ある事件が起こる。
翔真の車で、柚奈の別荘に二人は向かった。
うだるような暑さが地表から伝わってくるのにもかかわらず
エアコンを嫌う柚奈は、車窓全開で湘南の風にあたりながら、
ドライブを楽しんでいた。
「あづ~・・・・柚奈お嬢様ぁ~ええええエアコンつけたら
あきまへん?」
「あきまへん」
「そうでっか・・・」
「さいです」
走行中は心地よい風が頬をなでる。
ところが、信号待ちで停車した途端に、額から
汗が噴き出す。柚奈はひどい車酔いで、エアコンをつけると
途端に頭痛が襲ってくる。
真夏のドライブ中だけは、翔真にとって酷暑我慢大会を
強いられることになる。
「翔真君、別荘についたら、速効でかき氷作ってあげるね。
体質改善して、エアコンに耐えられるようにがんばるから・・・」
「え?いいよ・・・。エアコンの方が体によくないんだからね。
オレもレモンとかうめぼし食べて、暑さ対策がんばるから」
「魔羽が到着したらみんなで海水浴にでも行こうか?」
「おっ、それは良いね!」
「・・・・・・・・・・」
「え゛っ????オ、オレなんにも言ってないよ(汗)てか
なに、なに睨まれることあるわけ???(必死に考える)
なんだろ、誘導尋問にひっかかったボク?
え゛ーーーーー!!!(水着か?)
もじがじて、魔羽ちゃんの水着とか?
ないしーーーーーまじ、ないですぅーーーー
お子様だし、あの子ガリガリだし、みてもなんともないです!」
「あたし、何も言ってないわよ?」
「いや・・・・あの・・・・その、そーゆー沈黙が
怖いんですよ・・・・」
「焦っているところが、怪しい」
「あ、っつーか、えーーー?なに?
男子たるもの、その、水着ってか おっぱ・・・いやその
はあーーー?柚奈様しか、目に入りませんから・・・
もーーーーー、自分から海に行こうかって誘ってきたんでしょぉおおお?
シンプルに水に浸かりたいなぁって思っただけで・・・(しどろもどろ)」
「・・・・・男子ですものね?女子の水着がみたいのは
普通よね?」
「まあ、その・・・いや、ない・・・・海の家のラーメンが・・(泣)」
「やめとくわ。海水浴に来ている女子を惨殺したくないから。
従姉妹探偵を煩わせたくないし。魔羽ったらいつも事件を速効解決してるから
知り合いの刑事さんとも仲良しだし」
「・・・・んが・・・・・あふっ・・・・」
額から吹き出す汗を拭う翔真。
数分後、柚奈の別荘に到着した。
「あれ・・・・?ドアが・・・・開いてる?」
最後に柚奈が訪れた時は、戸締まりをした筈だ。
開いているはずのない、ドアがうっすら開いているのを見つけると
柚奈はドアの方に走って行く。
不信に思った翔真もすぐ後をついて行った。
ギィ・・・ゆっくりドアを開けると
床に若い女性が倒れていた。
「だれ・・・・?」
柚奈は倒れている女性の顔をのぞき込んだ。
両腕を掴み、女性の体を起こそうとすると
肩まで伸びた薄茶色の髪の毛が揺れた。
そう、倒れていたのは柚奈の友達、莉依沙(りいさ)だった。
「莉依沙!!!!」
女性の顔を認識すると、柚奈は意識の有無を確かめようとしていた。
(ま、まさか・・・・・)
目の前の光景を見た瞬間、高温と湿気が吹っ飛ぶような
冷たい戦慄が翔真の背筋に走った。
数日前、翔真は莉依沙と会話したことを思いだしていた。
まさか?殺人事件?青年は恋人の犯行を疑っているのか?
続きはおたのしみに。