14.受肉に向けて~金策~
自分の体は尋常ではなく、肉体的にも精神的にも疲れきっていた。
色々なことがあった。本当に色々なことがあったが、まずは結論から言えば、5000万円を集めることができた。
身体が動くようになったら、黒桐さんに連絡して支払いの準備ができましたと連絡しよう。
さて、なにから話すべきか
やはりこの激動の日々の始まった瞬間から話していくことにしよう。
そう、あれは六道家かASEに行くか迷って、まずはAMスーツ一式を返却するためにASEに寄った時から始まりを告げたのだ。
AMスーツを返却するためにASEに行き、いつものように車輌課の課長と少し話していた。
課長に今日はどうしたんだって聞かれたので、装備一式を返却しにきましたって、ついでに何か金額高めのミッションがあれば受けたいということをたわいもなく話していた。
ASEは自分が学生であることを考慮してくれ、平日には本当の緊急ミッション以外はいれないでくれていた。緊急ミッションも学校が終わってからとか、午後からとかかなり配慮してくれている。
車輌課の内線がなり、課長が呼ばれたので話を中断して課長は電話に向かった。
課長が話ながらこちらをチラチラ見てくるので、自分に関係する話かと思い電話が終わるまで待つことにした。
今にして思えば、この時に帰っていればこんなことにはなっていなかったのかもしれない
いや、帰ったとしてもASEに確保されていたから、結局は同じことになったのだろう。
世界意思からは逃げられないのだ。
内線で話終わった課長が戻ってきた。自分も挨拶をして帰ろうかと思ったが、課長がお前ヘリと飛行機運転できるよなと突然聞いてくるので、一人乗り用のジャイロコプターと小型ヘリ、飛行機はプロペラ機ならこの間、操縦させてもらって良い評価をもらいましたよと言いかけたところで課長に肩を掴まれ、連絡しておくからすぐに返却したAMスーツと装備一式に合わせて砂漠装備を受け取ってこいと言う。
訳の分からず言われるがままに装備を借り受けて戻ると課長に車に乗せられそのまま空港まで連行された。
そして気がついたら課長はいないしアーカム専用ジェット機で空の上だった。
アーカム財団の所有するジェット機が緊急離陸し、高度が十分上がり安定飛行にはいったところで、大型ディスプレイが写りブリーフィングが始まった。
突然こんなことになってすまないと中年の小太りな男性からの謝罪から始まった。
中年の男性は山本と名乗った。
この人が元スプリガンの山本さんかぁ、人の良さそうなどこにでもいる感じの人なのに人は見掛けに拠らないってのはこのことなんだな。
現在搭乗しているこの飛行機はエジプトに向かっていると説明があった。このブリーフィングのあと現地到着まで休息して置いて欲しいとの事だ。
さて、肝心のブリーフィングの内容だが、エジプトでとある代物が発見されたことが今回の騒動の引き金だったそうだ。
その発見された代物はエメラルドタブレットと言い、そこには古代シリア語でこう書かれていると言われている。
錬金術の基本思想、または奥義が記されたと言われ、賢者の石の製造方法が記載されていたとされる。しかしこのタブレットは存在を確認されたことがなく、現存するのはその翻訳された文章のみとのことだ。
翻訳された文章には賢者の石の製造方法は記載されておらず、もしエメラルドタブレットに賢者の石が製造方法が記載されており、製造ができれば、大量に黄金やオリハルコンが精製できる。
そしてそのエメラルドタブレットが今回エジプトの砂漠にある遺跡から発見されたそうだ。
アーカム考古学研究所ではAMスーツを初めオリハルコンの実用化に成功している。
しかし、賢者の石自体を精製することはできず、遺跡等からわずかに発見される物のみだ。
このエメラルドタブレットを解析することによって、賢者の石の精製方法が確立出来ると踏んでいたが、現地での小競り合いが始まってしまいエメラルドタブレットはアーカム財団が抱えるA級エージェント達が確保しているが砂漠で立ち往生してしまったとのことだ。
そして自分への緊急ミッションはカイロ国際空港からオスプレイを操縦して孤立したA級エージェント、マックス隊の救出とエメラルドタブレットの確保が命じられた。
エージェントが立ち往生した場所はエジプトの首都カイロから南に800kmあたりで、隣国のリビアとスーダンの国境も近い。カイロまでの往復で1600km、オスプレイはカタログ値で航続距離が3500kmとされているので余裕をもって戻って来れる予定だ。
