GS美神の世界でサバイバル   作:京太郎

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28.GS資格受験~二日目~

28.GS資格受験~二日目~

 

 

 

前日に引き続き、今日も気持ちの良い晴天となった。

昨日と同様に、明け方に起床して水を被り禊を済ませた後に

六道指定の霊装に着替える。

 

昨日と違うと言えば、ネクタイは清姫が締めてくれたくれたことだろうか

多少歪んでいるように見えるが、僕が結ぶより上手に結べている・・・・・・

ちょっと凹むが、何より、練習してくれた清姫の気持ちが嬉しい。

 

清姫にお礼を告げる。

 

「わたくし、ご主人様の妻でございますから、他の女性の手をお借りしませんわ」

 

そう言いながら、最後にキュっとネクタイを絞るのだが、地味に力が入っており

少し苦しい。

昭和のドラマに有りがちな、ネクタイを締めあげながら、浮気を問い詰められる夫の図

ではないだろうか?

いや、こんなことを考えるのは止そう。

今日もGS資格試験がある、あと1勝すれば、GS資格が付与される。

何としても今回で取得しようと気合を入れる。

 

 

六道家で朝食を頂いた後、昨日と同じく会場まで車に乗せて行って貰うことになった。

冥子さんは引き続き、救護班として車に同乗する。

今日は有力な新人のスカウトも兼ねて、冥奈さんも一緒に会場に向かう。

 


 

車は何事もなく試験会場に到着した。ここからはそれぞれの行動となる。

冥子さんは救護班の詰め所に、冥奈さんは観客席か、用意があれば恐らく貴賓席に移動するのだろう。

僕はもちろん2次試験第2試合があるので、試験の受付をして、最初の試合コートの番号を受け取る。

幸いなことに試合は最初なので、会場入りして時間を潰すことにする。

 

ただ、六道家の車を降りたあたりからずっと見張られている?

いや、そこまではいかず、見られている位があっているのだろうか

殺意や呪いをかけてくる雰囲気でもないので、判断に困るところだ。

向こうから手出しをしてこない以上、無視するしかない。

いっそ手を出してきてくれたほうが、手っ取り早いとさえ思ってしまう。

前から思っていることだが、こんな鉄火場でも冷静に対応できる御神苗君の

能力はすごい。

前世では暴力なんて無縁の民間人だったのに、こんな冷静に判断ができるなんて

能力の恩恵は計り知れない。

 

さぁさっさと人の多い会場に向かおう、そこでは手出しをしてこないだろう。

 

 

~2次試験、第2試合~

 

 

2次試験開始の呼出しがかかり、各受験者が試合コートにはいる。

当然、僕も割り当てられた試合コートに入る。

この1勝すれば、資格が付与されることからか、昨日よりも熱気というか

気合の入ってる受験者が多いように思われる。

 

僕の対戦相手も同じくえらく気合が入っているが、問題は僧侶なのだ。

ご存知の通り、清姫伝説の最後は安珍が道成寺に逃げ込み、そこの僧に鐘の中に匿われ

、その後清姫に鐘ごと焼き殺されるという最後なのだが、何と言うべきだろうか

 

坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。

 

まさにこの言葉通り、清姫のトラウマスイッチをこれでもかと叩き込んでしまったようだ。

先ほどから、下を向いているので、その顔は見えないが独り言は聞こえてくる

 

安珍様を匿った僧に似ている。あの寺であの僧が匿わなければ・・・

あぁ安珍様、安珍様、安珍様・・・・・・・

 

 

と、こんな感じに一人で勘違いして大炎上しちゃっている。

目の前の僧侶さんには非常に申し訳ないが、僕の精神安定のために

潔く散っていただきたい。

過去に経験した嫌なことを突然思い出して、嫌な気持ちになることってあるよね。

本当にこればっかり仕方ないし、過去は変えることは出来ない。是非もないよね。

よし、なんとかとどめを刺す前に清姫を影に戻そう。

 

仮に何かあっても、試合中なら事故で済む

 

