仲良し遠月第90期生(更新停止)   作:(TADA)

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お久しぶりに更新です。短文なのはお許しください。そして相変わらず苦労する四宮パイセン。


友情と触れ合いの宿泊研修〜四宮小次郎の苦労 リベンジ〜

遠月離宮別館地下一階厨房。ここで四宮は在校生相手に食戟を行うことになった。昼間はキチガイ後輩達によって胃痛が酷くなり、夜にはそれを頭がお花畑後輩と無口どチビ同級生が煽ってきてさらに酷くなる合宿日程。堂島の口車に乗って試験官なんかになった過去の自分のぶん殴ってやりたい気分だった。

極め付けは今日の試験で女子生徒に退学を言い渡したら別の男子生徒に食戟を売られる始末。受ける気はサラサラなかったのにまたもや筋肉お化け堂島によってやらざるおえない状況になった。

 (というより女のために自分の退学をかけるとかあれか? できてるのか? 神聖な料理を学ぶ学び舎でイチャコラしてやがんのか?)

脳内の半分以上で自分にはなかった薔薇色の学生生活を送っている在校生に脳内で五寸釘を打ち込んでいると、ようやく役者が揃ったらしく、堂島が口を開く。

 「只今より二対一の野試合を執り行う」

堂島の言葉を聞き流しながら四宮は自分が退学を言い渡した女子生徒を見る。見るからに弱気で今まで遠月で生き残っているのが不思議なほどのお人好しの雰囲気を持つ少女だ。雰囲気だけなら頭がお花畑後輩が似たような雰囲気だが、こっちは既に外道に脳味噌が染まってしまっている。時の流れとは残酷だ。

 「あ、四宮先輩。今、私に対して失礼なこと思いませんでしたか!! 失礼ですよ!! 超失礼ですよ!!」

 「ヒナコ。四宮が失礼なのは今に始まったことじゃない。学生時代から超失礼人間だったから」

 「水原ぁぁぁ!! テメェの方が圧倒的に失礼だったからなぁ!!」

四宮が無口どチビ同級生に学生時代にやられた失礼な数々を思い出してつい怒鳴ってしまう。

そんなやりとりを無視して堂島は説明を続ける。

 「今日の課題で余った野菜類を料理のお題とし、もう一つ条件を付け加える」

そこで堂島は言葉を切って悪そうに笑う。

 「田所恵。君がメインで調理をするんだ」

堂島の言葉に呆然とする四宮が退学を言い渡した女子生徒。

 (堂島さんも割と容赦がないな)

四宮は野菜を見ながら脳内でレシピを作り上げる。

 「それでは食戟か「面白そうなことをやっているのはここかぁぁ!!!」

堂島の開戦を告げようとした瞬間に勢いよく開かれる調理場の扉。

 「なんでテメェらがここに来やがったぁぁぁぁぁ!!!!!!」

四宮による魂の叫びである。当然であろう。そこにいたのは四宮の胃痛の原因である第90期マフィアの面々がいたのだから。

 「おぉ、マジで何かやってやがる」

 「ふむ、竜胆の勘はやはりバカにできんな」

勢いよく扉を開いた竜胆の後ろから信興と綜明が入ってくる。

 「な!! 私が言った通りだったろ!! 童貞先輩が何か怪しい感じだったから何かやると思ったんだよ!!」

 「おい待て小林。お前誰のことを童貞先輩つった?」

四宮の言葉に第90期マフィアの面々がとても不思議そうな表情になる。

 『四宮パイセン以外にいないでしょ』

 「「ブフゥ!!」」

 「だから童貞じゃねぇと言っているだろうが!! それと笑うな水原にヒナコぉぉぉ!!!!」

心底当然のように言い放った第90期マフィアの言葉に水原と乾は同時に吹き出し、それに四宮がブチギレる。

 「いや、そこまで必死に否定しなくても俺たちはわかっている」

 「お、おお。そうか。それなら良いんだ」

キチガイ達の中では穏健派な冬輔の言葉に四宮も引き下がる。しかし、次の冬輔の言葉で四宮の血圧は再び急上昇することになる

 「四宮先輩は『レギュムの魔術師』と呼ばれている。そして世間では30歳まで童貞を守れば魔法使いになれると言われている。つまり四宮先輩は本物の魔術師になるために童貞を守っているのだろう?」

 『それだ!!』

 「そうじゃねぇ!! 前程である俺が童貞であることが間違っているって言ってんだ!!」

冬輔の言葉に第90期マフィアだけでなく頭がお花畑後輩と無口どチビ同級生がハモり、それに四宮が怒鳴り返す。どう言ってもここにいる連中は『四宮=童貞』の方程式を完成させているらしい。

