濱汰魔羽(はまだまは)、16歳から始めた探偵業。
天才探偵と呼ばれるにふさわしく、事件は必ず
設定制限時間内で解決するという神業を特技とする。
さて、今日の事件は・・・
ある晴れた日、一人の男が
探偵社のドアを開ける。
「あの・・・・濱汰先生いらしゃいますでしょうか?」
「はい、少々お待ちください」
秘書の男性が客を室内に通す。
「どうぞ、こちらにおかけになってお待ちください。」
お茶を出しもてなすと、待合室のドアが開いた。
「おっまたせ致しました~。濱汰でーっす!」
現れた女性は、肩まで伸びた薄茶色の髪を手で払いのけながら
客人に挨拶した。
「あ・・・・あの、濱汰先生にお会いしたくてまいりました」
「はいっ、私がその濱汰です」
「あ・・・お嬢さん・・・ですか?僕は濱汰魔羽先生に
ご相談がありまして・・・」
「でーすーかーらーーーーー!!私がそのは・ま・だですっ!
上から読んでも下から読んでも、はまだまは!以後お見知りおきを!!!」
「え・・・でも・・・・どんな事件でも秒殺で解決しちゃう
濱汰先生って、もうちょっとご年配の方かと・・・」
「はああああああ、それは母ね!母の濱汰和子!
母の和子は推理小説家でしてーーー、確かに小説内では
秒殺で事件解決しちゃってますけどぉーーーーー
あったくしは、リアルで事件を秒殺解決しちゃうんですっ!」
「え・・・あ・・・・そうなんですか・・・・」
驚きを隠せない男は、額の汗をフェイスタオルで拭いながら
出された緑茶を啜った。
「でぇー、ごっ相談ってなんですか?」
「はぁ・・・・」
本当にこの人で大丈夫なんだろうか、と訝し気に
濱汰魔羽を見上げる。
「はああやああくうう!!相談料、加算じゃいますよ?」
忙しなく客をせっつく女探偵。
「あ・・・はい・・・・実は・・・
うちの母なんですが・・・失踪してしまいまして」
「失踪ね。」
(失踪ねって、どうしてそう軽く言えちゃうのかな?)
女探偵の態度に、ますます不安になる相談者の男。
「えー、では、何月何日何曜日、どんな天気だったか
気温はどんなでー、いつどこでいなくなったかお話し下さい」
「はい・・・・・(詳細を述べる)」
「わかりました!では、早速現地に向かいましょう。
ちなみにですねー料金体系をお知らせします。
30分以内に事件が解決しなければ、相談料含め全額お返しいたします。」
(ピザ屋か・・・)
「その代わり、時間内に事件が解決しましたなら
相談料込み、一律、535,840円いっただきまーす。
消費税込みです。特に経費がかからなければ、初回相談料は
おまけしちゃいまーーーーす。めんどいものの場合は、時間分の
相談料も頂戴しちゃいまーーーす。
よろしいですか?」
「・・・・・・・・た、高いですね・・・・」
「でーーーすーーーーーかーーーらーーーー!
30分以内っていう、神がかりな解決時間なんですよ?
通常の探偵解決料金をあなたの時間給で計算してあそばして?
ぜったい安いはずですから!しかも、後悔はさせません」
自信満々に講釈をたれる女探偵。
「はぁ・・・・」
額から流れる汗を、再び拭う相談者の男。
「はい!ぴょっこりぱん!・・・じゃなくて、れっつらごー!」
濱汰魔羽、女探偵、保護士だった母が退職したあと
個人事務所を構えて推理小説を書き始めてから、魔羽はバイトで始めた
探偵業をいつのまにか生業とするようになったのが16歳の時。
現在は17歳だが、高校には通わず、なんと半年で大検、今で言う
高認を取得してしまった。大学もいくだけ無駄だだと、サイバー大学で
単位を取得しながら、探偵業を行っている。
「さあ、砂生田君!ついたわよ!お客様に
ご案内していただいて!」
アシスタント兼秘書の砂生田貞夫(さおださだお)21歳。
魔羽がまだ運転免許を取得できないので、いつも砂生田が
現場までの運転を担っている。
相談者の男、加来山が車を降りて、母の失踪現場まで
案内する。
「へぇ~、めずらしく、超和風の家だわね!
というか、代々の名家ね!蔵まであるわ。」
「ど、どうして・・・名家っておわかりになったのですか?」
加来山が驚いて、目をみひらいたまま魔羽に尋ねる。
「だーーーって、都内の一等地に
こーーーんな、でっかい蔵があるなんて
名家以外の何物でもないでしょ~。
しかも、年老いたお母様を介護施設にも入れないで
ヘルパー3人もつけちゃって、超超超おっかねもちだってことは
すーぐにわかっちゃうわ!」
巨大マイルーペから家を覗きながら、自信満々に大声で
まくしたてる魔羽。
「はぁ・・・・さ、流石ですね・・・先生。
それでは、どうぞ中にお入りください。」
案内されるままに、加来山のあとをついていく
魔羽と貞夫。
「そーれでー、お母様はご体調が悪くていらっしゃったのよね?」
「は、はい・・・・膝の神経痛を患っておりまして・・・
失踪当日は、仕事の準備にとりかかっていたため、
母から離れている時間が多かったんです。膝が悪いので
遠くに行ったりすることはないと思い・・・」
「そのようなご病気にかかられた方は、痛みなど敏感になられますから
傍にいて差し上げないと、ご不安になられますから。
ご家族の方が近くにいらっしゃると安心されるようです。
普段より注意してお近くにいられるとよいですよ」
こいつなにもの?本当に17歳なのか?
すでに博士号を取得した医師よろしく
患者の診療解説を行う若き女探偵。
果たして、30分以内に事件が解決するのだろうか?
二次小説はあまりないんですが・・・・(苦手でして)
オリジナルをみて面白かったので、作ってみたくなりました。
おつきあいいただきまして、ありがとうございます。