とある飛空士への遠望   作:江華

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作者の自己満足です。なので投稿頻度は不定期です。付き合ってくれる人がいるなら万々歳と言った所です。この作品は原作のキャラはほとんど出てこない、いわば設定をお借りした外伝の様なものなので、悪しからず。自己設定、自己解釈が入っています。


とある飛空士たちへの遠望

空の王と呼ばれた坂上清顕をはじめとする「エリアドールの7人」と「多島海連合軍」によって成し遂げられた歴史的大勝利ーー「プレアデスの奇蹟」。

 

その勝利により空中帝国・ウラノスの悲願である、「天地領有」という脅威は拭われ、争いの絶えなかった世界に遂に平和が訪れた。戦後にサントス島においてシルヴァニア王国主導で調印された「サントス条約」によりウラノスは新しい政治方針「天地融合」を掲げるウラノス共和国連邦へと生まれ変わった。

かつて世界征服すらも可能と言われた強大な空軍を中心とするウラノス軍は解体され、残った戦闘艦は全て退役、もしくは各文明圏を結ぶ定期航路の連絡船として改修された。かつての軍事力を平和の為に利用する為の費用は、幸いウラノスに幾らでもあった。

無論、完全な恒久平和が訪れたわけではない。ウラノスという脅威が去った後でも内戦やテロリズム、冷たい戦争など戦争は形を変えて残り続けた。しかし、少なくとも何百万という命が失われるような、悲惨な全面戦争は無くなった。

テーブルの下で足を蹴りあっているとしても、表では国家は平和に向けて団結したのだ。

ーーこうして帝国主義が台頭し、多くの無垢なる国民が国家の私利私欲の為にその命を散らしていく暗黒の時代は終わった。

 

暗黒の時代を終わらせたその勝利、一大作戦『雷神の槍(オーディンズ・スピア)』。その最中、プレアデスの制空権を巡って壮絶な空戦が繰り広げられている空域に急行する、とある航空部隊があった。その部隊の名は「レブソーラ航空隊」。制空戦闘に特化した戦闘機84機で構成された、ウラノスの衛星国家、アルビザーノ州連合国の超精鋭部隊である。

後の歴史家によれば、もしレブソーラ航空隊が戦闘に間に合っていたら、その練度と数を鑑みるにプレアデスの戦闘における結末が変わっていたーーつまり、多島海連合軍が敗北するのは間違いなかったと言われた。後の歴史家はレブソーラ航空隊が間に合わなかったのは単なる神の采配ーー全くの偶然としているが、事実はそうでは無かった。

 

ーー人々は知らない。ウラノス首都・プレアデスの制圧に至った一大奇襲作戦『雷神の槍(オーディンズ・スピア)』の成功の影に潜むとある空戦を。坂上清顕氏の告白文「誓約」にも書かれることの無かった、多島海連合軍すらも認知しなかった事実を。あの時、とある飛空士達が、レブソーラ航空隊を足止めしなければ歴史は変わっていた。

誰にも知られずとも、彼らは確かにあの時、あの空の中で生きていたのだ。

しかしその事実はーーとある国家の古びた、二度と開かれる事は無いであろう交戦記録に記されているのみであるーー。

 

 

***

 

 

私はそこまで書いてほうっと一息ついてペンを置いた。ペンから離れた指をマグカップの取っ手にかける。かじかんだ指にマグカップ越しの紅茶の熱がじんわりと伝わる。ふと、窓の外を覗く。深い夜の闇に少しずつ太陽の白が混じり、黒と青の境界ーー群青色の空が現れようとしている。部屋は徐々に白み始めていた。コンコンコン。そんな時、ドアが叩かれた。私は椅子から立ち上がり、ドアをゆっくりと開ける。

「ーーああ。どうぞお越しくださいましたね。どうぞこちらに」

客人を部屋の中に招き入れ、紅茶を淹れる準備をする。

「今内容の構図を書き上げてやっと前書きを書いている途中でして。本当は書き上げてからお見せ出来ればよかったんですけど…こうしてお話しする事で内容の整理にもなりますし、なりより私の口から貴方に話したかったんです」

相手が座るテーブルへ湯気立つ紅茶が入ったマグカップをひとつ、静かに置く。

「この話を聞いて感謝してくれだとか、多くの人に知らせてくれ、だとかそう言うのでは決してありません。ただこれはーー私ひとりの昔話だと思って下さい。今から話すのは英雄譚などでは無く、ただの物語。そうーーとある飛空士達の姿を遠く望む、少年少女の恋と空戦の物語です」

 

 

――時は40年前の『カイ・アンドロス文明圏』紅萊とアルビザーノ、カイ・アンドロスとソルバローザという四つの大国がその雌雄をかけて火花を散らす舞台。『大央海』へと遡る。

 

 

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