ちなみにドナートと関守は生暖かい眼差しで四宮を見守っている。その視線には「大丈夫。童貞でも気にするなよ」と言った感情がふんだんに込められていた。ここに四宮の味方はいない。

だが、ここで四宮は初めて第90期マフィアに人数が足りないことに気づいた。

 「あん? 司はどうした?」

 「え〜にゃんならデートで海外に行ったよ」

四宮の言葉に答えたのはブッチーを首を締めるように抱いているももであった。キチガイですらデートする相手がいることに四宮はイラッとしながらも口を開く。

 「ち、生意気に海外に彼女いるのかよ」

 『彼女……』

四宮が彼女と言った瞬間に竜胆を除く第90期マフィアの面々から複雑そうなつぶやきが漏れた。

 「あん? 彼女じゃねぇのか?」

 「いや、なんと言えば良いのかわからないんだが……」

 「まだ恋人ではないし、最初から恋人になろうとしていないというか……」

 「な、なんだ? その反応。お前ららしくないぞ?」

綜明と信興の言葉に四宮の背中に冷や汗が流れる。そのまま第90期マフィアの面々はスクラム組んで何かを話し合っている。

そして話し合いが済んだのか、どこか覚悟を決めた表情でももが前に出てくる。

 「ちなみに四宮先輩は非処女?」

ももの質問に四宮の脳みそが真っ白になる。というより質問の意味がわからなかった。千歩譲って自分の童貞問題だったらわかるが、なぜ自分にはないはずの処女問題が出てくるのだろうか。

 「……お前ら、何を言っているんだ」

 「いや、これは大事なことなんだよ。主にコジロー先輩の身の安全に関して」

普段からは予想できないほどの真剣な表情で告げてくる竜胆。その真剣さを何故普段から出せないのか。

 「何を言っているんですか小林さん!! 四宮先輩が童貞で非処女だったらちょっとレベル高すぎですよ!!」

 「待ちなさいヒナコ。四宮だったらその可能性が否定できない」

 「待て。待てお前ら。お前らが何を言っているが理解できないが、それは絶対に違うと言い切れる」

四宮の言葉に第90期マフィアはどこか安心した雰囲気になる。

 「うむ、それだったら四宮先輩は狙われる心配は下がるな」

 「処女厨だからな。あいつ」

綜明の言葉に信興は頷く。

これ以上この話題を掘り下げると自分の身の危険を感じた四宮は話題を変える。

 「それで? テメェらは何しに来た?」

 「何しにと言われても困るんだがな。俺たちは竜胆の『何か面白そうな気配を感じる!!』って言葉について来ただけだからな」

 「そうか。だったら今すぐに方向転換して部屋に帰れ」

信興の言葉に四宮は入り口を指差す。それに信興は悪い笑みを浮かべる。

 「お? ここで俺たちを帰して良いのかな? 今からやろうとしているのは多分食戟だろ? しかもこんなところで隠れてやるってことは先生達にはバレちゃまずいってことだ。他の連中はまだしも俺は口が軽いからなぁ!! シャペル先生辺りにチクる可能性があるからなぁ!!」

 「最悪すぎるぞテメェ!!」

ストレートに四宮を脅して来た。

 「流石はノッブだな。悪役ムーブが板につきすぎている」

 「うむ。拙者達ではあそこまでの悪役ムーブはできん」

冬輔と綜明は呑気に会話をしているが、四宮は背筋に冷たい汗が流れる。冗談めかしているが、目の前の筆頭外道・榊信興は外道行為をやると言ったらやる男だ。

 「……わかった。テメェらも大人しくしているんだったら審査員をやれ」

 「やれやれ。俺たちを問題児みたいに扱いやがって」

 「失礼な話だな。板長、とりあえずマグロで」

 「俺はラーメンで。麺は硬めで油マシマシで」

 「ももはチョコレートパフェ」

 「リンドーさんはイナゴの佃煮チャーハンな!!」

 「野菜お題の食戟だクソどもおぉぉ!!!!」

流れるように無茶な注文を始めた第90期マフィアに怒鳴り返す四宮であった。

 

 

ちなみに田所ちゃんの退学は第90期マフィアのせいで有耶無耶になりました。

 




四宮パイセン
相変わらず外道達に振り回される童貞処女な先輩

レギュムの魔術師
四宮パイセンの通称。これを名乗っているということは30歳まで童貞を守ると言っても過言ではないですよね?

司E士
処女厨なホモ。今回のデート相手は神の舌のお父様の模様



お久しぶりに更新です。見事に言っていた公約を守ることができませんでした、申し訳ない。これも原作で先輩達との戦いが割とあっさりと終わってしまったせい。なんか微妙に不完全燃焼な終わり方でしたな。そして二年生編から読む気は失せていますので設定は31巻までの設定でいきます。どこまで連載するかわかりませんけどね!!

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