「.........」
「.........」
太陽がまだ登って数時間しか経っていない頃、博麗神社の縁側に私と霊夢が気まずく座っていた。
左側に親友の霊夢。右側に私だ。霊夢は何故か相当機嫌が悪そうで私はそれが少々怖く感じている。
「(何か私はやってしまったか?)」
私は自問自答するが答えは見つからず。そこで私は、今日はいつもと何かが違うか、を考えることにした。
だがなぁ...特にあるか?
いつも通りそこそこ綺麗に清掃された境内、いつも通り味が薄い茶、いつも通り用意された煎餅、そしていつも通りそれを用意した霊夢の兄貴.........あ。
「(そういや霊夢の兄貴がいねぇ!!)」
それしかない!...だが考えにくいな。いっつも二人は喧嘩ばかりしてる。なら仲は相当悪いはずだからな...ならなんで霊夢はこんなに機嫌が悪いんだ?
...聞いてみるが一番か。
「な、なぁ霊夢」
「...なによ」
いつもと比べかなり不機嫌そうな低い声に少しビビってしまったが私は続けた。
「...なんでそんなに機嫌が悪いんだ?」
「...は?」
...え、なんか驚かれたんだが。なんでそんな事聞いたの?みたいな表情してるぞこいつ。マジか...無自覚かよ。
「いやな、今日のお前はいつもよりもかなーり不機嫌そうだから何かあったのかと思ってな」
「...別になんともないわよ」
...流石にこれは誰でも嘘だって分かるぞ。露骨に目を反らしたし。
だが...こいつはなかなか口を割らない性格だ。ここは話題を変えるか。
「あー......そういや今日はお前の兄貴はいないのか?」
「......えぇ」
「そうかー、買い出しにでも行ったのか?」
こんな時間に珍しいなーと続けて言うと、霊夢は急に俯きだした。
「......のよ」
「ん?」
「二日前から帰ってこないのよ!!あの馬鹿兄貴が!!」
「...は?」
私は霊夢が急に立ち上がって叫びだしたことと、霊夢の口から出た情報が入り交じり混乱し始めてきた。
そして霊夢は何故か軽く興奮しだしていている。
「お、落ち着けって霊夢!一旦座れ!」
「いきなり二日前に散歩に行ったっきり帰ってこないのよ!?これが落ち着いていられるわけないわ!!」
ダメだこりゃ...ん、待てよ?...こんなに怒ってるってことは...
「お前...兄貴がいなくて寂しいんだな...」
──その言葉を呟いて数秒もしない内に段々霊夢の顔が真っ赤になっていく。
...図星か?図星だろうな...
「な、あ、あ、あんなやつがいなくて寂しいなんてあり得ないわ!!つぶ餡派だし!!目玉焼きには塩だし!!私の嫌いなピーマンをやたら推してくるし!!まぁ確かにこの前助けてくれた時は格好良かったけど!!!」
「お、おう......」
誰も格好いいなんて言ってないぜ...ってとこは心のどっかで思ってたわけだ。意外な一面だな。
「まぁとにかくお前の機嫌が悪い原因はお前の兄貴が不在だってことだな」
「...認めたくないけど、そうね」
なんか落ち着いたみたいだな。それならいいんだが。
にしてもあの霊夢の兄貴がねぇ...ま、どっかで道草食ってるんだろうが...
「しょうがない、私が探してきてやろう。丁度暇だしな」
「.........いいわよ、どうせひょっこり帰ってくるわ」
「まぁ私もそうは思うが...このままだとお前が飢えてしまうだろうしな」
「な!私だって自炊くらいできるわよ!」
「ホントかぁ?いつもお前の兄貴がやってるじゃないか。あまり信用出来ないぜ...出来たとしてもあまりいい出来映えじゃなそうだしな」
証拠に霊夢が前来たときより少ーし痩せてるんだよな...黙っておくか。
「まぁとにかくだ。お前の言った通り多分ひょっこり帰ってくるだろうし、見かけたら早めに帰るよう伝えるだけにしとくぜ。厄介なことに巻き込まれてなきゃいいがな」
「.....................そうね」
おい、なんだ今の間は。なんかに巻き込まれてるのか?...まぁ私には関係ないことだ。
さて、そろそろ行こうかな、と箒を手にしたとき...
「あら...魔理沙もいたのね。まぁいいわ」
霊夢の近くからとても胡散臭そうな雰囲気のする声が聞こえてきた。こんな声を出すのはあいつしかいないだろ...
「呼んでないわよ、紫」
「連れないわねぇ霊夢。折角霊華のところへ連れていこうと思ったのに」
その言葉に霊夢はピクッとした。分かりやすいなぁおい。
「魔理沙も...まぁ来るわよね。二人とも来なさい。霊華の仕事を見せてあげる」