 

そして、僕は対戦相手よりも清姫にビビっていると、開始の号令がかかった。

 

眼にも止まらぬ速さというのはこういうことを言うのだろう。

開始の号令が下った瞬間に、清姫は僕の横から消え、手に持っていた鉄扇で僧侶の

顔をぶっ叩いていた。

 

まるで、砲撃のような爆轟が響き、僧侶は錐揉み回転をしながら飛んでいく

そして結界など最初からなかったように結界を破り、吹き飛んでいった。

アニメで見る様に人間ってあんな風に飛ぶことがあるんだ。

そんな感想を持ったところで清姫がまた、ぼそりと呟く

 

「これより逃げた、僧を退治します」

 

清姫さん、逃げてないです。貴女がぶっ飛ばした上に、完全にオーバーキルです。

僧侶はぴくぴく動いているから死んでは無いと思うけど

審判も呆然として終了の合図をしないだけで、もう終わってるから

 

慌てて清姫を影に入れようとしたが、清姫に拒否され影に入ってくれない

清姫を止めるために、後ろから抱きしめる。

ここで、審判から試合終了の合図とGS資格付与を告げられるが清姫は止まらない

 

「ご主人様、離してくださいまし、あの僧に誅を・・・んっ・・・」

 

試合終了の合図が出てしまった後に、あの僧に危害を加えてしまえば

事故ではなく、事件になってしまう。

いや、事故を起こすつもりも僕はサラサラなかったのだが、やってしまったものは仕方がない。

 

正気に戻らない清姫をどうしようかと、僕も相当に慌てていた。

後ろから抱きしめ留めていた、その清姫から”チュウ”と言うことが聞こえたので

清姫にキスをした。

 

キスから始まるミラクルってあるんですね(錯乱)

 

だんだん、清姫の身体から力が抜けてきた。

 

「もうご主人様、この様な衆人環視の中でだ・い・た・んですわ」

 

そう言って、甘えてじゃれついてくる清姫を連れて試合コートから出た。

 

伸びている僧侶はいつの間にか、救護班に回収されたようだ。

 

第2試合も勝ったことでGS資格が授与されたことだし

後は勝っても負けてもどちらでもいい。

独立して事務所を開設するわけでもないし、そもそもASEのオカルト絡みの任務の

時に六道除霊事務所と組まないために資格が欲しかっただけだしなぁ

 

ん?僕は今、六道家所属?

よし、このことを考えるのは止めよう、死にたくなる・・・・・・

 

何のためにこのGS資格を欲したのかを、今更思い出し軽く鬱になったところで

第3試合の呼び出しがかかり指定されたコートに向かう。

 

 

~第3試合~

 

 

第3試合の相手は六道女学院の選抜生徒だった。

何故六道女学院の生徒か分かったかと言えば、その彼女に只今、絶賛罵倒中だからだ。

女子高生に罵倒されるなんて、ある業界ではご褒美以外の何物でもないだろうが

僕にはそんな趣味は全くない。

 

彼女曰く、オカルトの名門である六道家に男が所属するなど相応しくない

曰く、冥子お嬢様とどこの馬の骨とも分からぬ輩が同乗するなどあり得ない

曰く、曰く、曰く

 

とにかく彼女は僕が六道所属の秘蔵っ子として受験しているのが、気にくわないらしい

彼女にも学院選抜の意地と誇りがあるんだろう、それを見ず知らずのぽっと出の

フツメンが、冥子お嬢様に近づいて大きい顔をしていれば、腹が立つというものだ。

そして、恐らく朝感じた視線はこの彼女のものだろう

 

頑張って苦しい修行をして、学院の選抜試験を勝ち抜いて、GS資格まで取得したのだ

それは一方ならぬ思い入れもあるだろう

 

まぁ彼女の言い分も僕は理解できなくもない。

しかし、僕の隣にいる清姫さんは静かに切れていた。

 

