凪の帯を抜けて海図を見る。現在地の把握の為だ。
「ええと、今はここだから……フーシャ村って地図に載ってるのかな?」
海図とにらめっこしながら、捕まえた海王類に舟を引っ張て貰いながら進む。旅に出てそうそうに目的地に辿り着けないなんてどうしようもないものだ。とりあえずなんとしてでも辿り着きたい。
「そう言えば、フーシャ村ってゴア王国の僻地にあるってお父さんに聞いたっけ。まぁ、海王類とか連れた状態で国の港に入れば騒ぎ待ったなしになるだろうし……」
口に手を当てながらそうしようと考え、とりあえずゴア王国のある大陸に向かわないと。海図を見ながら、海王類に伝えて再び引っ張てもらう。私は舟の中に戻り、再び勉強する。この世界の医術と前の世界の医術は異なる点、共通する点が合った。でもこの世界の医術は私にとったら未知数で私がいた世界の医術はこっちの世界の未知数でもある。それを纏めて、治療に役に立てばいい。と考えながらペンを置き、本を持ち出し舟の外に出て、本を読み出した。しばらくすると、家々が並ぶ喉かな風景の村が見えてきた。
「彼処が、フーシャ村かな?よし、あそこにつけて。私が降りれるようにお願いね」
本を閉じ、白衣のポケットに手を入れて本を片付けるべく一度中に入り、着替えと最低限の道具を入れたトランク を手に持ち、着陸の準備をする。ふと異変を感じ取る。住人が怯えたり、警戒した感じで、集まっていた。その警戒の対象が明らかに私だ。
「おかしいなぁ、別に警戒される旗じゃないのに」
旗は白、帆も特に柄のない白だ。警戒されるものは一切無いはず。腕を組んで考えるが思いつかない。周りを見渡しながら考えるが、舟には大砲なんて積んでいないし警戒されるものなんて……
「あ、海王類……」
二日で馴染んでしまった海王類のことをすっかり忘れていた。そりゃ海王類に引っ張られて舟が来たら、そりゃ警戒もするよね。そりゃそうだ。まぁ、この子は私の言うことを聞くし、言い聞かせて、しばらく自由にさせよう。そんなことを考えながら、港に海王類と舟をつけさせる。そしてトランクと形見の刀を持ち上陸する。周りからは
「あの海王類を従わせたのあんな子供なの!?」
「な、なんだ!?この女の子、白衣来てるぞ!?」
「新手の海賊か!?」
失敬な。と言いたいが、自分も反省している。凪の帯を出た時に海王類を解放しておくべきだったと。勘違いされていい気はしないがそれでも何かを言うべきだろうか。そんなことを考えていたら、帽子を被り眼鏡をかけ、杖をついた老人が出てきた。分かる、フーシャ村の村長だ。周りの人も道を開けて行く。
「この村になんのようじゃ?娘さん」
「私はスメラギ・ツバキ。偉大なる航路から来ました。その旅をしてまして、東の海に来ました。その、海王類の件でお騒がせしてしまいすいません。危害を加える気はありません。しばらくの間滞在させてください」
頭を下げて、お願いする。周りはざわざわとざわつき始めた。私をどうするかを話し合っているようだ。ダメなら別の場所に行くしかない。そう一人で考えていたら
「そうだったか、ならこの村に滞在するといい。子供が一人で旅をしてこの村に来たんじゃ、それに危害は加えないと言う。その言葉守ってもらうぞ、娘さん」
「勿論です」
私はそう言い、荷物をその場に置き、一度舟のところに行く。縄を解き海王類に
「今から自由にしてもいいけど、ここ近海の船は襲ったらダメだよ。襲ったら分かってるよね」
海王類は頷き、潜って行く。それだけを言い私は戻る。そしてトランクの中身から財布を出す。それと同時にグゥーっとお腹が鳴る音がする。
「すいません、お腹がすいたのでなにか食べさせてください」
私は顔を赤くしながら言う。そして酒場に入りご飯を出してもらう。
「え!?それじゃあ、あの凪の帯を渡ってきたの!?」
「はい、その前にさっきの海王類を手なずけまして、なんとか来れました」
今はバーのマスターのマキノさんと話をしながらご飯を食べています。
「へえー凄いなぁ。まだ子供なのに」
「まぁ、マキノさんから見たら子供ですけど。これでも私鍛えられているので、そこそこ腕に自信はありますよ。でもまぁ、私は医者ですので、護身程度ですけど」
「それでもすごいよ!海を越えてくるなんて。ルフィやエースが聞いたら反応するのかなぁ」
「ルフィがここに居るんですか?」
マキノさんは私の質問に驚いたように聞く。私は飲み物も飲み干し、チャーハンを食べ終える。
「ルフィを知ってるの?」
「はい、お父さんから聞きました。帽子を預けた友達だって。マキノさんご馳走でした」
「え!?ツバキちゃんのお父さんってまさか!」
「さぁ?どうでしょう。それはご想像にお任せします」
そう言って私は山に向かう。マキノさんの言葉を聞こえないふりして山に向かう。それまでの道のりでの風景を見て、生まれ育った村を思い出す。
(彼処も、こんな感じに長閑な所だったなぁ……母さん……)
