2.神様登場
気が付くと、先ほどの病室とは違い何もない真っ白な空間だった。
ネット小説ではよくある神様降臨のパターンなんだろうが、白い空間がひろがっているだけで
自分しかいない。
幸い重力があるのか、立っているような感覚は感じられる。
夢で無いとしたら頭がおかしくなってしまうような感じするする。
そんな空間だった。
時計がないので、どれだけここにいたのかもわからないが、
3人の人物が在らわれた。
たぶん神様か、それに類する方なのだろうと思い頭を下げる。
「お待たせしてすみませんね。頭を上げてください。突然こんなことになってしまい我々も慌てていたのです。」
「そうやで、とりあえず話しやすいようにフランクにいこ」
「まずは自己紹介ですね。私の名前はキリストといいます。キーやんと気軽に呼んでください。」
「わいはサタン、さっちゃんでええで」
「私の名は仏陀、ぶっちゃんでお願いします。」
思わず告げられたビックネームに驚き、以外と神様軽いなとバチ当たりな事を考えてしまう。
しかし、本当に神様にそんな気軽に接してもいいのか戸惑っていると考えを読んでいたのか
サタン様が答えてくれる。
「ええて、ええて、ここは夢の中みたいなもんや、君の他におらんし楽にしてええよ。」
本当に良いみたいなので、まずは現状を尋ねてみた。
「ちょっと前まで、異世界召喚やら転生やらでやたら日本人の引き抜きが多かったのですが
天照のあーちゃんがブロックしていたおかげで最近はそんなこともなかったのですが、
召喚できないと連発してきたせいで術式がおかしな干渉してしまったことと、
偶然とも言えるようなタイミングで貴方の魂が抜けてしまったことで召喚していた世界とは違い
事故のようにこのGS美神の世界に召喚されてしまいました。」
「普通なら魂が抜けても覚醒すれば夢を見ていたと思うのですが、今回はタイミング悪く多重世界の壁を超えてしまいました。」
「最近はなかったから、あーちゃんも油断しとったんやな、君に謝っておったで」
どうやら自分は寝ていたつもりだったが、過労のあまり魂が抜けてしまったようだ。
「あの、元の世界に戻れるのでしょうか?」
戻ったところで、どうせ社畜の会社員なので大した未練もないが、PCのHDDだけは処分しておきたかった。
戻れないなら仲の良い友人が気をきかせて処分してくれていることを願うしかない。
「召喚された時に発する時空振動を感知した時点で探知をしてみたが、時間の流れが違うせいで貴方の身体は荼毘に伏されており、残念ながら戻り先がないのです。」
「君の懸念してるHDDは友達がフォーマットかけてくれたみたいやで」
もう元の世界の身体は火葬されてしまい、元に戻ることは出来ないようだった。
「あなたには幾つかの選択肢を提示できます。この場で決めていただく必要はありますが、ゆっくり考えてください」
「一つはこのまま元の世界の輪廻転生過程に入ること」
「召喚されてしまったGS美神の世界線でこのまま生きること」
「まったく違う世界に転生すること。」
死んでしまったものは仕方ないと半ば諦めの境地で元の世界の輪廻転生過程を選ぼうとしたが
死ぬ前に読んだGS美神の冒険のことが頭によぎり、未練を残す。
それに疑問に思うことがあった。
何故、3柱の神様達はわざわざ自分のために降臨していただき、選択肢まで提示していただいたのか?
そんな事を考えていると今度はぶっちゃんが答えてくださった。
「私とキーやんが立川で休暇をとっていましたが、あなたにはその時にお世話になったのです。」
「あなたが出張で立川に来ていたとき、会社には内緒ですよと電気の修理をしていただきましたよね。
私たちのことは仕事外の出来ごとで無視をしても構わなかったのに、困っていた私たちに快く対応していただいて嬉しかったのです。」
「そのせいで時空振動に気づくのが遅れ、さっちゃんからの連絡を受けてから確認したので遅れてしまい結果として、貴方には残念なことになり申し訳なかったですが」
そういってぶっちゃんとキーやんはこちらに頭を下げる。
「それにあーちゃんからの詫びもあったからの、そんでわいらがきたわけや」
そんなぶっちゃんとキーやんの姿に恐縮してしまう、立川の事は覚えている認識阻害の効果だったのか
お二人とはわからなかったが、困っている姿を見て仕事が増えるのがわかっていたがどうしても見捨てられなかった。
「天照様はご降臨されないのですか?」
自分は日本人らしい宗教観で特に特定の信仰はしていなかったが、神道の考え方は好きだったため
せっかくのこの機会に天照様にお会いできるならば、お会いしたかった。
「あぁ、あーちゃんなぁ 君どちらかといえば神道を信仰しておったやろ、そのせいであーちゃん特に張り切ってな」
「そうなんです。まさにブチギレ状態で、私の可愛い子をこんなに目に合わすと言って怒ってました」
「私もあの状態のあーちゃんには近づくのは控えたいですね」
「それで恩もあったので私たちが来たわけです。」
「それにこの世界ならあーちゃんにも会えるで」
そうさっちゃんがさらっと重要なことを漏らす。
たしかにGS美神の世界は悪霊、怨念、魑魅魍魎が跋扈する世界かもしれないが、神様や魔族もいる世界でもあるのだ。
会いに行ける神様というのも素敵かも知れない。
それに何故ここまでGS美神の世界を推してくるのかとても気になる。
