若き女探偵、濱汰魔羽は依頼者の敷地内を
案内されながら奥に進んでいった。
すると、母屋の横にある和風の建物が気になり、入り口の前で足を止めた。
「あのぉ~?これって何ですの?蔵にしては大きいし・・・」
魔羽が背伸びをしながら尋ねる。
「あ、これですか。父は建築家でしたので、自ら設計した
別棟を趣味で建てたんです。」
「なぁ~るほど!別棟ってことは、お友達を招いたりしたときに
使うお部屋なんかがあるんじゃないですかっ?」
目を大きく見開いて、魔羽は依頼者の顔を覗き込んだ。
「はい、おっしゃるとおりです。父は仕事柄
取引先の客人や個人的な友人を招いて、しょっちゅう
パーティを開いていました。」
「ってことは、宿泊もできるような造りに
なっているんですね?」
「はい。バス・トイレ、スモールキッチン、全てそろっています」
「なぁーるほど!ちょっと失礼しまーす!」
「あ・・・お待ち下さい。鍵を持ってきます」
依頼者は急いで母屋に別棟の鍵を取りにいった。
数分して、依頼者の加来山が、小走りに戻ってきた。
「それでは、今から開錠します」
ぎぃ・・・・という音を立てながら、別棟の扉が開く。
「あのお~おたずねしますが、この別棟を一番最近
使ったのはいつですか?」
「ここですか?・・・・あ、先週の土曜日
僕が3階の倉庫にツーバーナーを取りに行きました。
会社でバーベキューをするというので」
「3階、ですね!そこに行ってみましょう」
「はい」
加来山に続いて、魔羽と貞夫が階段を上る。
「ここです」
すると、魔羽は首をかしげた。
「あれ?ここって4階じゃないですか?」
「いえ、ここに3とありますのでここが3階です」
柱に掘られた数字を差し、加来山は確かに3階であることを
説明した。
「ええ?でも、私達3段上ってきましたよ?」
「そうですか?」
「ええ、私、階段上るとき、数を数えるんですよ。
ここはひと階分が9段あります。私達は27段上りましたから
4階の筈です。一番したは1階ですよね?」
「ええ・・・階段を上って最初の部屋が2階です」
「カウントされなかったんですか?」
「あ・・・今まで数えたことはないですね。
ここにはあまり来ないし、来るときは柱の数字を
参考にしていましたから・・・」
「お父様、建築士っておっしゃいましたよね?
もしかして、日当室町村とか設計されてないですか?」
「あ・・確かに、大昔、室町村のアトラクションを
作ったことがあります」
「やっぱり!わかったわ!
最初に事務所でご説明されたとき、お母様は
アルバムを見たいとおっしゃってましたよね?
ということは、4階の倉庫に向かっていたんですよね?」
「そう・・・ですね」
「ちょっとみてください」
魔羽はピンポン球をポケットからだし、
床に落とした。
コロコロコロ・・・・・すとん。
ピンポン球は階段の広いステップの奥に向かって転がって行った。
「あ!」「あ!」
加来山と貞夫がピンポン球をみて驚く。
「ね?ここは平らじゃないんですよ。平に見えるけど。
からくり忍者屋敷と同じ造りなんです!
お母様はおそらく、お薬を飲まれていたので
ふらつかないように、手すりにつかまりながら、
足下を見て上っていったんだと思います。
そのため、柱の文字は見ないで、自分で数えながら
上っていったんだと思います。」
「そうか!もしかして・・・・」
加来山は3階の扉を開けた。
「あ!!かあさん!」
「あら、どうしたの?」
「どうしたのじゃないですよ!探したんですよ!」
「久しぶりにこの部屋に来たから、アルバムを見ていたのよ。
ステレオもあるから音楽をきいたり本を読んだり。トイレもあるし
冷蔵庫もあるから、ここで一晩過ごしたのよ。」
「連絡ぐらいくれたっていいじゃないですか!」
「電話はなかったわね」
「かあさん!」
「はーい!事件解決!では、ご請求金額は
こちらにお振り込みくださ~い!!」
魔羽は請求書を差し出した。
「ありがとうございました!灯台もと暗しって
こういうことを言うんですね・・・まさか、敷地内に
いたとは・・・・」
「他にご質問がなければ、私達、退散致しますが?」
「あ・・・ひとつ、質問があるのですが、別料金ですか?」
「んーーー、移動がなければ、問答だけでしたら
おまけしちゃいます!こんな素敵な建物を見せていただいたので!」
「実は、昨日、世話になった方に、菓子を送ったんです。
冷蔵便で送ったのですが、相手様が受け取りを拒否されたようで・・・
なにかお気に召さなかったのでしょうか・・・」
「ほお。個人宅ですか?」
「そうです。個人のお客様です。」
「もしかして、会社名で送りました?」
「ええ、会社名で送りました」
「ご家族がお受け取りになられる可能性は大いにありますね?」
「ええ、あります。」
「ははーん。おそらくこうでしょう。最近物騒ですからね。
不当に荷物を送りつけて、開封したら支払い義務が生じるとか、
詐欺まがい商法が横行してますからね。
知らないところからは受け取らないって方もおられるようですよ?
会社名だけ入れたんですよね?」
「はい、そうです」
「おそらく、家族の方が会社名をご存じなかったのでは?
カタカナやアルファベットですと、訝しむ方もいらっしゃいますからね。
加来山さんのお名前を入れたら、ご家族もわかったかもしれないですよ」
「なるほど!そうですね・・・きっとお母様かおばあさまが
おでになられたのかもしれません。いつもオレオレ詐欺などには
気を付けていらっしゃると、前にきいたことがございます。
それで、受け取りを拒否されたのかもしれないですね・・
なにかご気分を害されたのかと思いまして、
連絡してよいものかどうか、考えあぐねておりました。」
「ご家族の方が、お話になれば、そのうち先方様から
ご連絡があると思いますよ!」
「ああ、そうだとよいですね。秋の刀もお願いしたいと思っていましたので。
ありがとうございました!」
「いいえ~!!!あの、もし、差し支えなかったら
この建物、写めらせていただけます~???とっても素敵だから!」
「はい、どうぞどうぞ、お好きなだけお撮りください。
この度は本当にお世話になりました」
「貞君、外観撮ってくれる?私は、加来山さんと一緒に
内観撮らせていただくわ。加来山さん、お時間よろしくって?」
「はい、大丈夫です。これは延長・・・」
「あ、もちろん、延長料金には要りませんよ!!!その代わり
端数は切ってサービスいたします!!」
「それはそれは、感謝いたします」
今回の解決時間、28分25秒。
どんどん新記録を塗り替えていく
女探偵・濱汰魔羽。
次回はどんな相談依頼が待っているのだろうか?
変装の麗人って、もしかして
返送、ですか???
タイトル雑っ・・・・
さて、次回・・・・・
どうでしょう?すでにネタ切れかも・・・・(汗)