風が優しく頬を撫でていく。今は亡き母との過ごした日々を思い出す。十年間過ごした村とフーシャ村を重ねて大きく息を吸う。今も色鮮やかに残る日々、この世界での私の原点。覇気も剣も教わったあの地。フーシャ村を見てこみ上げて来たものは懐かしい気持ちだった。そんな思いを抱いて、背負い。再び足を進める。緩やかな傾斜を登り森の中に入る。傍から見たら森に入るのには不釣り合いの服装だが、そんなのは、私からしたらどうでもいいことだ。森に入りしばらく歩く。その道中で植物や動物を観察しながら、軽い運動がてらに体を動かす。
(師匠と修行した森のこと考えたら、穏やかでいいなぁ。風も通るし気持ちいい)
そんな森を心から楽しみにしながら足を進める。すると、誰かが戦っている声が聞こえてくる。
「ゴムゴムの銃!!」
「はっ!甘いぜルフィ!!」
そして伸びてくる拳は私のところまで来る。勿論私も躱す。と言うか驚いた、拳が伸びてきたのだ。驚いて声も出てしまう
「うわ!?危ない!?」
「誰かいるのか?」
「居ますよー」
拳が飛んできた方向に歩き、二人の前に姿を現す。
「女?」
「女だな。なぁお前名前なんて言うだ?」
「私?私はスメラギ・ツバキ。医者で今は旅の途中よ。舟でここまで来て、しばらく滞在予定です。よろしく。二人の名前は?」
知って入るが、質問をする。ルフィはお父さんの話で知っていてもエースは知りえないのだから。
「俺はポートガス・D・エース。麦わら帽子を被ってるのが義弟の」
「ルフィ!モンキー・D・ルフィ。海賊王になる男だ!!」
「ルフィ……お父さんが言っていた通りの人だ」
「ん?ツバキは俺のこと知ってたのか?」
「うん。よくお父さんにルフィの話を聞いていたんだ」
「へぇ、ルフィのことを話すお前の親か。じゃあ、シャンクスの関係者じゃねぇのか?」
エースの言葉でルフィは考え、頭にびっくりマークを浮かべ
「そうか!ヤソップの言ってた息子ってお前のことか!」
「それなら娘というだろルフィ。子供というなら分かるが」
「うーん、他に知り合いなんてうーん。そう言えばお前の髪赤いな」
「うん、父親の遺伝なんだよ。母親に似たら白くなりそうだけど」
ほぼ答えを言っているとは自分でも思うけど、出来れば当ててほしいとは思う。その方がきっと面白そうだから
「そう言えば、ルフィ。お前の恩人の赤髪のシャンクスは名前の通り赤い髪じゃねえのか?ツバキの髪も赤いし。ルフィのことを聞いていたと言うなら。そう考えられるぞ」
それを聞きルフィは注意深く私をを観察する。顔を覗き込んできたり、髪を見たり色々見る。
「お前の父ちゃん、シャンクスか!?」
「正解!私のお父さんはシャンクスだよ。改めて宜しくね。ルフィ、エース」
「「ああ、よろしくな」」
―――――――――――――
「と、言うわけだダダン。今日はツバキを泊めてやってくれ!」
「にしし!」
「ど、どうも」
山賊ダダンが住む家に今日は泊まる事になった。幸い着替えとかは持ってきていたので、泊まることが出来る。
「ど、どうします、お頭」
「住み着くわけじゃ無いなら、良い。その代わり!掃除とかはして貰う!客人としては扱わないからな!」
「はい!喜んでします」
なんとか泊まれる事になりました。そのあとはご飯の準備をして、ちょっとした宴会みたいになった。
「じゃあツバキは偉大なる航路から、東の海に来たのか!」
「うん。旅でね来たかったんだここに。お父さんにから色々聞いていたし、来たかったんだ」
「でも、すげえよな。俺より年下で一人で来るなんてよ」
「まぁね……色々鍛えてもらってたしね。そう言えば二人とも大きくなったら何になるの?」
「「海賊だ!」」
「そんな気はしてた。二人とも、海軍って感じじゃないしね」
「ああ、俺は海賊王になるんだ!!」
「ルフィには悪いが王になるのが俺だ!」
そう言って二人は肉を取り合いしながら食べる。私はゆっくりお肉を食べる。こんなに賑やかなのは、お父さんたちと宴をする以外では無いなぁと思いながら食べていました。
「そういや、ツバキは海賊なのか?」
「ううん。私は医者兼冒険者って感じかな。海賊も海軍も柄じゃないし。まぁ海軍の体術には興味があるけど。それだけだしね」
「シャンクスの娘だから、海賊になると言うと思ったんだけどな。そうは思わなかったのか?」
「ううん。今はまだね、私の住んでいた村。海賊に襲われて私以外全員死んだんだ。お母さんも村長さんも。私は悪魔の実と、この刀……お母さんの形見を持って逃げた。気を失って目が覚めたら、お父さんの船だった。話を聞いたら、お父さんが来た時にはもう燃えていたらしいんだ。まぁ、全ての海賊が悪いだなんて思ってないけどね」
「そうなのか……」
「じゃあさ!ツバキ!俺が海賊になったら俺の船に乗れよ!!」
ルフィが笑顔で私を勧誘してきた。それを聞いたエースは負けじと
「いいや!俺の船だ!乗るなら俺の船の方がいい!」
「いいや、俺だエース!!」
「譲らねぇぞ、ルフィ!!」
二人はまた取っ組み合いをはじめて争う。私は苦笑いをしながら
「ははは……二人とも私が戦えるかどうかもわからないのにいいの?」
「「海賊に船医は必要だ!!」」
「さ、さいですか」
私はそんな二人を見ながら肉を食べ苦笑いを浮かべていた。