社畜の会社員としての経験が、頭に警報を鳴り響かせる。
「実を言うとですね。折檻を受けて横島君の魂が抜けたところに攻撃的な霊波の煽りを受けて消滅してしまったのです。」
「そこに召喚されたあなたの魂が横島君の身体に憑依したわけです。」
まさに衝撃の事実だ、しかし横島君がいなければGS美神の世界は成立しないだろう
「たしかにそうなんですが、すでにこの世界は横島君無しで成立してしまい、未来も不確定、白紙の状態になりました。」
「平行世界が新たに生まれたってことやな、だから君の好きにしてもええで、それに君がはいった程度で世界は壊れへん、せやかてそのまま横島君がおるほうが都合がええ」
横島君の身体に自分が憑依している状態らしい世界の状態しては不自然な状態になっていないようで、そのまま好きに生きても、野垂れ死にしても世界は回るようだ。
とは言え、この世界は魑魅魍魎が闊歩する世界、ましてや主人公の横島君は人外ホイホイ、憑依したただのおっさんでは事件に巻き込まれれば生き残ることは難しいだろうというのは想像に固くない。
事件に巻き込まれれば生き残ることは難しいだろうというのは想像に固くない
ただのおっさんでは妄想ブーストで霊力は上がらないし、ギャグパートなら次のコマで怪我が治ることもありえない。
いまも美神さんに頭をかち割られて入院しているわけだしなぁ・・・
「君の考えていることもわかるで、まぁある意味わいらはそのために来たんやけどなぁ」
「この世界で生きることを選んでくれるなら恩もあるあなたの為に力を授けます。」
「あーちゃんからも宜しくとお願いされていますし、召喚事故の慰謝料という面もあります。」
この世界で生き抜くことを決心したら、神様達は力を授けてくれるらしい。
これならこの世界でも生き抜くことはできるか。
「しかし、世界を壊すような力は無理やで」
「それにその体ならいずれは文珠を使えるようになると思いますよ。」
「さて、どんな力を望みますか?ちなみに科学と霊力は相反しますよ。」
科学と霊力は相反するということは、文殊を選んだ場合は一方通行などの超能力は使えないということだろう。
その逆もしかりだ、超能力を選んだ場合は文殊への到達は不可能になるんだろう。
「その考えであっています。血反吐吐いてのたうち回ることになります。」
やはり科学と霊能力の相性は悪いみたいだ。
除霊具が高いのは科学の世の中に、霊能のような訳の分からない、実在するが観測することが困難な能力であり、それを科学で再現するために高価になってしまうようだ。
それを科学で再現するために高価になってしまうようだ
「とりあえず、欲しい能力があれば言うだけ言ってみればいいで」
「そうですね。魂の容量があるので全てを叶えるのは困難ですが」
「わかりやすく言えば、魂というメモリの容量があるので、どれだけアプリをインストールできるかということになります。」
「君の場合、多重世界の壁を超えたせいで名前も剥奪されて白紙の状態だから結構はいるで」
GS美神は漫画の世界とは言え、そこに住んでいる人たちは現実世界と同じこと、ただ元の世界に霊能力という要素が加わっただけの世界、物理法則も同じだしどんな能力なら大怪我をせずに生き延びることができるだろうか?
要素が加わっただけの世界、物理法則も同じだしどんな能力なら大怪我をせずに生き延びることができるだろうか
やはり逃げるための能力は重要だろう、しかし空間移動などの超能力では文殊が使えなくなってしまう・・・
いや、そもそも危険につっこんでいくことが間違っている。
前回の人生では出来なかったことをしたいが、普通に生活ができればいい大前提が違うんだ。
「では相談させてください。自分が欲しい能力と才能はD-LIVEの斑鳩君の運転技術、スプリガンの御神苗君の身体能力とそのポジティブな精神力が欲しいです。
当然文珠を作成する能力は欲しいですが、霊能力を鍛えて行くしかないと思っています。」
D-LIVEの斑鳩君の驚異とも言える運転技術があれば、現代において何かしらの仕事があるだろう。
それにスプリガンの御神苗君のポジティブな精神力にも憧れを覚える。
あれだけポジティブなら人生は明るく過ごせるだろう。
「なるほど、アーマードマッスルスーツなどの装備品はないですが、それは大丈夫ですね」
「はい、彼の精神力に憧れているので、装備品については二の次です。」
「魂の容量的にも大丈夫ですね。サービスで元の世界で獲得した電気技術の経験値はそのまま生きているようにしておきます。」
「それでは貴方に力を授けましょう」
自分の身体が一瞬発光し、頭に運転技術の感覚などが溢れてくる。
これが力を授かったということなのだろう。
「では、これから頑張って生活してください。本当に頑張って・・・」
「(いや、君が巻き込まれんように生活するなんて無理やろ・・・」
「あなたの活躍を神界から見守っていますよ。(立川からかもしれませんが・・・)」
さっちゃんがなにか不穏な事を呟いたように聞こえたけど、視界が白くなっていき意識が遠くなっていく。
退院して普通の生活に戻ったらまずは、伊勢神宮にお礼のご報告にお参りにいこう。
巻き込まれないように普通の生活を目指すことにしましたが、その身体は人外ホイホイの横島君、トラブルにはこと欠きません。