先ほどの僧侶は衝動的な怒りだったが、今回は冷静に怒り狂っている。

ニコニコ笑いながら、笑えないほど霊圧が高まっているのだが

目の前でお喋りしている彼女はまったく気が付いている様子もない。

そして、この一言が致命的だった。

 

貴方程度の霊能者でも、優しいわたしが荷物持ちとして使ってさしあげますわ

 

そして無慈悲にも、試合開始の号令が下る。

 

 

結果は当然の如く、僕の勝利に終わった。

元は豪族の姫とはいえ英霊に勝てる存在など、なかなかいないだろう。

試合内容を敢えて言うならば、惨劇が起こったとしか言いようがない。

清姫に鉄扇で叩かれて結界に叩き付け、その後にその細腕のどこにそんな力がと思ったが

片腕でつるし上げ、降参と言えぬようにひたすら鉄扇で頬を張り続けた。

完全に心が折れ、泣きながら許しを乞うてきたところで、清姫が扇子で口元を隠しながら、

何かを相手に囁き、その場に崩れ落ちたところで、審判からようやくストップがかかった。

 

口は禍の元という言葉を彼女は身を持って理解したはずだ。

そして僕は、六道婦人のお叱りを恐れたが、仕方ないわねぇと苦笑いだけで終わった。

 

 

~第4試合~

 

この試合を勝てばベスト8に残れるが、正直なところを言えば優勝などどうでもいい

ただただ、清姫が暴走することなく、事が終わってくれればそれでいいと思い始めていた。

 

そして、第4試合の相手はある意味では因縁の相手となった。

忠夫君の心眼が開花して霊能が目覚める試合となった、くノ一の久能市氷雅だ。

 

彼女も、忠夫君のことを覚えているだろう、こちらの顔を見るなり顔を引きつらせていた。

少なくとも、身内位の判断はつけているし、少しの油断もせずにかかってくることだろう。

試合開始の号令がかかり、今まで通り清姫が飛び出すかと思っていたら

こちらを侮辱する訳でもなく、清姫のトラウマに触るわけでもないので

至極冷静に僕の指示を待つ態勢だった。

奇しくも今回の資格試験でようやく、まともな試合運びになりそうな一戦だ。

 

図らずとも久能市もこちらを警戒して、手持ちの霊刀を正眼の構えを取り、

先制の居合切りをしてこなかった為に、初手はお見合いをする形となった。

 

「清姫、薙刀で相手を牽制、僕に近づけないでくれ」

 

「畏まりました。どのような女であろうとご主人様には、指一本触れさせません」

 

そう言って、清姫も薙刀を正面に構える。

薙刀のほうが、リーチが長いので間合いを広く取れる分、こちら側が有利になるのは

言うまでもない。

清姫は薙刀の腕は二流と言っているが、小竜姫様に聞いたところでは、溢れんばかりの殺気と容赦の無さから、戦場では無双を誇るだろうと武神である小竜姫様のお墨付きを貰う腕前だそうだ。

 

確か原作では、真剣白刃取りの後に、一発ギャグで気を散らして、霊刀を叩き折り

霊的格闘モードに衣装チェンジしたところを、煩悩砲で一撃という感じだった。

 

真剣白刃取りは出来るかもしれないが、その後の一発ギャグは僕にはできない。

 

いや、やれば出来るかもしれないが、流石に相手も警戒をしているだろうし

ここは正攻法で攻めることにする。

 

「その顔に見覚えがありますわ、あなたには申し訳ありませんが、

あの時の恨みを晴らさせていただきます。

今回の為に、また霊刀を用意しましたのよ。

ここまで数人斬ってきましたが、あなたの斬り心地はどうかしら。」

 

 

それだけ話して、あとは一気呵成にこちらに切りかかってくるが

清姫が上手に受け流し、防御をしてくれる。

 

このまま清姫にすべての試合を任せてもいいかもしれないが

この先オカルト業界で仕事をしていくかもしれないので、一応、1試合くらいは活躍をしておかないと

 