確かにヘリでは航続距離が足らず、航空機では着陸は出来るかもしれないが、離陸は困難だ。
現在のところ敵対勢力は不明だが、噂ではリビアからISILを始めとする民兵の流入も始まり、現地は混沌とした状況下にあるようだ。
自分はエージェントを回収後、速やかにエジプトの首都カイロに戻る
そこからはアーカム財団が誇るスプリガンがその後の守護を担当する。地中海上には最新鋭の海洋調査船ロシナンテも配備されている聞いている。
このロシナンテにはアーカム技術部の粋を集め建造されており、機関には通常の動力もあるが超伝導推進も備え不安定な海上で時速200kmを出すことができる。防備の面ではレーザー兵器も搭載されており、1対1の対艦なら負けることはない。
課長が何故ヘリと飛行機の操作が出来るか聞いてきたがオスプレイのためだったか
日本でも有名なオスプレイだが簡単に言えばヘリと飛行機のいい所取りを目指した機体だ。
滑走路のない場所でも離着陸ができ、航続距離はヘリよりも長い、搭乗人数も多いので今回のようなミッションにはうってつけの機体とも言える。
山本さんにオスプレイの操作はした事がありませんと言うと、キャビンアテンダントがタブレットを差し出し操縦マニュアルを現地につくまでに覚えて下さいといってくる。
どうやらゆっくり寝ている暇は無くなったようだ。
カイロ到着前に数時間の睡眠が取れ、頭はすっきりしている。
早速、尾翼にASEのロゴが塗装してあるオスプレイの搭乗し機長席に座り、シートベルトを締めた。
読んだマニュアルを思い出しながら、機体の姿勢指示器を始め各機器の動作を確認する。
正常に起動した。続いてエンジンを点火させ、プロペラを90度回し離陸を開始する。
操縦は不安だったが操縦桿を握った瞬間にこいつは飛べると何故か確信を持つことができた。
これが斑鳩君のマルチドライバーとしての特殊スキルなのだろうか
そして勢いを付けるために柄にもなく声にだす。
「お前に命を吹き込んでやる!!」
プロペラを上に向けたまま垂直に離陸を開始し、ある程度のことで水平に戻しプロペラ機としてエージェント達が待つポイントに向かい飛行を開始した。
操作マニュアルによると、オスプレイの巡航速度は時速400kmくらいのようだ。
操縦桿を通して感じる感触としてはまだまだ出せそうな気がする。
今はマックス隊の救助を優先するために速度と高度をあげる。
カイロから飛び立ちそろそろ2時間が経過している。GPSからの情報により現在地を確認した。
ブリーフィングとアーカム技術部特性のリンクシステムだとそろそろ目的地の上空付近に到着した。
リンクシステムを使ってマックス隊の精密な場所はわかる。位置情報が変わっていないので、現場に到着したか、もしくは装備が投棄されたかもしれない。
現場の状況を目視で確認するために速度を緩め、高度を目視できる高さまで下げる。
最悪だ!どうやら敵対している勢力に数で押されているようだ。
この機体には武装は積んでいない、上空から機銃掃射でエアカバーできれば救出も楽になっただろうがそもそもオスプレイは輸送機なので無いものに文句を言っても始まらない。
ふと思いついた作戦を試してみることにする。マックス隊がうまく合わせてくれればいいのだが・・・
思いついた作戦とは垂直離着陸姿勢のまま高々度から一気に降下、地表寸前でプロペラの回転を全開にして、強烈な下向きの気流ダウンウォッシュを発生させて、敵対勢力の体勢を崩すつもりだ。
その機に乗じて、マックス隊が攻撃を仕掛けてくれれば救出も楽になるといいのだが。
オスプレイの操縦系を全てマニュアルに切り替える。
プロペラを垂直にして垂直離着陸状態にする。そのままプロペラの回転を緩めわざと機体を失速状態にして降下する。失速を検知して機体がアラートをけたたましく鳴らすがフルマニュアル状態なので自動的に復帰はしない。
敵対勢力の上空でどんどん機体が降下する。失速のアラートが鳴り響くなか冷静に立て直せる高度を見極め続ける。
ここだ!そう感じた時にプロペラの回転を全開にして下向きの気流を発生させる。
強力なダウンウォッシュが発生し見事に体勢を崩すことができた。
アーカムが誇る精鋭のA級エージェントマックス隊もこの機を逃さす反撃に出た。
このまま、マックス隊を救助するべくアーカム側に近づきそのまま陣地を飛び越え高度を下げる。ちょうど敵対勢力には背を向けている配置だ。
後部ハッチを開き、機内マイクに向かって叫ぶ
「ASEです。アーカム考古学研究所からの依頼で救助にきました!
