してさっさと米貰ってこい」
「言われなくてもそうするわ」
そういや...異変ではないが、霊夢初出陣じゃないか?
スペルカードルールを広めるために紫が何かしてくれてるようで異変は霊夢が代替わりしてから暫く起きないことになっている。
その間は紫の式の...なんだっけ?あの狐...あーもう、狐でいいや。
その狐が妖怪たちを沈静してくれてるはずなんだが...あ、別件で忙しいんだな、察した。
霊夢は天才だしいけるでしょーっていうあれだろうけど...なんだかなぁ。
「初陣で負けるのは止めろよ?お前に限ってそれは無いかとは思うが」
「負けるつもりなんて微塵も無いわ。一応初陣だしね」
それにしては緊張してる素振りなんか無いんだよなぁ...ある意味すげぇ。
「それじゃ行くわね」
そう言って霊夢は人里の方へと飛んでいった。
...大丈夫かねぇ...里の人からの目線。
ま、俺には関係ないか。
...今日ぐらいは、夕食は霊夢の好きなハンバーグにしてやるか。ピーマンソテーを添えてな。