まずは人を斬ったことにより、穢れを孕んでしまった霊刀を払う。

神道において穢れは忌避されるものであり、また神と対面するためにあらゆる穢れを払い除く絶対結界。

 

「払い給う、清め給う、払い給う、清め給う」

 

通常ならこの後に、どこどこの神様、こういった理由でお力をお貸しくださいと言った内容を奏上する。

そして御力のほんの一部を借りて、その権能を行使するのだ。

 

しかし、天照様の御力に限っては奏上をしなくても、行使できてしまう。

マリア様が見てるではなく、天照様が常に見てるのような状態だ。

 

あまりに便利過ぎて依存してしまいそうだが、今はありがたくそのお力をお借りする。

剣指に霊力を込め、お願いをする。

 

「天照大神に乞い願う、霊刀の穢れを払い清め給え!」

 

相手の持つ霊刀の穢れと共に霊力が払われ、ただの脆い刀になると予想していた。

 

現実はどうなったかと言えば、カッと霊刀が光り輝き、刀がドロドロと溶けだした。

 

刀の穢れを払うつもりが、まさか刀が溶けるとは思ってもいませんでしたよ。

結果的に霊刀を無力化することには成功したが、天照様、ちょっとサービスし過ぎじゃないですかね。

 

余りと言えばあまりの出来事に、目を見開いて呆然としていた久能市さんも

柄にまで熱が伝わって手放しているし・・・・・・

 

「急急如律令!符の力を持って捕縛せよ!」

 

符に力が解放され、久能市さんを捕縛することに成功した。

そこにすかさず清姫が薙刀の刃を首に当て、審判を見やる。

 

ほんの2,3秒だが審判が逡巡したのをみて、さらに首に刃を当てると首から一筋の赤い血が流れる。

 

それを見て、審判はようやくこちらの勝利を下した。

 

女性には割と容赦がない清姫が首を切り落とさ無くて胸を撫で下ろした。

 

 

 

ベスト4を決める第5試合と準決勝の第6試合は特に印象に残るようなこと無く勝ち進んだ。

それと言うのも最後の決勝戦の印象が強すぎた。

 

なんせ、最後の決勝戦の相手は、正に陰陽師であるという式服を着た相手だった。

試合コートで対峙した瞬間から、清姫のことを肉欲にあふれた目で見てきた上に、こう大上段からのたまったのだ。

 

「その式神は、六道のまがい物より、正当な陰陽寮の系統である私にこそふさわしい。

飼ってやるから、今すぐに渡し、土下座して命乞いをすれば殺さずにすませてやろう」

 

いやいや、この世界にきて割といろんな人を見てきたつもりだけど

前世と合わせても、ここまで見事なかませ犬というか、道化は初めて見た。

 

とはいえ、ここで僕があっさりと負けてしまえば、その大口も本当になってしまう。

しかし、霊視してみるかぎりでは霊力もそれほど多くはない上に、霊力を隠しているようにも全く見えない。

何故ここまで大きな態度がとれるのか、それ以前にこの程度の実力でどうやって決勝まで上がってこれたのか、疑問が尽きない。

 

相手の恰好を見て、脳裏を掠める記憶があった。

原作だったか、何かの二次創作だったか忘れたが、本人に全く実力がないのに、

金額の高い強烈な符を用意して財力だけで、試合に臨む米帝プレイをする受験者がいたという話だ。

財力も力の一つだと認められていたようだが、その後に除霊現場で、霊障事故が多発し本人の実力も重要であると、試合で使用できる札の合計金額の上限が改められたという話を思い出した。

 

そのパターンであるならば、陰陽寮出身といっているので、試験に使わないような1億クラスの極めて高額な札を所持している可能性が高い。

 

となれば、開幕直後に強烈な破魔札の攻撃があるだろう

ここまで予想し、清姫には手出し無用と伝えたところで、試合開始の号令がかかる。

 

予想通り、開幕から致命的な一撃を浴びせてくる。

 

「貴様が死んだ後に、式神はじっくりと可愛がってくれる!」

 