全員搭乗後速やかにここを離脱します!!」
完全に着陸してしまうと、地面の状態により機体が横転してしまう可能性があり、また速やかな離陸ができないため、自衛隊の救助ヘリのように地面すれすれでホバリングをする。
マックス隊が全員乗り込み、声を掛けてくる
「おい、ASEのパイロット全員のったぜ!荷物もばっちりだ!」
「分かりました。離脱します。」
プロペラの回転数を上げ、機体の高度を上げかけた時に嫌な予感がして気が付く
少なくとも3箇所からRPGに狙われいる。
RPGは無反動砲とかと同じ携帯式の対戦車榴弾発射機だ
歩兵が戦車の装甲を抜くために開発された武器なので、航空機の装甲なんて紙のようなものだ。
誘導装置などは付いていない分、比較的安価な平気なので世界中の民兵達も利用している。
粗悪なコピーも出回っており、中には起爆しないものもあるようだ。
「RPGに狙われています。迎撃してください!」
即座に意味を理解し、後部ハッチから反撃を開始する。さすがの手際のよさだ。
「すまん坊主!一発打たれた!!」
たしかRPGの砲弾は弾頭に圧電素子があり、激突した圧力で発電して起爆する
操縦桿を握り、機体を撃たれた方向に機首を向ける。それと同時に横に移動をかける
面積を小さくするのは銃撃戦の基本だと学んだ、小さく低くだ。
わずかに旋回が遅い、左右のプロペラの同調をわざとずらし、不均衡な状態を作り出し旋回する。
お前に魂があるのなら応えろ!!
機体が斜めを向いたがなんとかRPGを避けた。そしてマックス隊の反撃により射手も沈黙した。
「予定どおり、カイロ国際空港に向かいます。」
そう宣言をして、一路カイロを目指し機種を向けた。
上空まで上がり安定飛行に入ったところで、コックピットに誰か入ってくる。
「さっきは助かったぜ。ASEのパイロット、俺はジミー・マックス
アーカムA級エージェントマックス隊の隊長をやってる、宜しくな」
「ASEのマルチドライバーの横島優です。ブリーフィングどおり今はカイロを目指して飛行しています。2時間程度で到着を予定してます。」
挨拶を交わすとマックス隊長は隊員の所に戻っていった。
話を聞いていると、まだ子供じゃないか、いやいや東洋人は若く見えるなんて会話が聞こえてくる。
すっかりリラックスモードになった機内だが、カイロに近づいた時に突如ロックオンアラートが鳴る。同時にマックス隊長がコックピットに乗り込んできた。
地対空ミサイルで狙われている。余程自分たちの持っているエメラルドタブレットを持っていかれると困る輩がいるのだろう。
赤外線誘導をジャミングするフレアを投射して、ミサイルの赤外線センサーを欺瞞する。
第一波のミサイルは回避することができた。
それと同時に速度を最高速度にして逃げるしか方法がない。
続けて第二波の地対空ミサイルのロックオンアラートがなる。
先ほどと同じくフレアを投射してミサイルを回避できたが、釣瓶打ちされればフレアが尽きて撃墜される。
第三波が撃たれる前に文珠を使用する。赤外線誘導なので熱を{遮}る
これで誘導ができなくなるだろう。光学照準では狙われるがさっさと逃げるに限る
このまま素直にカイロ空港に向かっても撃墜されるのは目に見えている。
進路を地中海方面に変更する。
「マックス隊長残念ながら、カイロ空港には迎えなくなりました。事前のブリーフィングでは地中海にアーカム船籍のロシナンテがいるはずなのでそちらに向かいます。」
ロシナンテが発見できなかった場合、地中海の海上でガス欠となり墜落の危険性もある。
燃料が少なくなりロシナンテを発見できない場合はギリシャのアテネに降りることを決めておく。
幸い今回はアーカム技術部特性のリンクシステムでロシナンテの精密な場所が分かり、飛行甲板に着艦することができた。
しかしこれだけで終われば可愛いものだった。
オスプレイの操作については当然ながら知りません。
こんな操縦はできないと思いますが、フィクションなので流して頂ければ幸いです。
またスペックについてもwikiを見て書いているだけなので実機とは違いがあるかもしれません。
NGシーン
ドクターカオスに確保してきたエメラルドタブレットについて何が書いてあるのかを聞いてみた。
そこには確かに錬金術師としての奥義が書いてあるそうだ。
朝は太陽とともに目覚め、食事は3食きちんと取ること。
適度な運動をして、夜は早めに研究にきりをつけて睡眠をしっかり取る。
たまには休暇をとり、リフレッシュをすること。
健康な肉体には健全な魂が宿る。そして良いアイデアも浮かぶ。
え?賢者の石の精製方法は載ってないのか?と聞くと
何を馬鹿なことをいっておる、賢者の石の品質は別にして
あんなもの誰でも作れるじゃろ?
・・・・・流石はドクターカオスおかしな方向に全力で振り切っている。