そう言って、1億の破魔札をこちらに投げてくるが、破魔札というの簡単に言えば爆弾だ。

自分の霊力で着火し、破魔札という爆薬を起爆する。

札の金額が高くなるほど、高威力になるのだが、これは作る手間の問題らしい

極端な例だが手榴弾とミサイルとでは、破壊力も金額も違うこと同じだ。

 

破魔札の生産は国内では陰陽寮がほとんどのシェアを抑えている。

彼にはその陰陽寮のバックアップがあるのだろう。

 

さて、話が大きくそれてしまったが、破魔札が起爆するまでには間がある。

先ほどの爆弾に例えると導火線のような部分があるからだ。

 

自分の霊力で導火線に着火し、その間に破魔札相手に投げる。

そして、導火線が爆薬に点火し起爆する。

 

ということは、導火線の段階で消火してしまえば、起爆しない。

虚空蔵菩薩から陰陽師としての知恵を頂いた自分なら破魔札の構造くらいは

手に取るようにわかる。

 

「急急如律令!符の力を散らしめよ!!」

 

こうして、導火線部分の霊力を散らしてしまえば、起爆することはない。

再利用できないよう破っておく。

というか、腐っても陰陽師ならば陰陽五行の式を利用した符くらい使ってきなさい。

 

火属性の攻撃というは、燃やすという事象から2次被害も大きくなる場合が多く使い勝手は悪いのだが、生物相手には非常に効果的だ。今回は試験ということもあり、しっかり結界も張ってあるので遠慮なく火属性の攻撃ができる。

 

火は古来より、物を焼き尽くすという事象から一切合切の穢れ不浄を焼き尽くす意味合いを持つ、そして全ての不浄を怒りの業火で焼き滅ぼす仏の化身、不動明王

その不動明王は大日如来の化身とも言われている。大日如来は天照大神と同一視もされている。

 

つまり何が言いたいかと言えば、縁が巡り巡って天照大神の加護をもっている僕は火属性と、とても相性がいいのだ。

 

「火行符術!すべてを燃やし尽くせ!」

 

太陽神、天照様の加護を受け、鉄をも溶かす熱量を発する炎弾を清姫を奪おうとする

愚か者に投げつける。

 

相手はギリギリで躱せたみたいだが、その炎は触れずとも服に火が付き、その火は火傷を発生させ火を消そうと無様にのたうち回る。

この無様な様子を見て、自分から清姫を奪うなどと言った相手に、怒りが募る。

 

 

「僕から清姫を奪うなら、もっと根性を見せてくださいよ。

そんな所でのたうち回っていないで、さっさと立ち上がってかかって来いよ。

 

あぁ清姫をよこせだと!ぶち殺すぞ!この三下が!!」

 

しかし、未だに相手は芋虫のように蹲っている相手を見て、一気に興が醒める。

もうさっさと捕縛して、審判から勝利判定をしてもらおう。

 

陰陽五行は勿論万遍なく使えるが、相性の良い火属性の相生の関係にあるのは

火生土、物が燃えればあとには灰が残り、灰は土に還る土属性。

火属性の霊力の残滓が残っている内に、その力を高める土属性の符を使用する。

 

「土行符術!土よ相手を捕まえろ!」

 

僕が投げた符術の力が解放され、相手を土が捕縛する。力だけでは決して破ることのできない土の結界だ。

見事に捕縛されこの期に及び、早く離せだの卑怯だのと、見苦しく言い訳を始める。

それならさっさと抜けだせばいい、出来なければ試合は終了だ。

後ろに控えていた清姫に合図を送り、久能市の試合のように首に薙刀を当て審判を見る

 

「横島選手の勝利!!」

 

審判から勝利の判定が下り、土の結界を解き、相手に背を向けて清姫と一緒に

試合コートから出ようとしたところで、相当な威力の破魔札を投げつけられる。

 

ここで誤算だったのは、余りにテンプレ過ぎて、流石に無いだろうと思っていたが

お約束のような展開だ。

 

こちらもテンプレ通りにわざと、その攻撃を食らってあげようじゃないか。

しかし、わざわざ清姫まで、危ない目に合う必要は無いので、隣居た清姫の肩を

押して、爆心地から遠ざける。

 

先ほどは雑魚過ぎて興が醒めたが、うちの清姫を寄越せと言ったことを、

許してやるほど僕は寛大ではない

希望を持った所でしっかり絶望に叩き押し心折り、体に恐怖を教育してやる。

 

投げられた破魔札が起爆し、爆音と土煙が舞い上がる

 

「やったぞ!やってやったぞ!私をバカにするからこんなことになるのだ!

私を虚仮にした天罰が下ったのだ!!ざまあみろ!!!

 

さぁ式神こちらに来い、私が存分に可愛がってやろう!!」

 

 

土煙が晴れず動く影も見えないだろう、完全に僕を始末したと油断しまくっている。

まぁ今のうちに一人で滑稽に盛り上がっているといいさ

 

そんなことよりも完全に僕の想定外だったのは清姫だ。

腰が抜けたようにペタンと地面に座り込み、その大きな瞳からハラハラと涙が頬を伝う

 

「安珍様に続いて、優様も早逝されるなんて、わたくしと関わる方はわたくしを置いて先に逝ってしまう。これではまるでわたくしは、死神のようではありませんか・・・・・・」

 

こんなつぶやきが聞こえ益々罪悪感が募る。

僕の予定では、清姫が激怒して、ご主人様になんたる不敬!万死に値します!って辺りになると思っていたが、まさか泣かれるとは思いもしなかった。

 

確かにシチュエーションだけ見れば、致命的な一撃を辛うじて庇ったようにしか見えないよな。

これ以上引っ張るのは、些か悪趣味になってしまうようだ。さてネタ晴らしをするか

 

霊力を腕に込めて風を纏い腕を振り、土煙を一気に払う

 

無傷の僕を見て、清姫が抱き着いてくる。

 

「あぁご主人様、わたくし・・・わたくしあの爆発を見て、ご主人様の無事を祈りつつも、もうお会いすることが出来ないのではと、思ってしまったのです。

ご主人様も、わたくしを置いて逝ってしまうと・・・・・・」

 

「僕だけなら加護の力で何とでもなったので、とっさに清姫を庇ったのですが、その結果が悲しませてしまったようで申し訳ない」

 

「いいのです。わたくしのご主人様が無事ならそれで」

 

あぁ良かった。清姫が泣き止んでくれた。

さて、僕の性のような気もするが、清姫を泣かせてくれた愚か者に天罰を与えようか

 

どこかの魔砲使いは言いました。大技を出す前にはきっちり捕まえましょうと

先ほど使った土行符術でも、十分相手を捕縛できたが、一応隠し玉を持っているといやなので、念には念を入れてしっかり捕縛しておきましょう。

ホルダーから4枚の符を取り出し、陰陽師を囲むように東西南北に符を投げる

 

「東に青龍、西に白虎、南に朱雀、北に玄武

 

四神相応がひとつ、捕縛結界の陣!」

 

四神の御力をお借りして、相手を捕縛する結界だ。

この捕縛結界ならば、神族魔族であろうとも捕縛できるだろう

さて、清姫さん腐った目で見られた鬱憤を、思いっきり晴らすといいよ。

 

「清姫、宝具の使用を許可する」

 

「畏まりました。ご主人様見ててくださいましね。

 

道成寺鐘百八式火竜薙!行きます!!」

 

 

 

道成寺の鐘に陰陽師を閉じ込め、火で炙り、黒ヒゲ危機一髪のおもちゃ如く、槍でめった刺しにする。

 

試合終了後のことだったが、六道家と事を構えることを避けたか抗議は一切なかった。

 

今回の試験では見事に優勝を掴み、六道家に式神使いの陰陽師横島有りと畏怖を持ってオカルト業界に名前が売れ渡ったのであった。

 

 

 

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